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ケアまどニュース
年末年始に高齢者が気を付けたい「3つの事故」
コロナ禍で迎える年末年始。
感染を心配して帰省を控える人もいるため、高齢の方だけで過ごすという方も少なくないでしょう。
そんな中で気を付けていただきたい、この時期の高齢者ならではの「事故」について、ご説明します。
怪我は「寝たきりの原因」にも。大掃除や飲酒に要注意!
機能低下による身近なリスク
年齢を重ねると、住み慣れた家の中でもつまずいて転びそうになるというようなことが増えるのではないでしょうか。
「これまでこんなことなかったのに…」と思うかもしれませんが、加齢とともに運動機能が低下したことが原因です。
また、高齢になると、ちょっとした転倒やつまずきが怪我に繋がることにも注意が必要です。
家の中で足を滑らせただけで骨折ということも実際よくあります。
骨折などの怪我をきっかけに寝たきりになるということもよくある話ですので、ご自身が高齢の場合はもちろん、ご家族に高齢者のいる場合は家族全員で気をつけてあげましょう。
「飲酒」による怪我
そんな高齢者にとって危険な怪我ですが、年末年始に増加することをご存じでしょうか。
年末年始といえば、忘年会や新年会はもちろん、自宅で過ごす場合でもお酒を飲む機会が増える傾向にあります。
酩酊して転倒した挙げ句、怪我をするという人は年齢にかかわらずたくさんいますが、高齢者の場合、ちょっとしたはずみで大怪我をしてしまうこともあるので注意です。
「大掃除」による怪我
【掃除中の事故は12月が最多】
また、年末といえば大掃除の時期ですが、この時期には掃除中の怪我も増えるので注意してください。
東京消防庁の公表するデータによると、掃除中の事故で救急搬送となる件数は12月が1年のうちでも最多です。
過去5年間、掃除中の事故で毎年700人以上も救急搬送されています。
しかも、そのうち6割以上が60歳以上の高齢者です。
愛知県名古屋市でも同様の傾向が見られるでしょう。
【掃除中の事故「原因」は?】
・高い場所や段差からの転落
・掃除機のコードに引っかかって転倒
・身をかがめた拍子に転がる 等
おそらく怪我をした当人にとっては、まさか怪我をするとは思わなかったというレベルの動作だったことでしょう。
しかし、高齢になると身体機能の衰えから、若いころと同じように動けないのは仕方のないことです。
ちょっとよろめいたぐらいなら、これまでなら難なく体を支えることができたでしょう。
ところが、「これまではできていた」という油断の気持ちもあって、転倒や転落などの事故につながることがあります。
【ちょっとした事故も大けがになりやすい】
若いころと違って怪我をしやすくなっていることにも注意です。
若いころなら軽い捻挫で済んでいたところ、骨折など入院が必要なレベルの大怪我に発展することもあります。
身体機能の衰えが顕著な場合や、家族からみて不安を感じる場合には、無理に高齢者だけで掃除をしようとしないことが大切です。
高いところや不安定な場所、体に負担がかかる掃除は、家族にお願いしたり、家事代行サービスや、対応可能な範囲で介護保険サービスを利用するのでもよいでしょう。
高齢者のみの世帯で、自分たちが掃除しなければ誰も掃除する人がいないというのであれば、怪我のリスクを可能な限り減らすための準備が大切です。
たとえば、つまずく危険をなくすために、「床に物を置かない」、「コードレスの掃除機を使う」、などといった配慮があるだけでもだいぶん違います。
意外と多い「窒息」。気を付けて欲しいこと。
年末年始で意外と多い事故が「窒息」です。
高齢者の窒息というとお正月にお餅を喉に詰まらせて…という事故がイメージされますが、危険なのはお餅だけではない点を知っておいてください。
ご飯やパン、いつものおかずでも高齢者にとっては窒息のリスクがあります。
老化によって「体の内部の機能」も衰える
年を取ると身体機能が低下しますが、それは体の内部についても同様です。
