愛知県名古屋市の老人ホーム・介護施設紹介センターなら介護の窓口ケアまど「ケアまどニュース」ページ

NEWS

2022/03/21
コラム

介護業務の「効率化へ」押印廃止や記録のデータ化

による情報管理申請手続きなど、なにかとアナログ傾向にあった介護業界ですが、ここ数年で「デジタル化」の大きな波がきています。

その要因には人材不足負担軽減に加え、感染症の蔓延により直接的な接触を避けて業務を行う必要に迫られたことも追い風になったかもしれません。

具体的にどんな施策が採られているのか、この流れを加速させているどんな要因があるのかなどをチェックしていきましょう。

1.介護現場にも求められる「DX」とは

介護現場にも求められる「DX」とは

 

 DX(デジタルフォーメーション)

→デジタル技術を駆使して生活や業務の質やスピードを高めること

単に作業の中でIT技術を使うということだけでなく、業務プロセス顧客対応などのビジネスモデルそのものを変革させることを意味しています。

それだけデジタル化の波は大きなもので、これが本格的に介護業界に導入されれば、現場での働き方や介護サービスの提供の仕方が変化すると考えられます。

そのためには、ICT電子的な業務システムの導入が必須となります。

 

どちらかというと、介護業界介護を支援するための機器や人員介護施設そのものに投資を強める傾向がありました。

しかし、それだけでは現在介護業界が抱える人材不足などの課題を乗り越えていくのは難しい状況です。

そこで、業務効率の向上や、サービスの質の確保をするために、DXを推進する必要性が高まっているのです。

2.DXが必要になった背景

DXが必要になった背景

様々な業界でDXの必要性が叫ばれていますが、特に介護業界ではその重要度が高いものがあります。

その背景には、愛知県名古屋市でも懸念されている「2025年問題」があります。

 「2025年問題」とは  

→第一次ベビーブーム(1947〜1949年)に生まれた「団塊の世代」と呼ばれる人たちが、75歳以上の後期高齢者になることで起こるさまざまな問題

「2025年の壁」などとも呼ばれるこの問題は、介護だけでなく医療社会保障など、さまざまな社会機能に大きな影響を及ぼすと考えられています。

介護業界においては、介護が必要な高齢者の数の増加と、かねてから抱える介護人材の不足介護従事者への負担の拡大などの問題が重なることで、更なる人材不足が懸念されているのです。

 

 介護業界にも求められる「効率化」 

介護業務には多くの人出が必要となりますが、現実的には給与水準が低いことや現場での体力的・精神的な負担が大きいということで、なかなか人材が集まらないのです。

そこで、介護ロボットAIなどを使って、より効率的なケアができるように業務システムそのものを変革する必要があります。

また、介護の現場では、高齢者に対するケアという仕事に加えて、膨大な数の事務作業が生じています。

しかも、こうした書類仕事は手作業でなされていることも多く、スタッフの負担を増すものとなっています。

このような事務作業をデジタル化するだけでも、意味のある負担軽減となり現場における作業の効率化を図れます。

 

 「運営・管理方法」にも変革が必要 

介護業界では特有の習慣や経営手法、人員管理などの問題があります。

特に事業部門ごとに縦割り管理が生じていて、情報共有などの面で障害が生じるケースが多く見られています。

こうした内部で起こっている問題は、特に2025年以降に大きな経済負担となってのしかかることが指摘されています。

事業所の経営を危うくするものとなりますし、国や自治体の福祉関連の負担も大きくなります。

こうした問題は、最終的には利用者の費用負担の増大や、提供される介護サービスの質の低下につながるものとなるのです。

 

介護業界の構造全体を変革するためにも、DXは非常に重要な役割を果たす考えられます。

事業者や介護業界全体で、情報管理や業務システムのデジタル化をすることによって、スムーズな情報共有業務改善などが期待されています。

 

 「新型コロナウィルス」の影響 

介護業界においては、この2025年という近い将来に対する懸念がDXに関心を向けさせるものとなってきました。

しかし、2020年に始まった新型コロナウイルス感染症は、それをいわばDXの導入を前倒しする状況を作ることになりました。

直接的な接触の機会をできるだけ減らさないと感染のリスクが高まることが分かったからです。

 

職員同士の感染を防ぐために接触の機会を減らすとなると、今までの業務のやり方では仕事が進まないという事態に発展します。

また、利用者のご家族との接触も最低限にするという面でも、直接対話以外の手段を探さないといけません。

この点でも、デジタル化は非常に重要な役割を果たすことになり、2025年という先の話ではなく、足元の問題として考えるきっかけになりました。

 

 「アナログ」から「デジタル」へ 

書類をアナログな形で作成して職員同士でやり取りするといったものから、パソコン上で作成しペーパーレスの状態で情報共有するといった、業務手法への変化が重要視されるようになりました。

また、会議や利用者のご家族との対話を直接ではなく、ビデオ会議システムを使ったものにするという変化も見られています。

こうした流れをさらに進めて、ICTを活用した介護ケアそのもののデジタル化が行われていくことになります。

 

たとえば、利用者の方の安全を見守るためのベッドセンサー見守りメラの利用などです。

また、睡眠の時間や質をモニターする機器を使い、健康状態をデータとしてチェックして質の高いケアをするといった進化も導入される可能性があります。

 

このように、職員が行う事務処理の分野と共に、利用者に直接関わるケアについてもデジタル化が進むことによって、業界全体におけるビジネスモデルも変化していくでしょう。

デジタル化によって職員の負担が減れば、離職率の低下や、安定した質のサポートができることが期待されています。

さらに、事業者としても経営の安定化を図ることができ、無理のない事業継続ができるのです。

3.介護関係機関で「押印廃止」「データ化」進む

介護関係機関で進むDX

介護業界におけるDXにおいて大きな変化を見せているのが書類作成の手法です。

特に、書類への署名捺印は、介護事業者にとっても利用者にとっても手間のかかる作業となっていました。

というのも、介護サービスを受けるに当たっては、契約書を始めとして個人情報取り扱いに関する同意書ケアプラン機能計画訓練計画書など、たくさんの書類の作成や捺印が必要。

もちろん、それぞれの書類はトラブルなくケアを受けるために必要なものです。

しかし、署名捺印が必要なことで、サービス提供者と家族や本人に移動の手間や負担が強いられてきました。

また、新型コロナウィルスの影響により、接触が引き起こす感染リスクも大きな問題となっています。

 

そこで、令和3年度の介護報酬改定によって、こうした書面における捺印が原則不要となりました。

そして、紙を使った書類でなくても電子データでも構わないという変更がなされました。

つまり、パソコンやタブレットなどに書面を表示させて確認、共有すればペーパーレスにしても良いというものです。

いくつかの重要文書については、紙での保管や署名捺印が必要となるものもありますが、事実上ほとんどすべての書類についてこうしたやり方が認められています。

【おわりに…】

介護業界では現在「DX」が対面接触を避けるため、また文書の電子化を図るために進められています。しかし、これから業界全体に関わる「2025年問題」が迫っているため、よりデジタル化の動きを加速させる必要があります。介護施設にとって大きな挑戦ですが、安定した介護を提供するためには必要なものですので、この動きが順調に進むことが期待されます。