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2026/09/13
コラム

終活で考えておきたい家族信託とは?

終活で考えておきたい家族信託とは?

終活では、相続や葬儀だけでなく、認知症などで判断能力が低下した場合に備えて、財産をどのように管理するか考えておくことも大切です。その方法の一つに「家族信託」があります。ここでは、家族信託とはどのような仕組みなのか、成年後見制度との違いとあわせてご紹介します。

家族信託とは?家族に財産の管理を任せる仕組み

家族信託とは、自分が所有する財産を信頼できる家族などに託し、あらかじめ決めた目的に沿って管理・運用・処分してもらう仕組みです。

たとえば、親が自分の老後や介護に必要な資金を確保するため、親が所有する自宅や預貯金・不動産などを子どもに託し、管理を任せるといった活用方法があります。契約内容によっては、親の判断能力が低下した後も、受託者となった家族が不動産の管理や売却などを進めやすくなります。

家族信託では、財産を託す人を「委託者財産を託されて管理する人を「受託者その財産から利益を受ける人を「受益者と呼びます。親を委託者兼受益者、子どもを受託者とすることで、財産の管理を子どもに任せながら、家賃収入などの利益は引き続き親が受け取るといった仕組みにすることも可能です。

家族信託の特徴は、本人に十分な判断能力があるうちに、財産を「誰に」「どのように管理してもらうか」を比較的柔軟に設計できることです。また、財産を将来誰に引き継ぐのかについて、一定の範囲で決めておくこともできます。

そのため、認知症などによる判断能力の低下に備えた財産管理だけでなく、相続を見据えた終活の方法として検討されることがあります

一方、家族信託が対象とするのは基本的に財産管理です。介護施設への入所契約など、本人の生活や療養に関する法律行為を幅広く支援する「身上保護(身上監護)」の機能はありません家族信託だけですべての老後の備えができるわけではない点に注意しましょう。

家族信託は財産管理や資産承継を柔軟に決められる

家族信託の特徴は、本人の希望を反映しながら、財産の管理方法を比較的柔軟に決められることです。

信託契約では、「どの財産を託すのか」「誰に管理を任せるのか」「どのような目的で財産を管理・処分するのか」などを決めます。契約内容に応じて、不動産の管理や売却、買い換えなどを受託者が行えるようにすることもできます。

また、家族信託は財産を管理するだけでなく、将来の資産承継に活用できる場合があります。財産を受け継ぐ人をあらかじめ定めたり、その次に財産を受け継ぐ人を指定したりするなど、遺言とは異なる方法で将来の承継について決めることができます

一方で、家族信託を利用するためには、財産を任せられる信頼できる受託者が必要です。受託者には、信託財産を自分自身の財産と分けて管理することや、帳簿を作成することなどの義務もあります。

家族信託はすべての人に適しているわけではありません。家族構成や財産の内容、将来どのような管理を希望するのかを家族で話し合い、自分たちに合った方法を考えることが大切です。

家族信託と成年後見制度の違いは?目的に合わせて考えよう

家族信託と成年後見制度の大きな違いは、「何を目的として利用するのか」という点にあります。

家族信託は、主に財産の管理・運用・承継を目的とする仕組みです。信託契約の内容に応じて柔軟な財産管理ができるため、「認知症になった後も家族が自宅を売却できるようにしておきたい」「賃貸不動産の管理を子どもに任せたい」といったケースで活用が考えられます。

これに対して成年後見制度は、判断能力が低下した本人の権利や生活、財産を守ることを目的としています。家族信託との大きな違いの一つが、生活や療養に関する法律行為への対応です。家族信託の受託者は、信託財産から介護施設の費用を支払うことはできますが、家族信託を理由として本人に代わり施設の入居契約を結ぶことはできないことがデメリットのひとつです。成年後見制度の財産管理では、本人保護を重視する観点から、資産運用や積極的な不動産売却、節税対策などは制限され、家族信託よりも柔軟な対応ができないことがデメリットといえます。また、成年後見人に選出された人が専門職である場合は、報酬の支払いも生じますが、家族信託なら家族間なのでランニングコストはかからないことも違いの一つです。

家族信託と成年後見制度をどちらかを選ぶのに、本人や家族の状況によって適した方法は異なります

また、家族信託と成年後見制度を組み合わせることが適している場合もあります。終活では、財産のことだけでなく、認知症になったときの生活や介護、亡くなった後の手続きなども含めて考え、自分に必要な制度を整理しておくことが重要です。

まとめ

終活では、認知症などによる判断能力の低下を想定し、将来の財産管理について考えておくことも大切です。家族信託と成年後見制度では目的や対応できる範囲が異なります。それぞれの特徴を理解し、家族で希望を話し合いながら、必要に応じて専門家へ相談しましょう。