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2026/09/16
コラム

高齢者の味覚はどう変化する?味を感じにくくなる原因と食事の工夫

高齢者の味覚はどう変化する?味を感じにくくなる原因と食事の工夫

高齢になると「以前より味を感じにくい」「料理がおいしく感じられない」など、味覚の変化がみられることがあります。味覚の低下は食欲や栄養状態にも関わるため、変化に早めに気づくことが大切です。今回は、高齢者の味覚が変化する原因や注意したい影響、食事を楽しむための工夫についてご紹介します。

高齢者の味覚が変化する原因とは?

味覚には「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」という5つの基本的な味があります。食べ物に含まれる味の成分を舌などにある味蕾(みらい)の味細胞が受け取り、その情報が神経を通じて脳に伝わることで、私たちは味を感じています。
高齢になると味覚機能が低下することがあります。ただし、その原因は単純に「年齢を重ねたから」というだけではありません。加齢に伴う味細胞の働きの変化に加え、唾液の分泌量が減って口の中が乾燥する「ドライマウス」や、舌苔が厚くなることで味の成分が味細胞まで届きにくくなることなども関係します。
また、味細胞が生まれ変わるために必要な「亜鉛」が不足することも、味覚障害の原因の一つです。高齢者の場合は加齢による消化・吸収機能の変化に加え、服用している薬や全身疾患などが影響して亜鉛が不足する場合もあります。
さらに、味覚そのものではなく、嗅覚の低下によって食べ物の「風味」を感じにくくなっているケースもあります。「年齢のせいだから仕方がない」と決めつけず、さまざまな原因が考えられることを知っておきましょう。

味覚の変化が食欲や健康に影響することも

味覚が低下すると、これまでと同じ味付けでも「薄い」「味がしない」と感じることがあります。その結果、醤油や塩、砂糖などを多く使うようになり、知らないうちに味付けが濃くなってしまうことがあります。
一方で、料理をおいしいと感じにくくなることで、食事そのものへの関心が薄れてしまうことも注意したいポイントです。食べる量が減少すると、必要なエネルギーやたんぱく質などの栄養素を十分に摂取できなくなり、低栄養につながる可能性があります。
食事は、単に栄養を摂取するだけではなく、毎日の生活を楽しむ大切な時間でもあります。そのため、味覚の変化は食欲だけでなく、生活の質(QOL)にも影響する可能性があります。
「以前好きだった料理を残すようになった」「食事量が減った」「何にでも醤油をかけるようになった」など、本人が味覚の変化を自覚していなくても、家族が食事の様子から気づくことがあります。こうした変化が続いている場合には、日頃の食事内容や体重の変化などにも目を向けてみましょう。

食事をおいしく楽しむための工夫

味を感じにくくなったからといって、単純に調味料を増やして味付けを濃くするのではなく、食材の風味を活かす工夫を取り入れてみましょう。
例えば、だしの「うま味」を活用すると、塩分を控えながら料理のおいしさを引き立てることができます。また、香味野菜や香辛料、柑橘類などの香りや酸味を上手に取り入れるのも一つの方法です。料理の彩りや盛り付けを工夫し、見た目や香りから食欲を刺激することも食事を楽しむ助けになります。
口の乾燥が気になる場合には、よく噛むことを意識したり、煮物や蒸し物、汁物など水分を含む料理を組み合わせたりするのもよいでしょう。
亜鉛を食事から摂ることも大切です。亜鉛は牡蠣などの魚介類をはじめ、肉類や卵、大豆製品などさまざまな食品に含まれています。ただし、サプリメントによる過剰摂取には注意が必要です。
味が極端に薄く感じる、何も食べていないのに苦味などを感じる、急に味が分からなくなったといった症状がある場合は、自己判断だけで対応せず、医療機関へ相談しましょう。服用している薬やほかの病気が関係している可能性もあるため、気になる変化を放置しないことが大切です。

まとめ

高齢者の味覚の変化には、加齢だけでなく、口の乾燥や亜鉛不足、薬、病気、嗅覚の低下などさまざまな要因が関係します。食事量や味付けの好みが変わったときは、味覚の変化にも目を向けましょう。だしや香り、彩りなどを工夫しながら食事を楽しみ、気になる症状が続く場合には、自己判断せず早めに医療機関へ相談することが大切です。