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老人ホームや介護施設における経管栄養とは?経管栄養による補給法
老人ホームや介護施設の入居者にとって食事は大きな楽しみの一つですが、加齢や病気で摂食機能が低下することがあります。食物や水の飲み込みが難しくなった場合、どのような栄養補給の方法があるのでしょうか。ここでは、一部の老人ホームや介護施設で対応可能な胃ろうや経鼻カテーテル留置などの「経管栄養」について解説します。
一部の老人ホームや介護施設では胃ろうカテーテルを留置している
老化や疾病の影響で生じる身体の変化に、食物や水分を飲み込む機能が低下する「嚥下機能障害」が挙げられます。嚥下機能が低下すると、十分な栄養が取れずに衰弱する、水や食物が誤って気道に入って肺炎を引き起こすといったリスクが増加するのです。
飲み込みがうまくできなくても、胃や腸などの消化吸収機能が維持できている場合は、胃や腸に水分や栄養を直接送り込む「経管栄養」で十分な栄養を摂取できます。経管栄養は複数の種類がありますが、なかでも代表的な方法が胃に空けた穴からカテーテルで栄養剤を注入する「胃ろう」と、胃や腸などまで届くカテーテルを鼻から挿入して栄養剤を注入する「経鼻経管栄養」(留置カテーテル)です。
このような経管栄養方法を必要とする利用者に対応すべく、一部の老人ホームや介護施設ではカテーテルを留置する経管栄養に対応できる職員体制を整えています。
胃ろうは経腸栄養の経路になる
経腸栄養とは、手術で胃や腸へ小さな穴を開けてカテーテルを通し、直接栄養剤を注入する経路を造る方法です。消化管の機能に問題がない、かつ4週間以上に渡って経管栄養が必要と見なされると、経鼻経管栄養法ではなく経腸栄養法が採択される傾向にあります。胃に問題があって消化吸収が困難な場合には、腸までカテーテルを入れる「腸ろう」が選択されることになるでしょう。ただし、腸ろうは栄養剤の注入に時間がかかる上に、カテーテルの定期的な交換が必要となるため、胃ろうよりも身体的な負担が増大する傾向です。
胃ろうを増設すると経腸栄養剤を胃や腸に直接注入できるため、入居者の体力回復、褥瘡など低栄養から生じるトラブルの回避にも寄与します。なお、胃ろうを増設したからと言って一生経管栄養のままとは限りません。訓練や体調の改善により飲み込みの機能が改善すれば、また飲食物を口から摂取できるようになることもあります。十分に経口摂取が可能となれば、医師が胃ろうの閉鎖許可を出す可能性もあるでしょう。
カテーテルは口から食事を摂ることが難しい方に適している
経管栄養は消化器官までカテーテルを通して留置し、食事の際に経腸栄養材などを注入する方法です。咀嚼・嚥下の必要がなくなるため、経口で食事を摂るのが難しい方に適しています。このうち経鼻経管栄養は手術が不要であるため、口や喉の手術によって一時的に口から飲食物の摂取が困難になった場合に、経過的な処置として多く見られます。また、胃や腸などの消化吸収機能に問題がなく、口から食事を摂ることが難しい方に対しても最初に採用されることの多い方法です。
ただし、カテーテルや栄養材が誤って気道に入ってしまわないように、食事のたびにカテーテルが適切な位置に挿入されているか確認する必要があります。一方、胃ろうではカテーテルが腹部に留置されて目立たず違和感も少ないため、入居者が自己抜去してしまう危険性が低下します。
今回のまとめ
病気や老化により口から食べ物や飲み物を摂取できなくなると、カテーテルで直接飲食物を注入する経管栄養が必要になる場合があります。代表的な経管栄養は、鼻からカテーテルを入れる経鼻経管栄養法と、腹部に穴をあけて直接胃や腸に注入する経腸栄養法の2種類です。胃ろうは、自己抜去のリスクが低いため、口から食事を摂ることが難しい方に適しています。
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