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ケアまどニュース
「健康寿命」が過去最長に。要注目の「栄養」と「口腔ケア」
「平均寿命」という言葉は誰もが知っており、昔から多くの人が関心を寄せてきましたが、近年では「健康寿命」がより注目を集めるようになっています。
長く生きるということに加えて、長く生きていくなかで「どう生きるか」についても深く考えることが求められています。
この健康寿命とは何か、老後のより良い暮らしのためにどんなことを心がけるべきなのかをチェックしてみましょう。
老人ホームや介護施設で行われているケアについて知ると共に、自分たちができることを確認できます。
1.健康寿命とは
「日本」は世界的に見ても寿命が長い国として知られています。
平均寿命は2021年の統計では女性87.74歳、男性81.64歳となっています。
これは世界一であるだけでなく、今までで一番長い年数です。
こうした平均寿命の伸長は素晴らしいことですが、同時に「健康寿命」についても重要視されるようになっています。
WHOはこの健康寿命について新たな統計の指標として取り入れるようになっています。
『健康寿命』とはなにか
平均寿命の年数から、認知症や寝たきりなど、介護や支援を必要とする期間を引いた年数です。
要は、元気に過ごすことができて、自立して日常生活を送れる年数を示す指標というわけです。
この指標によると日本人の健康寿命は、以下の通りです。
■ 女性:74.79歳
■ 男性:72.14歳
こうしてみると、平均寿命と健康寿命には大きな差があることが分かります。
平均寿命と健康寿命の間には、女性で12.35年の隔たりが見られ、男性で8.84年の差があります。
この差となる年数はつまり、それだけの期間、介護や支援を受ける必要があるということになります。
平均して10年前後は何らかのサポートを受けないといけないということが分かります。
『健康寿命』の重要性
支援や介護を受ける期間が10年程度あるということは、介護の面や金銭面など、何かしらの負担が発生する可能性があるわけです。
そこで、平均寿命だけでなく、できるだけ健康寿命も伸ばすことが重要であると考えられるようになっています。
健康的で自立した生活を送れるように、元気なうちから、可能なら若いうちから意識しておくことが鍵となります。
こうした取り組みは、本人と家族が日頃より行うべきものです。
そのため、全ての人がしっかりと正しい知識を学び生活の中で取り入れていくことで、より長く健康でいられます。
要介護状態を「悪化させない」
老人ホームなどの介護施設では、すでに支援や介護が必要な方をケアすることになります。
その時点で健康寿命としての期間ではなくなっているものの、やはりそれ以上介護度を上げないような取り組みをすることも大事です。
こうした取り組みは、健康寿命を延ばすものと基本的には一緒ですので、どの介護施設でも積極的に努力しています。
2.注目ポイント①栄養
「フレイル」とは
健康寿命を長くしていくための大きなポイントは、「フレイル」にあると言われています。
フレイルとは、健康が失われつつある状態で、要介護にはまだ至っていない段階を指します。
下記のような状態が継続してみられる場合などが該当します。
・体重や筋力の減少が見られる
・歩くスピードが遅くなったり運動をしなくなってきた
このフレイルの状態を予防、もしくは改善することができれば健康寿命を延ばせるわけです。
「栄養」の大切さ
ポイントとなるのが、栄養をきちんと摂るということです。
フレイルの大きな特徴である筋力量の低下や体重減は、栄養不足が原因となる傾向があるからです。
栄養が十分に摂れないと筋肉量が減り疲れやすくなります。
すると、日常行動に支障が出て運動をしたくなくなり、代謝が悪くなる、さらにご飯を食べなくなるという悪循環に陥るのです。
【食事内容の改善】
悪循環を防ぐためには、食事の内容の見直しと改善が重要です。
そこで注意したいのがタンパク質の不足です。
高齢者になると、どうしてもあっさりとしたものを好むようになります。