食事中に食べ物が喉につかえると、通常なら反射的に咳が出て吐き出そうする機能が高齢になるほど低下することに注意が必要です。
食べ物が喉に詰まってしまったら…
通常なら喉に詰まらせた本人がなんらかの反応をするはずです。
自分では咳が出せなくても声を出そうとしているのなら、背中を叩くなどして無理やり吐かせる方法があります。
息はできるが喉のつかえが取れない場合は、早急に病院を受診しましょう。
一方、喉が詰まって声を発することもできない場合は、一刻を争う事態です。
窒息して呼吸が完全に止まった場合、迅速に対処しないと脳死のリスクが高まります。
なによりもまず119番通報をする必要がありますが、救急車が到着するまで何もせずに待っているわけにはいきません。
強く背中を叩く「背部叩打法」や、後ろに回って握りこぶしでみぞおちを圧迫する「腹部突き上げ法」という方法があります。
腹部を圧迫するのは高齢者にとってリスクが大きいですが、窒息して呼吸が停止しているのなら緊急のケースです。
せめてご家族の方は背部叩打法のやり方を知っておきましょう。
こちらは比較的リスクが少ないため、老人ホームなどの介護施設でも採用されています。
自分でできる「予防法」
大切なのは、最初から食べ物を喉に詰まらせないように意識することです。
・問題なく飲み込める大きさまで小さく切る
・水分を取って喉を潤しながら食べる
・唾液がしっかり出るまで十分噛む
・慌てて飲み込まず「今飲み込むぞ」とちゃんと意識しながら飲み込む
・お餅の場合、大根おろしをつける等、飲み込みやいよう食べ合わせを工夫する
冬場の入浴は要注意!ヒートショックの予防方法。
家に潜む「ヒートショック」の危険
冬場の入浴には「ヒートショック」の危険があります。
これは、暖かい部屋から寒い部屋に移動した時のように、温度変化が急激な環境に身を置いた時に、血圧が大きく変動することから起こる現象です。
冬場は、リビングなどはエアコンやストーブなどで暖かく保たれているものの、浴室やトイレなどは寒いままのことが多いです。
若い人にとってはなんでもないことでも、高齢者の場合、暖かい部屋から寒いところに移動するだけでも体に大きな負担がかかります。
場合によっては、気を失ったり心筋梗塞などの病気を引き起こしたりすることもありますので、冬場のヒートショックにはくれぐれも気をつけましょう。
予防法は「温度差を小さくする」こと
【部屋の温度調整】
ヒートショックを防ぐには、家の中でなるべく温度差を作らないようにすることです。
いない部屋の暖房まで付けておくのはもったいないと感じるかもしれませんが、少なくともその場所に移動することがあらかじめわかっている時は、事前にエアコンやストーブで暖かくしておくことはできます。
特に、入浴時は裸になるため十分な注意が必要です。
脱衣所を暖かくするのはもちろん、浴室内も入浴前にはなるべく暖かくしておきましょう。
浴室暖房がなくても、お風呂の蓋を開けておくことで湯気によって少しは暖かくなります。
【移動はゆっくり。入浴前には声掛けを】
また、湯船から出る時も注意が必要です。
勢いよく立ち上がった途端、急激に血圧が下がって立ちくらみを起こすことがあります。
ふらついて転倒したり、場合によっては失神して湯船のなかで溺れてしまったりなどということも考えられますので、お風呂から出る時はなるべくゆっくり行動することを心がけてみてください。
あと、ご家族と同居であれば、入浴前には一声かけるようにしましょう。いざという時に駆けつけてくれる人がいれば安心です。
【おわりに…】
年末年始に高齢者が特に注意したい事故として、飲酒や大掃除などに伴う転倒からの怪我、食事の際の窒息、入浴時などのヒートショックについてお伝えしました。「年末年始は例年どおりゆっくり過ごすだけ」という人でも、高齢になると「このぐらい大丈夫」という油断が事故を招きます。上記を参考に、安全に過ごせるように日ごろから気をつけましょう。
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