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ケアまどニュース
老人ホームの「ネット環境」
最近では、高齢の方でもスマートフォンや携帯電話を持っている人も多く、インターネットを日常的に活用する人は少なくありません。
スマートフォンやタブレット、パソコンを利用することで、無料のテレビ電話で気軽にやり取りをできるため、コロナ禍においてさらに利用の幅は拡大しています。
今後はそうした「ネット環境」に対するニーズが、介護施設においても高まると見込まれています。
そこで、老人ホーム選びの基準の一つとして、インターネット環境がどうなっているのかを見ることも大事です。
具体的にどんな点を見たら良いのかを考えてみましょう。
1. 現状の介護施設でのネット環境は?
老人ホームなどの介護施設における「インターネット環境」についての統一されたルールはありません。
それぞれの施設によって大きく事情が異なるのが現状です。
これは愛知県名古屋市においても同じです。
施設によっては、全館共通で使えるWi-Fiが整備されていたり、各居室に電話やインターネットを接続するための端子を設置していたりするところもあります。
一方で、少なくとも利用者向けのインターネット環境の整備が全くされていない施設も存在します。
どちらのケースにおいても、施設への入居費用や毎月の利用料の中に、インターネット使用という項目は入っていないことがほとんどです。
もし利用したいということであれば、すでに部屋に端子があるところでも、自分で契約をして個別に費用を払うことになります。
もし、ケーブルをつなぐための環境が整っていないのであれば、ポケットWi-Fiなど、自分で環境を整えるしかありません。
一部の施設では、ネット利用が基本的なサービスの中に含まれているところもありますが、その分設備投資にお金をかけているので、利用料は割高になる傾向です。
また、その施設の割合も全体から比べると少ないのが現実です。
こうしたことから、介護施設でネットにつなげたいということであれば、自分たちでそのやり方を考えて手続きをするケースが多くなっています。
徐々にネット環境を整備する事業者が増えてきているのも確かですが、現状としてはまだ少ないわけです。
2. 衛星放送やケーブルテレビ対応もごく一部
「インターネットの接続」以外でも、部屋の中の娯楽としてテレビ鑑賞を楽しみたいという人がたくさんいらっしゃいます。
多くの施設では、みんなが集まる広間に大きなテレビを設置して、一緒に観られるようになっています。
また、通常の「地上波放送」であれば、自分でテレビを持ち込んだり、施設のレンタルサービスを利用して、自分の部屋でもすぐに視聴することが可能です。
しかし、別途受診契約が必要な、「ケーブルテレビ」や「衛星放送」の専門チェンネルなどの「有料放送」については、標準整備していない施設がほとんどです。
こうしたチェンネルを視聴した場合には、やはり自分で個別契約をする必要があります。
また、そもそも部屋にテレビケーブルが敷かれていない施設もあり、設備面で難しいということもあります。
そこで採れる手段としては、ベランダや窓際に衛星放送や一般テレビのアンテナを設置して、そこから線を伸ばして部屋の中に引き込むということになります。
しかし、こうした設備の新たな設置については、施設側の許可を取る必要があるので、いろいろな事情から許可が下りないことも多いです。
そのため、もし施設探しの条件のなかに、衛星放送などを観たいという希望がある場合には、事前に施設側に確認しておく必要があります。
まず、部屋の中で観られる環境があるのか、ないのであれば自分で契約、設備設置をして観る許可を出してもらえるのかなどです。
やはり、老人ホームなどの介護施設では部屋で過ごす時間も長いため、こうした娯楽があるのとないのでは大きな違いとなります。
特に新型コロナウイルスの影響で、多くの施設で外出や交流に制限があるので、施設内での娯楽環境は大切なポイントです。
3.「持ち込み制限」の施設も。その理由は?
このように、インターネット環境を作るにしても、衛星放送を観るにしても、元々環境が整っているところは決して多くありません。
しかも、自分たちで契約をして環境を整えたいと思っても、許可が出ない施設もあります。
テレビやパソコンなどの機器の持ち込みを制限しているからです。
それにはいくつかの理由があります。
理由① 破損や盗難の「トラブル回避」
個人で持ち込んだ機器については、破損や盗難のトラブルが生じる可能性があるからです。
思うように身体が動かせない高齢者や車いすの方も多く、ふとしたはずみに破損してしまうことがあります。
さらに、介護施設には認知症を患っている人も多くいます。
本人が機器をどこかにしまってしまい、そのまま紛失してしまう可能性も高いうえ、それを「誰かに盗られた」と誤認識していしまう可能性もあります。
また、ご本人に認知症がなくても、同じ施設内に入所している他の人が、認知症状等によってトラブルに発展する可能性があります。
部屋に寄った時に悪気なく勝手に機器を触ってしまったり、破損してしまうこともあり得るわけです。
そうなると、入居者同士での問題に発展しかねません。
理由② 施設側の「管理」問題
インターネット接続のための機器やテレビなどを持ち込むと、それだけ電気代がかかります。
しかし、新たな設備を入れると、本来見込んでいた以上のコストがかかってしまうわけです。
そのため、電化製品の種類によって、持ち込み制限しているケースがあります。
この傾向は、特に公的運営されている介護施設に多いです。
一方で、民間運営されている有料老人ホームなどは、より自由度が高いです。
別途「レンタル料金」や「家電製品の使用料」などの追加料金を支払うことで、持ち込みや利用ができる施設もあります。
また、料金面以外にも、家電製品は高額なものが少なくないことから「貴重品」にあたるために、取り扱いに慎重な施設もあります。
施設には日頃から介護スタッフや清掃スタッフが出入りしています。
そうしたスタッフが、故意ではなくても破損によってトラブルに発展する可能性があります。
そうしたリスクを回避するという観点で、持ち込み制限がかかることもあるのです。
もちろん、それぞれの施設において対応が異なりますので、施設選びをする時にしっかりと確認しておくことが大事です。
その際には、万が一紛失や破損などのトラブルが生じた時に、どんな対応が取られるのかも聞いておくと良いでしょう。
【おわりに…】
高齢者も「インターネット」や「衛星放送」などを利用して、趣味を楽しんだり、家族や友人とのコミュニケーションを取ったりする人が多くなっています。
しかし、高齢施設ならではの事情によって起こり得るトラブルを避けるため、環境作りが難しいケースも珍しくありません。
そのため、こうしたポイントも施設選びの一つの基準と見て、複数の介護施設を比較する際にチェックしてみると良いでしょう。
そうすることで、入居する人が「より快適に生活できる施設」が見つかるはずです。
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