すると、きちんと毎日3食摂っているにも関わらず、肉や魚などのタンパク質を十分に摂取できずに低栄養状態に陥っていくのです。
タンパク質は筋肉や血管、骨などの体の組織を作るためにとても重要な栄養素ですので、健康を保つためにはどうしても欠かせないものです。
そこで、意識してタンパク質の摂取量を増やすことがポイントとなります。
【食事の改善方法】
とはいえ、高齢者の方が食事の内容を変えるというのは簡単ではありません。
食事量を増やすのはかなり限界がありますし、多くの方が食の好みが決まっていますので、いきなり変えてしまうのは逆に食が細くなる原因ともなりかねないからです。
そこで、一度すべての食事を見直すことが必要です。
タンパク質が少ない食事に、少しだけプラスすることからはじめるといいでしょう。
たとえば、朝食は特にタンパク質の摂取が少ない傾向にあります。
ご飯と簡単なおかずとみそ汁、もしくはパンとコーヒーだけといった感じで、タンパク質が元々少ないのです。
そこに、チーズを加えるとかヨーグルトを最後に食べる、といった簡単なものを加えるだけでも改善を図れます。
徐々にこうした変化を加えていき、タンパク質摂取量をすべての食事で増やせるようにします。
大事なのは、バランスよくどの食事でもタンパク質を摂る習慣を身に着けるということです。
3.注目ポイント②口腔ケア
「口腔ケア」の重要性
もう一つの健康寿命を延ばすためのポイントは、口腔ケアです。
口腔ケアは様々な健康効果をもたらすために、単に健康である期間を延ばすだけでなく、本人の生活の質や精神的な状態を改善するのに役立ちます。
【認知症予防】
口腔ケアを怠ると、歯茎の健康状態の悪化や虫歯の原因になり、歯が抜けてしまうこともあります。
自分の歯が無くなると、噛み応えのあるものを食べられなくなったり、入れ歯にしたことで食欲が減退する人もいます。
実は、自分の歯が無く、かつ入れ歯を使用していない人は,20 本以上自分の歯が残っている人に比べ、1.9倍も認知症発症のリスクが高いという研究結果があります。
つまり、「自分の歯が歯が健康な人ほど、認知症になりにくい」と言えるのです。
【歯周病予防】
歯周病は口腔内だけでなく、消化器や脳など全身の機能に悪影響をもたらすことが分かっています。
また、自分の口と歯を使ってご飯が食べられることは、健康状態の改善にも役立ちます。
それは、上記のような低栄養からのフレイルを防止することにもなります。
【会話の量】
しっかりと口腔ケアをすることで、人との会話が増えるというメリットがあります。
唾液の分泌や、口周りの違和感や疲れが改善されたりすることでしゃべりやすくなるからです。
コミュニケーションが増えれば、それだけ精神的な健康が向上しますし、外に出たり何かのイベントに参加したりする機会が増えます。
また、人と会話することは脳の機能にも良い刺激が生まれます。
結果として全身の健康にも寄与するわけです。
国も注目する「口腔ケア」
こうした口腔ケアは、介護施設でも重視しており、愛知県名古屋市の老人ホームなどでも、しっかりとしたケアプログラムを設けて実施しているところが多いです。
というのも、対高齢者における「栄養」や「口腔ケア」の重要性については、実際に介護や医療の制度の内容にも反映され始めています。
また、そうしたケアが必要になる前の段階で、セルフケアを意識することがより重要です。
使いやすい歯ブラシや歯間ブラシなどを用意して毎回しっかりと磨くことや、首や口周り、顔面をストレッチするなどして筋力を維持するといった努力も重要です。
さらに、毎回の食事でよく噛むという基本的なことを意識するだけでも違います。
【おわりに…】
日本人は平均寿命が長いことで知られていますが、支援や介護がいらない期間である健康寿命を延ばすことについて関心が高まっています。そのためには、運動機能を低下させないための『栄養摂取』と日頃からの『口腔ケア』がポイントとなります。
こうした点は、本人と家族が日常生活の中で意識して取り組めることでもあります。生き生きと過ごせる日々をできるだけ長く延ばせるように、こうした点を心がけたいものです。
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