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2026/07/17
コラム

成年後見制度の見直しで何が変わる?今後の方向性と利用者支援への影響

成年後見制度の見直しで何が変わる?今後の方向性と利用者支援への影響

認知症高齢者や知的障害・精神障害のある方の権利を守る仕組みとして活用されている「成年後見制度」
しかし近年は、「一度利用するとやめられない」「本人の意思が反映されにくい」といった課題も指摘されてきました。現在、国では制度の見直しが進められており、今後の支援のあり方にも大きな影響を与える可能性があります。今回は、成年後見制度の見直しの背景と今後の方向性について解説します。

成年後見制度が見直される背景

成年後見制度は、判断能力が十分でない方の財産管理や契約手続きなどを支援する制度です。しかし現行制度には、利用者や家族からさまざまな課題が指摘されてきました。

代表的な課題として挙げられるのが、「判断能力が回復しない限り利用を終了できない」という点です。また、本人の生活環境や支援ニーズが変化しても、後見人の交代や支援内容の見直しが容易ではないことが課題とされています。さらに、本人の自己決定が必要以上に制限される場合があることも課題として挙げられています。

高齢化の進展に伴い、成年後見制度を必要とする人は今後さらに増加すると見込まれています。そのため、利用者一人ひとりの状況に応じて、必要な期間・必要な範囲で利用できる制度への転換が求められています。

見直しで検討されている主な内容

法務省の法制審議会では、成年後見制度の抜本的な見直しに向けた議論が進められています。2025年には「民法(成年後見等関係)等の改正に関する中間試案」が公表されました。

現在検討されている主な内容として、次のようなものがあります。

必要性に応じて利用終了できる仕組み

これまでの制度では、原則として判断能力が回復しない限り後見を終了できませんでした。見直しでは、後見開始の必要性がなくなった場合に終了できる仕組みが検討されています。

本人の意思を尊重した後見人の選任

本人の意向に沿った後見人の選任や交代がしやすくなるよう、新たな解任事由の整備や交代制度の見直しが議論されています。これにより、本人のニーズに合った支援が期待されています。

任意後見制度の活用促進

将来に備えて契約を結ぶ任意後見制度についても改善が検討されています。本人の判断能力が低下した際に、適切なタイミングで任意後見監督人の選任申立てが行われるよう、申立権者の範囲を広げる案などが示されています。

こうした見直しによって、利用者の自己決定を尊重しながら必要な支援を受けられる制度への転換が目指されています。

今後の福祉・介護現場への影響

成年後見制度の見直しは、介護・福祉現場にも大きな影響を与えると考えられています。

厚生労働省では、制度改正後を見据えた権利擁護支援体制の整備についても検討を進めています。特に、身寄りのない高齢者への支援や、成年後見制度だけに頼らない地域での権利擁護支援の充実が重要なテーマとなっています。

また、地域連携ネットワークの強化中核機関の機能充実市民後見人や意思決定支援の担い手の育成なども今後の課題として挙げられています。制度利用の有無に関わらず、地域全体で本人を支える仕組みづくりが求められています。

介護・福祉事業者にとっても、利用者の意思決定支援や権利擁護の視点をこれまで以上に重視した支援が必要になるでしょう。成年後見制度の変化を理解し、関係機関との連携を深めることが重要になります。

まとめ

成年後見制度は、利用者の自己決定を尊重しながら必要な支援を受けられる仕組みへと見直しが進められています。後見の終了制度や後見人の交代制度など、これまで課題とされてきた部分の改善が期待されています。今後は制度改正だけでなく、地域全体で権利擁護を支える体制づくりも重要になります。介護・福祉関係者は最新の動向を把握し、利用者一人ひとりに寄り添った支援につなげていくことが求められます。