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2020/05/11
コラム

高齢者が注意すべき「感染症」とは

新型コロナウィルスが世界的に広がり、愛知県名古屋市も例外ではありません。
持病を持っている方や高齢者には特に注意が必要と言われています。

しかし、今回のような突発的な感染症以外だけでなく、見落としがちな高齢者が継続的に注意が必要な感染症について今回は知識を深めていきましょう。

【目次】
①なぜ高齢者は感染症の影響を受けやすいのか
②高齢者がかかりやすい感染症
③高齢者の「感染予防法」と介護者が気を付けるべき「注意点」

 

1.なぜ高齢者は感染症の影響を受けやすいのか

加齢に伴う免疫力の低下

高齢者が感染症にかかりやすくなる原因のひとつには、加齢に伴い免疫細胞の活動が弱まることにより免疫力が低下し、病原体の影響を強く受けることがあげられます。

免疫細胞の活動が弱まると病原体に抵抗する力が弱まり感染しやすくなりますので、加齢などで免疫細胞の活動が低下するとさまざまな病気の感染リスクがありますので高齢者は注意が必要です。
加齢以外にも運動不足ストレス生活習慣などの原因からも免疫力の低下が見られます。

加齢以外で影響を受けないように、適度な運動バランスの良い食生活などを取り入れることで生活習慣を見直し、感染症に負けない体づくりをしていきましょう。

 

2.高齢者がかかりやすい感染症

高齢者がかかりやすい感染症

 インフルエンザ 

インフルエンザウイルスに感染することにより発症します。
特に12月から2月にかけて流行し、症状は39度以上の高熱がみられることが多いですが、高齢者は高熱が出ないこともあり、その他にも関節や筋肉の痛みがみられます。
高齢者は肺炎の合併症を起こす危険性があるため注意が必要です。

 ノロウイルス感染症 

ノロウイルスは牡蠣などに含まれ調理での加熱不足や、ウィルスが手に着いた状態で調理や食事をすることにより感染します。
感染力がとても強く嘔吐下痢の症状がみられ、感染者の嘔吐物や排泄物からも感染するので感染しないように注意をしながら汚物処理することが必要です。

 尿路感染症 

腎臓、膀胱、尿管、尿道などの尿が通る道の尿道口から細菌が侵入して発症します。
症状は熱が出たり、排尿時の痛み残尿感(尿が出きった感じがしない)、腰や背中に鈍い痛みがみられます。

 肺炎 (肺炎球菌)

肺炎の主な原因の1つは細菌感染で、特に多いのが肺炎球菌です。
肺炎は細菌が口や鼻から体の中に入り喉から気管支を通って肺胞へ達し、肺炎が引き起こされます。
特に体力が落ちて免疫力が低下している時に感染しやすく、また糖尿病などの慢性疾患がある場合にも注意が必要です。

 肺炎 (誤嚥性肺炎)

細菌以外に高齢者に多いのが誤嚥(ごえん)性肺炎です。
食べ物や飲み物を飲み込む力が弱くなると、飲食物や唾液が気管に入ってしまうことで、肺炎が起きやすくなります。

【肺炎の主な症状】
・高熱
・激しい咳
・胸の痛みやゼロゼロとした音がでる呼吸
・黄色や緑色の痰

【高齢者こんな症状にも注意】
・活気がない
・食欲がない
・呼吸がしにくそう

いつもと違う症状がみられたら注意するようにしましょう。症状がないため気付かない間に重症化していることがあります。

 MRSA (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) 

ブドウ球菌は私たちの皮膚や鼻腔、気管やのどに存在して保菌しています。健康な人に存在、保菌しているぶんには問題のない菌です。しかし高齢者など抵抗力の弱い人などが感染すると重症感染症の原因となります。

