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2023/09/13
コラム

老人ホームや介護施設で認知症に多い入浴拒否の原因と対策を考える

老人ホームや介護施設で認知症に多い入浴拒否の原因と対策を考える

認知症の人は、それまで穏やかに過ごしていたのに、入浴にお誘いすると拒否されるだけでなく、怒り出してしまうことがあります。しかし、入浴を避け続けると、不眠や感染症の罹患などのリスクが向上しかねません。ここでは、老人ホームや介護施設でありがちな、認知症の利用者の入浴拒否の原因と、講じられている対策についてご紹介します。

認知症の症状による恐怖心からの入浴拒否の理解と対応策

老人ホームや介護施設の利用者に限らず、認知症を抱える方の中は、入浴に対して恐怖心を抱いたり、入るのが億劫になるケースが少なくありません。認知症によって、時間場所状況判断などの見当識が低下し、周囲の人々や環境を正確に認識することが難しくなるからです。入浴では服を脱がなければならないため、見当識が低下していると不安を強く感じます。また、水や洗剤の感触、熱感などの刺激も、認知症の人にとっては恐怖を覚える原因になるのです。

さらに、認知症の利用者は、ホールなど、今いる場所から離れて浴室に誘導されるだけでも不安を感じます。入浴を拒否する利用者に対しては、不安を軽減することが重要です。老人ホームや介護施設では、浴室へ誘導する際に利用者が受け入れやすい形で提案し、脱衣や洗身の際には「恥ずかしい」「叱られている気がする」など負の感情を低減できるように配慮してかかわるよう心掛けています。

認知症患者の恐怖心を軽減する入浴環境の整備方法

入浴介助の際の恐怖心を軽減するためには、入浴環境の整備も大切です。浴室は快適な温度明るさに調整すると利用者の不安が軽減します。また、足元が不安定だと恐怖を感じますので、床が滑りにくい工夫をして、適切な位置に手すりを設置して、腰かけられる着替え用のいすが準備されています。

認知症の利用者に入浴をすすめる際には、入浴の必要性を説明して説得しようとするよりも、入浴の気持ちよさや楽しさを実感してもらうのが効果的です。例えば「柚湯」や「しょうぶ湯」など、季節ならではのものや、香りや見た目で楽しめる工夫をしたりすると入浴の楽しみを増やせます。

また、入浴時刺激を最小限に抑えることも大切です。浴室の水の量湯の温度などに配慮すると、利用者の恐怖心を軽減できます。それでも拒否する場合には、足浴やおしぼりで顔を拭いてもらうなどすると、気持ちが変わる場合もあります。

老人ホームや介護施設でのコミュニケーションを通じた入浴拒否の対処方法

老人ホームや介護施設で利用者の入浴拒否に困ったら、コミュニケーションをとりながら利用者が拒否する原因を探ることが大切です。入浴が嫌いな利用者もいれば、「嫌いではないが必要性を感じない」という利用者もいます。また、入浴に伴う浴室に行って衣類を脱ぎ、入浴するという手順自体を「面倒くさい」「何をされるかわからない」と感じているか人も少なくありません。それまで入浴介助を受けたことがない人の中には、「人目のある中での入浴が受け入れられない」と感じる場合もあります。

同じ認知症を患っていても、利用者が入浴を拒否する理由は様々です。しかし、その気持ちに共感して受け入れられる方法を探すことで、信頼関係が築かれます。入浴のタイミング方法について、利用者と話したり推察したりして、選択肢を提供していくことが重要です。

今回のまとめ

認知症の利用者が入浴を拒否する理由は、認知症の程度や生活習慣、価値観によって異なります。多くの場合、認知症の人の入浴への不安は、場面の変化や大きな音、複数の作業などに対する不安です。老人ホームや介護施設では、入浴を拒否する気持ちに共感して、利用者が受け入れられる方法を探し、入浴の気持ちよさを実感できるように、様々な対策を講じています。