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2022/03/14
コラム

要注意!老人ホーム入居後の多いトラブルとは?

介護を受ける人にとっても、その家族にとっても「老人ホーム探し」というのは大きなライフイベントです。

数ある施設から本人の状態や条件にあった施設を探すのは容易ではありません。

しかしながら、苦労して施設を選んでも、入居後にトラブルが起きてしまうことは決して珍しくないのです。

多くの場合、介護施設の利用には多額のお金がかかるため、何か問題が生じると大きなトラブルに発展することも多いです。

そこで、事前にどんなトラブルが起こりえるかを知り、その予防策対処策を確認しておきましょう。

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1.トラブル①「入居一時金」

入居一時金によるトラブル事例

有料老人ホームの多くでは、利用を始めるに当たって入居一時金を求めています。

老人ホームの形態によってその金額は違うのですが、数百万円以上のまとまった支払いが必要な施設もあります。

この場合、入居一時金が指すのは一般住宅の敷金とか事務所を借りる時の保証金とは違います。

敷金などは、基本的に退去する時に返金されるものであり、住居に何らかの問題があって補修をする場合、その費用だけが引かれることになります。

 

しかし、老人ホームの入居一時金というのは、家賃の前払いに近い考えに基づく費用です。

多くの施設で支払った入居一時金のうち、15%~30%程度が入居時に施設側に差し引かれることになり、これを「償却」と呼びます。

その後残りの金額は、上記のように5年や15年といった、決められた年数で少しずつ差し引かれるのです。

この期間は「償却期間」と呼ばれています。

 

仮に、償却期間が5年で、5年以上住んだ場合は入居一時金は一切返ってきません。

家賃前払い分をすべて使い切っているからです。

これについては、一般的な家賃前払いと同じなので分かりやすいでしょう。

 

しかし、問題5年の償却期間の場合に、2年半しか住まなかった場合です。

これだと、決められた期間の半分しかいなかったので、入居一時金も半分返ってくると思いがちです。

しかし、実際には、上記のように入居一時金の15%~30%は入居時にすでに回収されています。

この仕組みを理解していないために、「思ったよりもお金が返ってこない」と思われる方がいるのです。

 

こうした入居一時金についての条件は施設によって違いがあり、必ず契約の際にもらう重要事項説明書に記載されています。

そのため、契約をする前に、どんなルールで入居一時金が回収、返金されるのかを確かめておきましょう。

分かりにくい点がある制度ですので、施設側に3年後に退居したらいくら返ってくるのか、10年後ならいくらかと、シミュレーションを表にしてもらうと良いでしょう。

こうした点を事前にしっかりとチェックしておけば、情報の行き違いがなくトラブルを防ぎやすいです。

2.トラブル② 請求金額が「想定より大きい」

請求金額の変動によるトラブル事例

事前に入居する時に見積もりをした毎月の費用や、パンフレットに書かれているサービス料金と比較すると、実際に請求されている金額が違うというのも起こりえるトラブルです。

それが想定よりもかなり大きいと、費用負担が重くなって継続利用するのが難しくなってしまうことすらあります。

こうした問題については、まず選ぶ施設によっては毎月の請求料金には変動が起きてしまうことを理解しておきましょう。

 

【どの施設でも起こり得る変動】

そもそも、各月で使用した水道光熱費日用品、参加したレクリエーションの参加費用といったものが変わってくる可能性はどこにでもあります。

また、おむつなどの消耗品は特に、月によって利用数が異なることは十分考えられます。

ただし、ここで起こる変動は極端に大きくなることはあまりありません。

 

【大きく変動する可能性のある施設】

注意が必要なのは、明らかに事前に聞いていた料金よりも高いとか、今までの請求よりも一気に金額が跳ね上がるケースです。

住宅型有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」と言った施設の利用契約と、介護サービスを受ける契約が別々になっている施設では、入居時にこの点を見極める必要があります。

 

例①:サービスの過剰提供

これらの施設では原則、訪問介護を利用して介護を受けるかたちになります。

制度上は自宅と同じようにデイサービスや訪問看護などのサービスを組み合わせて利用できるため、必要なサービス量を調整できるのがメリットです。

一方で、場合によっては必要以上のサービスが提供されていることもあり、この場合には思った以上の請求額になることがあります。

また、お金の問題だけでなく、本人の自立度を下げてしまう原因にもなりえるため、注意が必要です。

 

例②:自費サービスの提供

必要な介護サービスが非常に多い人の場合、介護計画で立てた以上のサービスが必要になることもあります。

サービスの量が介護保険で定められた介護度別の利用制限を超えた場合、オーバーした分が「自費サービス」というかたちで請求されるケースもあります。

本来1割~3割のみ負担している金額を10割で請求されるかたちになるため、一気に高額になる可能性があるわけです。

こうしたトラブルを避けるためには、定期的にケアプランをチェックしたり、施設とコミュニケーションをとっておくことが大切です。

また、入居する前介護サービスの提供や請求の仕組みについて、しっかりと説明を受けて理解しておきましょう。

3.トラブル③「緊急時」や「医療が必要になった場合」

緊急時のサポートにおけるトラブル事例

愛知県名古屋市でも、多くの老人ホームが緊急時や何らかの医療サービスが必要になった時に、連携している医療機関がサポートしてくれるということを売りにしている施設が多いです。

やはり、健康状態には気を使いますので、こうしたサポートをしてくれるところに入りたいと思うのは自然なことです。

しかし、医療機関と連携していると言っても、それがどの程度までのサポートなのかは施設によって差があります。

 

例えば、入居者が入院してしまった場合、どのくらいの期間部屋をとっておいて貰えるかや、医療的な処置が必要になった場合に、どの程度の医療管理が施設で行えるかはまちまちです。

また、ご家族が遠方であったり、すぐに駆け付けられない状況のなかで救急搬送が起きた場合、施設の職員が病院へ同行できるのか、家族到着まで付き添いできるのか、それに料金がどの程度発生するのか、といった問題もあります。

 

施設を運営する法人が医療機関も持っている場合などは比較的こうした対応がスムーズですが、そのような施設の数は決して多くはありません。

病気や怪我のリスクが高い高齢者の場合、緊急時や医療対応については事前にしっかりと施設と話し合っておく必要があるでしょう。

 

【おわりに…】

高齢者にとって生活の大半の時間を過ごし、健康を守るために重要な場所となる介護施設ですが、トラブルが発生することも少なくありません。特に入居一時金追加費用など、お金に関する問題が出てくると大変です。
事前に契約やプランについてしっかりと確認し、いろいろな状況を想定しておくことが予防のためには重要です。安心して老後を過ごせるように、綿密な話し合いと調査を心がけましょう。