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2020/11/30
コラム

ヘルパーの「通院介助」ルール緩和

持病を抱えながら在宅生活する高齢者は少なくありません。

そうした方は、治療や薬の処方をしてもらうために、定期的に受診する必要がありますが、自宅で生活している要介護状態の人にとって通院が簡単では無いケースは少なくありません。

特に近年増えている1人暮らしや高齢者世帯の方にとっては、通院のサポートは欠かせないでしょう。

こうしたサポートは、介護保険における「訪問介護サービス」を利用することができます。

この通院に関する介護保険サービスについて、ルールが緩和されることが検討されています。

Youtube】でも簡単解説しています
▼2021年介護報酬改定「訪問介護」どこが変わる?

1.通院介助サービス

通院介助

 通院介助サービス   

制度:介護保険が適用される

内容:ホームヘルパーが、自宅から病院までの移動のサポート

対象:介護認定が要介護1~5の方のうち、ケアマネージャーが必要と判断した人

 

 通院介助の内容   

①自宅に訪問介護職員が来る

②着替えや、必要な物を手の準備をする

③移乗・移動の際の介助を行う

④受診の手続き、支払い、処方薬の受け取りを行う

移動については、徒歩、公共交通機関、タクシーのいずれの移動でも対象となります。

乗降の介助をしたり、体調に異変がないかを確認して、安全に病院まで行けるようにサポートしてくれます。

 

 通院介助のルール   

こうした介護サービスは基本的にホームヘルパーが行いますが、タクシーを利用する場合介護タクシーに依頼する方法もあります。

病院到着後は、院内の付き添いは原則、病院のスタッフがすることになるため、訪問介護員が付き添いをしても、保険適用外の自費サービスになります。

その場合、受診手続きをして、診察科のところまで要介護者を送ったら、たいていヘルパーは退出します。

とはいえ、ケアマネージャーが必要と判断した場合は、ヘルパーの院内付き添いが介護保険適用されます。

【保険適用でへルパーが付き添うケース】

・特定の付き添い者でないと不安に思ってしまう
・排泄介助などのケアを必要とする

 

2.現行ルールと緩和のポイント

複数の病院

 制度と実情のズレ   

通院介助のサービスは、持病を抱える高齢者にとって必要不可欠なサービスです。

しかし、現行のルールでは制度の内容と実情がうまく噛み合わないケースも少なくありません。。

 

特に改善が求められる点は、サービスの適用範囲が自宅から病院までの移動に限られることです。

実際に要介護者が病院に行く場合は、一つの病院だけでなく、複数の病院を受診することが多いです。

しかしその場合、制度上は病院から病院への移動の付き添いが認められていないため、1つ目の病院受診後、2つ目の病院に行く前に一度自宅に戻るか、別日程を組む必要があります。

通常は病院から次の病院に直接行くものですが、現行ルールではあくまでも自宅から病院までの移動に関してのみ介護保険適用となっているのです。

 

 制度と実情の「不調和」の原因   

これは、通院介助のサービスが、訪問介護サービスに含まれていることに原因があります。

あくまでも訪問介護は「自宅で行うサービス」ですので、病院に行くためのサポートも自宅が含まれていないといけないという考えです。

確かに文章上の解釈ではそうかもしれませんが、実際の現場では不便な仕組みとなってしまいます。

まとめて病院を回ったり、介護施設から直接病院に行ったりすることが可能であれば、何回も自宅から出ることによる体力の消耗を防げるからです。

 

 ルールの「改正」   

そこで、2021年4月になされる介護報酬改定において、このルールが改正される予定になっています。

【改正のポイント】

①自宅が発着点でなくても保険適用が可能

②介護施設から病院への移動も対象

これらの改正により、利便性の高い通院介助サービスが提供されるようになります。

 

この改正は全国的になされるものですので、愛知県名古屋市でも、改正後はこうした便利なサービスを利用できるようになります。

特に、デイサービスやショートステイなどの介護施設からの移動に、介助サービスを利用できるようになるのが大きいと言えるでしょう。

自宅から介護のために出かけて、そのまま医療ケアまで受けて帰ってこられることになりますので、一日のうちにまとめて必要なケアを受けられるようになります。

 

3.緩和によって本人は勿論、家族も助かる

老人と家族

この現行ルールの緩和が大きな助けとなるのは間違いありません。

現行のままだと、介護施設から一度自宅に帰ったり、一つの病院しか行けなかったりしました。

一日のうちにまとめて複数の病院に行けないとなると、要介護者は外出準備が大変ですし、疲労も大きくなってしまいます。

この改正によって、手間も労力も、そして要介護者の方の心理的な負担の軽減も期待できるでしょう。

 

そして、このメリットは要介護者本人だけのものではありません。

そのご家族にも良い影響を与えます。

現行ルールだと、介護保険の適用がなされないケースが生じるので、どうしても自分たちで病院まで要介護者の付き添いをする必要が生じていました。

通院というのはかなりの時間がかかるものですし、ほとんどのご家族が介護のプロでは無いなか、車の乗り降りなど、身体的負担もあります。

しかし、これからはこうしたケースにおいて、ホームヘルパーに依頼することができるようになりますので、家族の負担が大きく減ることになります。

 

また、親族で協力して介護をしている際にも役立つ改正となります。

というのも、現行ルールだと、自宅からの移動しか保険適用は認められていませんでした。

そのため、親戚の家などから病院に行く場合には、介護保険サービスは非対応でした。

しかし、実際には週のうちの何日かだけ親族が預かって、お世話をしているというケースも多く見られます。

親族の家に一時的に居たケースでも、移動介助のサービスを利用することができるようになれば、より使える範囲が広がって、多くの人にメリットをもたらすことになるのです。

 

現行ルールで適用されない部分については、自費で通院介助を利用していたという人も多くいます。

それが、これからは介護保険を利用できることになりますので、費用負担がぐっと減少します。

上記のような、時間や労力といった面での助けとなるだけでなく、経済的にも支えとなる改正なのです。

 

【おわりに…】

病院までの移動をケアしてくれる「通院介助」は、ホームヘルパーという介護のプロが行ってくれるサービスです。

もちろん、家族でも行うことができますが、やはり「プロ」に依頼することで、より安心して定期的な通院をすることができるようになります。

何かと要介護者の移動というのは大変なところもありますので、要介護者にとっても家族にとっても負担が減ることになるでしょう。

報酬の「ルールの改定」によって、より利便性が高まることが期待されます。

仕事や育児をしている方が無理なく介護と生活を両立するためにも、「移動介助サービス」を有効活用して、プロの助けを求め、積極的に活用してください。