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ケアまどニュース
新型コロナ「介護事業所へも影響大」愛知県内の対応は?
「新型コロナウイルス」は、介護業界にさまざまな影響を及ぼしています。
こうした影響への対策は全国に広がっていますが、それぞれの地域で異なる対応をしているケースもあります。また、より限定された地域や施設単位での集団感染が見られた場合、さらに厳格な措置を取ることもあります。
老人ホームなどの介護施設を利用している人として、特にこうした状況や行政からの指示を確認することは大事です。
今回は、こうした状況のなかで愛知県がとっている対応や方針についてご説明します。
【目次】
① 高齢者施設に対する愛知県の方針は?
②手続きや運営の基準、報酬の算定方法などにも特例措置
1. 高齢者施設に対する愛知県の方針は?
愛知県でも緊急事態宣言が出されたことを受け、介護施設向けにも基本的な対応方針が示されています。
原則、ショートステイやデイサービスなどのケアは継続の方針
高齢者のなかには、家庭の事情により、日中介助してくれる人や行き場が無い人がいるため、各施設における適切な感染防止対策のうえ、安心できる体制でサービスを提供できると施設が判断すれば、サービスが継続されます。
これはあくまでも各施設の判断です。
そのため、サービスをこれまでと変わらず行う事業所もあれば、規模を縮小、中止する事業所もあり、たとえ同じ種類の介護サービスでも事業所ごとに対応は変わるということになります。
感染が拡大やクラスターが発生した場合の対応
特定の介護施設で感染が生じた場合は、サービスの縮小が求められることがあります。
さらに、それでも難しい場合は施設自体の休業。
更には、今回名古屋市の一部の地域で行われたような、地域全体での一斉休業やサービス提供規模の縮小などが検討されます。
それぞれのケースで、状況を見て行政と施設で判断を下すということになります。
2. 手続きや運営基準、報酬の算定方法にも特例措置
ここまでの説明の通り、原則としては基本的なサービスを継続するものの、取り扱いが変更されているものもあり、この時期だけの特例措置が設けられているケースもあります。
愛知県内の介護施設を利用している人に関係のある内容をチェックしてみましょう。
その① 要介護認定の臨時的な取り扱い
【申請から調査までの30日ルール】
要介護認定の「見直し」や「新たな認定」をしてほしい場合、申請自体は通常通り可能ですが、ほとんどの介護施設では面会が禁止されていますので、介護認定の調査員が本人に会うことが難しい状況にあります。
そこで、申請から認定調査までの30日ルールが緩和されます。
通常、介護認定の新規申請や変更に伴う調査員による「認定調査」は、
申請日から30日以内に行う
というルールがあり、30日を超えた場合には「市町村が申請を却下した」という取り扱いになってしまいます。
しかし、今回の感染症拡大のように「やむを得ない事情」がある場合には、その申請を保留という取り扱いにして、面会禁止が解除された時点で調査をすることが可能になります。
申請日から30日を超えて認定調査になる場合には、その旨の通知が届くことになっているので、最近申請をされた方や、これから申請を予定されている方は確認してみると良いでしょう。
【認定機関の延長】
感染防止のため、介護施設が面会を禁止していて認定調査に入れない場合には、入所者が受けている要介護認定及び、要支援認定の有効期間を延長することが可能となっています。
これにより、従来の期間に加えて新たに12ヵ月の範囲内で各市町村が定める期間を合算できることになりました。
その② 人員基準の緩和、報酬算定方法の柔軟な取り扱い
介護保険サービスを利用する介護事業所は、施設の規模や業務内容に応じた法的な人員基準が定められています。
つまり、この事業所では利用者に対して何人以上の人員配置が必要かというものです。
この基準人員によって介護報酬(施設が受け取る介護サービスによる収益)が変わったり、一定の基準を満たせない場合は、介護報酬の減算やサービス自体の提供中止といった事態を引き起こします。
そうなると、介護施設としては施設運営に大きく影響します。
そこで、職員の配置人数について柔軟な取り扱いをするよう通知がなされました。
下記の事例のような、職員が出勤を控えなければならない事態が起きた時、一時的に介護施設の人員基準が満たせない場合でも、介護報酬の減額を行わないことになっています。
・休校に伴う子どもの世話
・職員に感染の疑いがある場合
介護施設としても、こうした柔軟な取り扱いがあれば、無理に職員を働かせることがなくても良いので、安心して介護サービスを提供できるというわけです。
その③ サービス担当者会議開催の取り扱い
通常、介護保険によるサービスを利用する場合、担当するケアマネージャーが利用者の状態にあわせたサービス計画をたて、それに関係する事業者や利用者、その家族などが集まって、意見を交換する会議の開催が必要となります。
しかしながら、コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、こうした「利用者宅への訪問」や「複数の人間が一堂に会する集まり」という感染リスクを伴う会議の開催については、下記のような特例が認められています。
・利用者の自宅以外での開催
・対面ではなく電話やメールを活用して行う
また、利用者の状態に大きな変化が見られないなど、居宅サービス計画の変更内容が軽微であると認められる場合には、サービス担当者会議の開催は不要である旨が示されています。
この他にも、休業となった事業所と異なる事業所や公民館等の場所を使用して、当該事業 所が指定を受けたサービスに相当するサービスを提供した場合でも、通常提供しているサービス費と同様のサービス提供時間等に応じ介護報酬を算定して良いなど、状況に応じて柔軟な対応がなされています。
今回のこれらの特例的な対応について実は、都道府県等と相談し、利用者等の意向を確認した上で、
「令和元年台風第19号に伴う災害における 介護報酬等の取扱いについて」における取扱いの考え方を参考するように
とされています。
介護保険において、今回のように通常の取り決めや体制でサービスの提供が行えない場合の対応では、前例もふまえた柔軟な対応が行われています。
今回紹介したような「行政からの通知や取り決め」は、各自治体のホームページなどから誰でも見られるようになっています。
今後も同じような状況が起きた場合には、参考にされる可能性が高いので、注視おくと良いでしょう。
おわりに…
このように、新型コロナウイルスの影響によって、愛知県でもかなりの程度、老人ホームを始めとする介護施設のサービスに制限が出ています。施設利用や提供時間、サービス内容を従来通りには維持できないのが現実です。
しかし、そのような限られた状況であっても、事業者も介護職員も最善の努力を尽くして、利用者への介護サービスを行っています。こうした状況により、事業者や介護スタッフへの支払い額が減ってしまうことがないようにするために、法的な取り決めの緩和や柔軟な対応が求められています。
もし、施設やスタッフに大きな経済的なダメージが続けば、介護サービスそのものを続けていくのが難しくなってしまうリスクもあります。こうしたことがないように、介護報酬や人員基準についての柔軟な取り扱いが必要となっているのです。
利用者としては、通常と異なるサービスとなってしまっていること、介護報酬の額が今までとは異なる形となってしまうとしても、現状を理解し、配慮することが大事になってきます。
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