【主な症状】
・赤み、腫れ、痛み、膿などの皮膚の炎症
・肺炎や敗血症、骨髄炎や腹膜炎、髄膜炎などの全身症状

 緑膿菌感染症 

人の腸管や自然界に存在し、栄養分が少ないところでも繁殖できるので水回りにも存在します。日和見感染(ひよりみかんせん)の代表格と言われている。

【日和見感染(ひよりみかんせん)】
お健康な人には特に問題のない弱毒性の微生物によって起こる感染症ですが、抵抗力が著しく低下した場合に感染力を発揮します。

 腸管出血性病原性大腸菌(O157)感染症 

ベロ毒素をだす大腸菌の一種でとても強い毒性があります。
汚染された肉や野菜の食品や加工品等を飲食することによりおこる感染症で、食中毒対策が感染予防につながります。

【主な症状】
・激しい腹痛、水のような下痢、血便
・特に初夏から初秋にかけては注意が必要

 結核 

結核は結核菌という菌から発生します。
結核菌が感染する場所は主に肺になりますがその他にもリンパ節や脳、腎臓や骨などにも影響します。

【主な症状】
・咳や痰、微熱など風邪に似た症状が続く
・体重減少や寝汗をかく、倦怠感や息切れ、痰が混じるなど

結核は高齢者に多い感染症と言われています。
結核が流行した時代を生きてきたことで結核にかかり、結核が治っても加齢による免疫力低下で再度発症してしまうことがあるためです。

いつもと違う風邪症状がでた場合には重症化する前に受診をすることが必要となります。

 疥癬(かいせん) 

ヒゼンダニが腹部、胸部、大腿内側など皮膚に寄生してとても強い痒みをおこす感染症です。疥癬には「通常疥癬」と「角化型疥癬」とういうふたつの種類があります。

特に「角化型疥癬」はノルウェー疥癬ともいい、ダニが多く感染力がとても強い疥癬です。寝具や衣類から剥がれ落ちた皮膚の角質にもダニは生きているので、短時間の接触以外でも感染していきます。

 

3.高齢者の「感染予防法」と介護者が気を付けるべき「注意点」

高齢者の「感染予防法」と介護者が気を付けるべき「注意点」

感染を予防するためには本人はもちろん介護者も気をつけていくことが必要です。

 高齢者の感染予防には 

①身体を清潔に保つ
外出から帰宅した時は手洗いうがいをすることにより感染予防に効果があります。外出するときには可能であればマスクを使用します。

高齢になると特に冬場など入浴することが面倒と感じてしまうことがありますが、尿路感染症や皮膚への感染症を予防するために、入浴によって身体の清潔を保つことが大切です。
特に排泄後の陰部を清潔に保つことにより尿路感染症の予防することができます。入浴ができない場合でもタオルで体をふいたりして清潔を保つようにしましょう。

②予防接種をする
インフルエンザが流行する季節には老人ホームなどの介護施設でも感染が拡大しないように予防接種をうけます。
インフルエンザの予防接種は接種後効果がでるまで少し時間がかかるので、接種が始まる11月ごろから早めに接種をしましょう。

③元気に楽しく活動をして免疫力アップ
免疫力が低下する原因は加齢の他にも運動不足ストレス睡眠不足栄養不足などがあげられます。
適度な運動やバランスの良い食事、1日を楽しく過ごし夜は十分な睡眠をとることにより、免疫力低下の予防につながります。

 

 介護者が気を付ける注意点は 

①菌を持ちこないようにする
介護者も外出の時にはマスクをする、外出先から帰宅した際や調理の前など手洗いうがいをおこない菌を持ち込まない、うつさないようにしましょう。

②予防接種をする
感染のリスクを少なくするためにも高齢者本人だけではなく介護者も予防接種をしましょう。

③様子を観察する
日常の様子や、感染症にかかってしまった場合にも様子の観察をしておきましょう。いつもと様子が違うなど体調の変化を見逃さないことで重症化を防ぐことができる場合があります。

 

おわりに…

高齢者の感染症のリスクを少なくするためには、日頃の予防や体調の変化などを観察しておくことが必要です。

万が一感染症にかかってしまった場合でも医師の診断や指示にしたがって重症化しないようにすることが重要になります。

毎日を元気に過ごすために本人も介護者も日頃から感染症の予防対策をしていきましょう。