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2021/08/30
コラム

居宅支援管理者「主任ケアマネ」配置70%超

2006年の介護保険制度の改正を機に、「介護支援専門員(ケアマネージャー)」の上級資格として、主任介護支援専門員主任ケアマネージャー)が誕生しました。

介護を必要とする要介者とその家族を支えると共に、地域の中で適切な介護サービスを受けられるよう、ケアプランと呼ばれる介護計画の作成や、介護や医療などとの調整を行う介護のプロです。

実際に介護ケアを必要とする方たちが必ずと言って良いほど、接する機会のある職務ですので、ケアマネージャーについての情報を取り入れておくことは役に立ちます。

居宅介護支援専門員「通称ケアマネ」とは

居宅介護支援専門員「通称ケアマネ」とは

居宅介護支援専門員は、介護業界ではケアマネージャーを略して、ケアマネと言われることも多いです。

このケアマネとは、介護ケアについての調整が主な業務となります。

 ケアマネの役割 

それぞれの要介護者の状態を把握した上で、本人やご家族の希望を考慮して適切なケアが提供できる介護事業所を探します

また、自治体や地域の状況についても把握して、公平なケアを必要な方に間違いなく提供できるように細やかな調整をすることも求められます。

そして、実際に通ったり入所したりすることになるサービス事業者との連絡を取り、スムーズにケアを受けられる体制を整える役割を担っています。

 

同時に、ケアプランつまり介護に関係するサービス計画書を作るのもケアマネージャーの仕事です。

どの程度の支援が必要かを判断すると共に、それぞれの介護事業所でどの程度のサポートを提供するかを考えて総合的にプランを作成します。

要介護者本人の機能障害の度合いご家族の事情などもありますので、同じ介護度の方であっても、それぞれに合ったプランを作る必要があります。

それぞれの事情や状況を考慮した、オーダーメイドの計画を作るわけです。

 

 ケアマネになれる人 

こうした多方面にわたる業務を行っていくため、ケアマネージャーとして働くためには幅広く高度な社会福祉についての知識が求められます。

そのため、受験資格があるのは一定の基準を満たした人だけなのです

更に、この試験に合格したのち、実際にケアマネとして働くためには、初回時と資格の更新時に規定の講習を受ける必要があります。

 

さらに、ケアマネージャーは、単に適切なケアを提供するための調整をするだけでなく、状況に応じて「所得に因る減額の仕組み」や「医療や障害に対する知識」も必要となります。

そのため、介護・医療・障害の費用に関係する制度や知識に常にアンテナをはり、最新の情報を把握しておかなければなりません。

 

 ケアマネの活躍の場 

ケアマネージャーの主な職場としては、「居宅介護支援事業所」と呼ばれる、在宅生活のサポート専門の事業所があります。

また、自宅に限らず、特別養護老人ホームといった介護施設内での生活のプラン調整をする「施設ケアマネ」といった役割もあります。

 

更に、「地域包括支援センター」と言う、それぞれの自治体で介護についての相談や情報発信を行っている窓口で働く人もいます。

高度な介護保険についての知識を持っていますので、その知識を活かして介護関連用品を販売したり、介護施設を紹介する民間企業に勤める人もいます。

「主任ケアマネージャー」とは

「主任ケアマネージャー」とは

 主任ケアマネとは 

主任ケアマネージャーは、ケアマネージャー(以後、ケアマネ)のまとめ役的存在になる専門職で、ケアマネの中から、所定の研修を受けた者が取得できます。

主任ケアマネになると、新人ケアマネ指導育成、ケアマネがケアプランを作成する際支援相談助言を行います。

また、地域課題の発見や解決、そして地域の発展のために尽力することが介護のエキスパートとして期待されています。

 

 主任ケアマネの役割 

具体的には、介護施設や居宅介護支援事業所などの介護に関わる事業所に勤務して、そこで働くケアマネージャーの管理職として働きます。

それぞれの業務がスムーズに行くようにマネジメント調整をしたり、より良いサービス提供ができるように育成に努めたりします。

定期的に研修会を開催したり、個々の職員に対してアドバイスを与えたりすることで、細やかな指導を与えることも重要な役割と言えます。

さらに、個人的に仕事についての相談に乗るといった、管理者的役割も行っていきます。

 

 主任ケアマネの活躍の場 

地域包括支援センター特定事業所加算を取得する事業所においては、主任ケアマネージャーの配置義務があります。

包括支援センターでは、一つの事業所ではなく地域全体の社会福祉の実践についての管理や、市民の方々への相談業務がメインとなります。

地域住民の方々が安心して老後の生活を送ったり、障害を抱えても安心して過ごしたりできるように、福祉サービス全体の調整を行っていくわけです。

 

また、地域包括支援センターに訪れる、介護を必要とする方へのアドバイスや様々な調整を行っています。

適切な介護サービスを受けられるように、必要に見合った介護施設を見つけたり、無理のないケアプランを作ったりします。

個々のニーズに合わせるだけでなく、地域の事業所の状況も考えて最も公平で適正なサービス提供状況を整えることが求められます。

それだけに、高度な社会福祉についての知識と共に、総合的な判断能力が必要となる仕事です。

主任ケアマネが管理者の事業所が70%を突破

主任ケアマネが管理者の事業所が70%を突破

主任ケアマネは地域の社会福祉や、介護施設のサービス向上にとっても重要な役割を果たしています。

そのため、厚生労働省としても、より多くの主任ケアマネージャーが活躍することを期待しています。

 

実際に、主任ケアマネージャーの配置を必須とする施設種類が増加しています。

前述したように、地域包括支援センターでは元々配置義務がありますが、他にも特定事業所加算を算定する事業所においても配置が求められています。

これから先には、居宅介護支援事業者でも主任ケアマネージャーを配置するように、ルールが改定されていくことになるでしょう。

 

こうした動きに合わせて、全国の老人ホームなどの介護施設でも主任ケアマネを積極的に登用するところが増えています。

実際に、統計を取ってみると、主任ケアマネージャーが管理者となっている事業所は全体の70%を超える、との回答が得られています。

愛知県名古屋市においても、高い割合で配置がなされています。

 

こうした動きによって、地域や施設における質の高い支援の提供が期待できるのがメリットです。

また、これから介護施設の利用を検討している方にとっては、施設選びの参考にすることができます。

それぞれの介護施設で状況が異なりますので、しっかりと情報収集をして納得してから決定することが大事です。

その一つの基準として、主任ケアマネージャーが配置されているかということを確認してみるのも良いでしょう。

【おわりに…】

超高齢化が進んでいる日本においては、適切な介護サービスを提供できる施設とスタッフの数と共に、質の向上が必要となります。
そのための一つの策として、ケアマネージャーと主任ケアマネージャーという資格保有者の拡充が進められています。
介護ケアを利用する側としても、サービス提供者がどんな資格やスキルを持っているのかを知り、より適切な介護施設を選べるようにしたいものです。