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ケアまどニュース
介護業界への参入。2年間従事で貸付金返済免除に。
高齢者の数が増える一方、それを支える介護士が大幅に不足しています。
この問題は、国全体の問題となっていますが、愛知県名古屋市も例外ではありません。
この問題を解決するために、政府総力を挙げて介護スタッフの獲得に注力しています。
その取り組みとして生まれたのが、2021年4月に厚生労働省が主導でスタートした『介護職就職支援金貸付事業』です。
これは新規に介護職として働く人を対象としたもので、従来の再就職準備金貸付制度と合わせて介護福祉分野で働く人材を支援するための制度です。
▼Youtubeでも関連制度を動画解説しています
介護職未経験の方はコチラ『介護職就職支援金貸付事業』
介護職経験者の方はコチラ『再就職準備貸付制度』
1.創設背景には新型コロナウィルスによる失業も
再就職準備金制度
慢性的な人材不足を背景に、2016年に施行が開始となった制度です。
再就職準備金貸付では、既に介護資格や介護経験を持っている人が、介護職として再就職しやすくする目的があります。
コロナ前から存在していた貸付金制度ですが、コロナによって失業した人が急増した2020年には、この制度が大きく注目されました。
その背景には、コロナの影響によって完全失業率が上昇している背景があります。
全国的にコロナショックに見舞われた2020年には、完全失業率はリーマンショック以来の水準の2.8%で、前年度よりも0.4ポイント上がりました。
コロナ禍においては企業が雇用を控える傾向にあり、その結果、有効求人倍率は前年度と比べて大幅に低下しています。
そんな中でも、介護福祉分野における人材不足は深刻です。
有効求人倍率は3.90倍と、全職業と比べて約4倍もの開きがあります。
これまでの取り組みによって離職率は多少改善されましたが、それでもほかの業種と比べると人材不足は深刻です。
コロナ禍においても、介護のニーズは減りません。
しかし、コロナの影響によって感染防止対策や利用者や入居者が感染した場合の対応など、介護施設や老人ホームへの負担は増加しました。
コロナの前から慢性的な人手不足が問題となっていた業界なので、コロナの影響によってスタッフへの負担はこれまでよりも大きくなってしまったわけです。
そうした中で注目されているのが、介護職の再就職準備金貸付、そして2021年4月からスタートした介護職就職支援金貸付事業です。
介護職就職支援金貸付事業
介護の経験者に限られた再就職準備金貸付とは異なり、未経験者が対象で、より多くの人に適用できる環境を整備したと言えます。
どちらの貸付金制度も、介護を行おうとする人材に対して、就職の準備金として条件付きで最大20万円を無利子で貸し付けしようという取り組みです。
コロナによる失業者の仕事探しを応援するとともに、他業界から介護業界への人員流入を期待するという目的で、この貸付事業が積極的に推進されているのです。
国が中心となって創設した制度ではありますが、実際に実施するのは各都道府県、または都道府県が認めた機関・団体が中心となって実施に取り組んでいます。
介護業界にとっては、他の分野や業種からたくさんの人が介護業界に入ってくることによって、労働環境の改善が期待できますし、負担の軽減も期待できるでしょう。
一方で、コロナ禍において失業した人にとっては、条件は付いているものの、経験の有無にかかわらず返済不要の20万円を受け取れるという点で、大きなメリットが期待できます。
貸付金を受け取ることができても、全額返済免除の条件を満たさない場合には、返済が必要となりますが、返済不要となる条件は複雑なものではないので、多くの人にとってウィンウィンとなる政策だとして、期待が寄せられています。
2.未経験者への貸付制度
従来の介護職再就職準備金貸付制度と介護職就職支援金貸付事業とでは、対象となる条件が異なります。
対象者が「未経験者」のため広範囲
介護職再就職準備金貸付制度においては、すでに介護職の資格を持っている人が対象なのに対して、新しく施行が開始された介護職就職支援金貸付事業の場合には、介護業界で働いた経験がない未経験者が対象となります。
つまり、学校を卒業したばかりの新卒も対象となりますし、他の業種で働いた経験がある人、失業中で再就職先を探している人等、対象となる範囲が広いのが特徴です。
ちなみに、既に介護士の資格を持っている人でも働いた経験がなければ、この制度を利用することは可能です。
「職業訓練」が貸付の条件
介護のお仕事は、介護士の資格を持っていなくても従事可能です。
しかし、「介護職員初任者研修」など最低限の職業訓練を受ける必要はあります。
そのため、介護職就職支援金貸付事業の貸し付け条件では、未経験の人が指定する職業訓練を受けて就職すると、20万円を上限に貸し付けを受けられることになっています。
【研修期間】
職業訓練は、約2か月~6か月程度の期間がかかります。
【研修費の負担】
①就職先が職員研修の一環として、研修費を負担して受ける
②自己負担で職業訓練を受けた上で就職先を探す
※自己負担で職業訓練を受ける場合には、ハローワークから給付金を受けられる制度もある
【貸付金を受け取るタイミング】
この貸付金20万円は、条件を満たして介護や福祉分野に就職すれば、受け取ることができます。
実際に働き始めてから支給ではなく、準備金として使えるように、実際に働き始める前のタイミングで受け取ることが可能です。
【返済免除の条件】
返済が免除になるかどうかは、介護士として2年間継続して働くことが条件となるため、借りる時点で自分が返済免除になるかどうかの判断はできません。
借りた金額(最大20万円)の返済が、全額免除となります。
しかし、2年未満で仕事を辞めてしまうと、返済義務が発生するため、免除措置を受けることはできません。
3.条件次第で最大40万円
福祉業界や介護業界で働いたことがない未経験の人は、返済が免除になる可能性のある貸付金は、上限が20万円です。
しかし、既に介護系の資格を持っていて勤務経験もある人が、再び再就職しようかなという場合には、最大で40万円の貸付金を受けることができます。
既に勤務経験がある人は、休職していた期間はあっても即戦力として働くことができます。
持っている資格を生かして復職すると、20万円の2倍となる40万円を貸し付けてもらえます。
これは、介護職就職支援金貸付事業ではなく介護職再就職準備金貸付制度を利用した貸付です。
従来は、介護要員の人材不足が深刻になっている関東エリアや関西エリア、また東日本大震災によって大きなダメージを受けた被災地など、一部地域に限り最大40万円で、その他の地域では最大20万円までの貸付でした。
しかし、コロナ禍においては介護職の人材不足が全国どこでも深刻化しているという背景を受け、現在は地域に関係なく、介護職の再就職では一律で最大40万円までの貸付となっています。
この40万円の貸付も、2年間の継続した勤務が条件で返済が全額免除になります。
【おわりに…】
介護職の深刻な人材不足を少しでも軽減するべく、愛知県名古屋市でも「介護職の再就職準備金貸付制度」と「介護職就職支援金貸付事業」を行っています。
2021年4月からスタートした介護職就職支援金貸付事業においては、これまで介護分野で働いたことがない未経験者を対象としており、多くの人が対象となる制度です。
全国的には、これらの制度を利用して介護職で働く人材が増えることを期待しており、2021年には最低でも2万2000人以上の制度活用を目指しています。
愛知県名古屋市でも、より多くの人がこの制度を利用し、介護施設や老人ホームの人員不足が解消されることが望まれています。
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