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2021/11/22
コラム

『介護のきほん』介護度別、体の状態のイメージを掴もう!

介護保険において、認定される 介護度 には、その人が日常でどの程度の介護が必要かによって変わります。

今回はその段階別に「本人の状態の違い」と、「サービスの選択肢の違い」についてご説明します。

介護認定には「段階」がある

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 介護サービスを利用するために 

介護サービス利用のスタートラインは、介護認定を申請し、どのぐらいのサービスの必要度を判定してもらう必要があります。

その介護認定ですが、公平、かつ、客観的な判定が必要となるため、以下のように2段階の判定が行われることを知っておきましょう。

段階①【コンピュータによる一次判定

一次判定では、認定調査のいくつかの項目について、それぞれ選択肢を作り、対象となる高齢者を調査結果に従って分類していきます。

さらに、先のデータと照らし合わせて、心身の状態が最も近い人のデータを見つけます。

そのデータが近い人が必要とする介護の時間とサービス内容を参考に、認定調査の対象者の要介護認定等基準時間を算出するという流れです。

 

この推計においては、全部で5つの分野についてそれぞれ時間を算出します。

①直接な生活介助:入浴、排せつ、食事等の介護

②間接的な生活介助:洗濯、掃除等の家事援助等

②機能訓練関連行為:歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練

③BPSD(認知症の周辺症状)の関連行為:徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等

⑤医療関連行為:輸液の管理、褥瘡(じょくそう)の処置等の診療補助

その時間に認知症加算を加え要支援1~2、要介護1~5の各段階に振り分けされることになっています。

 

要介護認定等基準時間

簡単に言えば介護に必要な時間のことで、これが長い人ほど要介護度が高くなるわけです。

たとえば、要支援1に判定される状態は介護が必要な時間が25~32分未満要支援2はそれが32~50分未満という具合です。

最も介護度が進んだ要介護5の場合、要介護認定等基準時間は110分以上となっています。

ただ、この要介護認定等基準時間は上記の1分間タイムスタディで算出した時間であって、実際の介護に要した時間と必ずしも同じではありません

介護認定のための一つの目安であって、訪問介護などの介護サービスを受ける時間とも直接は連動しないことに注意してください。

 

段階②【介護認定審査会による二次判定

一次判定の結果をもとに、今度は「介護認定審査会」という、保健医療福祉分野の学識経験者らが5人程度で構成する会議において、さらに詳しく審査します。

コンピュータの判定だけでなく、専門家が検討した結果が要介護認定に反映されることになります。

介護度別の「状態像」

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先述した介護認定の審査結果次第で受けられるサービスの内容が異なりますが、まず、要支援か要介護で大きな違いがあることに注意してください。

【要支援1~2の人:介護予防サービス

簡単に言うと、現状をキープ、もしくは悪化しないようにして要介護状態を予防することを目的にしています。

【要介護1~5の人:介護サービス

介護サービスとは、介護が必要な人が日常生活をつつがなく送れるようサービスを提供することが目的になっています。

 

介護が必要な方は、同じ介護度でも個人差が大きいためひとくくりにはできませんが、介護度別の平均的な状態像について、以下を一つの目安にしてください。

 要支援1 

身の回りのことや居室の掃除などだいたいのことは自分でできるが、一部で手助けや見守りなどの介助を必要とする状態です。

また、立ち上がりの動作や片足で立った姿勢をキープするなどの複雑な動作に支えが必要な場合もあります。

食事や排泄は基本的に一人でできて問題のない状態です。

 要支援2~要介護1 

おおむね要支援1と同じイメージですが、両足で立った姿勢をキープすることや歩行などの移動動作において、なにかしら支えが必要となる場合がある状態という項目がプラスされています。

さらに状態が悪くなると、要支援ではなく要介護に分類されるのですが、要介護1と要支援2の分かれ目は難しいポイントです。

要支援2と要介護1の判定の分かれ目の大きな要因としては、認知症の兆候があるかどうかがあります。

認知症の疑いを認められた時は、身体の状態は要支援でも、要介護1の判定がでることが多いです。

また、今後6か月以内で心身の状態に大きな変化が起きる可能性があると主治医などに判断された場合も、要介護1になります。

 要介護2 

要介護2になると、食事や排泄のような基本的な動作にも介助が部分的に必要とします。

また、掃除や身の回りの世話などにも介助が必要な状態です。

あとは要介護1と同じですが、問題行動や理解力や思考力の低下が見られる場合は要介護2になります。

 要介護3~5 

要介護3、4、5と進むにつれ、歩行や立ち上がりなど、生活における基本的な動作にも介助が必要になります。

移動に車いすが必要になってくるのもこのあたりからで、要介護4以上では寝たきりの方が多くいます。

また、認知症に関しても、生活動作においても声掛けが見守りが必要であったり、問題行動なども多く見られるようになります。

最後の要介護5は、生活のすべてにおいて介護を必要とし、意思の疎通が難しい方や、口から食事をとれない方もみられます。

介護度によって変わる「選択肢の違い」

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介護度によって何が変わるかというと、受けられる介護サービスの選択肢や量です。

例えば「入所サービス」でいえば、公的、民間含め愛知県名古屋市にも多数の介護施設がありますが、区分された要支援度や要介護度によって利用できる施設やサービス、入居条件などが違います。

公的施設を例にみてみると、

●特別養護老人ホーム:原則要介護3以上

●介護老人保健施設:要介護1以上

●介護療養型医療施設・介護医療院:要介護1以上

一方、グループホームや有料老人ホームなどの民間施設の場合、入居条件は公的な施設ほど厳格ではありません。

●グループホーム:要支援2以上(ただし、入居できるのは認知症の診断を受けた方のみ)

●有料老人ホーム:自立~要介護5

ただし、民間の施設であっても、それぞれの施設ごとに介護度の条件を定めている場合や、介護度以外のことを入居条件に定めているところもあります。

また、小規模・地域密着を掲げている施設では、入居できるのは施設のある自治体の住民票を持つ人のみです。

グループホームに関しても、基本的に住み慣れた場所で生活を続けることを理念としているため、施設がある市町村の住民票がある方のみが入居対象です。

 

【おわりに…】

どんなに元気な方であっても思わぬ怪我や病気によって、いつ介護が必要な状態になるかはわかりません。急に介護サービスを利用しなければならない状態になることもあるでしょう。とはいえ、介護認定は申請してから認定がおりるまで1ヶ月程度必要となります。本人の状態をみながら、どの程度の介護が必要なのか、どのくらいの認定がおりてサービスを利用できそうか。どんな介護施設を検討するべきか。こうした介護度に関する知識を予めもっておくことで、精神面だけでなく、具体的なサービスや生活環境の整備に対し準備ができるのではないでしょうか。