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ケアまどニュース
介護が必要な人の「入浴」~訪問介護編~
日本のお風呂は海外でも癒しの空間として高評価ですが、「浴槽が深い」という特徴を持っています。
そのため、高齢でADL(日常生活動作能力)が少しずつ低下していくことにより、
「浴槽との段差が怖いと感じるようになった」
「お風呂に入ろうとして転倒しかけた」
という方も少なくありません。
そこで今回は、在宅生活を継続しながら安全に入浴したいと願う高齢者やご家族の方向けに、どのような 福祉サービス があるのかをご紹介します。
【目次】
①お風呂自体を安全な環境に「福祉用具」や「住宅改修」
②「訪問介護」を利用して自宅のお風呂に入る
③自宅でより安全に入浴するなら「訪問入浴サービス」
1. お風呂自体を安全な環境に「福祉用具」や「住宅改修」
今あるご自宅のお風呂をどのように改良した方が良いのかは、入浴する高齢者自身の疾患や身体機能や、お風呂自体の特徴によっても変わってきますので千差万別と言えます。
とはいえ、冒頭でも書いたように日本のお風呂は総じて「浴槽が深い」という特徴があるため、リフォームとまでは必要なくても、「浴槽をまたぐ際の危険を軽減したい」という要望は多いものです。
このように、一部分を改善したい場合には、まず「福祉用具」を検討するとよいでしょう。
浴槽を安全な環境に整えるための福祉用具としては、以下のようなものがあります。
浴槽をまたぎにくい人
① 浴槽内いす
椅子を浴槽の底に置くことで段差が出来き、水深が浅くなることでまたぎやすくなる。また同時に、浴槽から出てくる際にもステップ代わりに使用出来る。
② バスボード
いったんボードに腰を下ろし、座った状態で脚を出し入れできるため、立位でまたぐ必要がない。手すりもついているので力も入れやすい。
姿勢を保ちにくい人
③ 浴槽用手すり
手すりに掴まることで、浴槽内に沈み込むのを防止してくれ、立ち上がりの際にも力を入れやすくなる。
福祉用具は【レンタル】と【購入】の2パターンがあります。
どちらが良いかはケアマネージャーと相談の上で検討することをお薦めします。
また、福祉用具に合わせて住宅改修することも可能です。
介護保険の住宅改修補助金
介護に関わる「住宅改修費」に対し上限20万円まで補助金が支給される
この補助金には、いくつかの条件があります。
1 認定審査を受けていて要支援か要介護の認定をもっている
2 改修する家、被保険者証の住所、実際の居住地が全て一致する
3 利用者が福祉施設に入居中または病院に入院中ではない。
4 支給は1人につき上限20万円までの工事とする。
上記の条件がクリアされていれば、住宅改修費を受け取ることが出来ます。
尚、20万円が上限ではありますが、1回に20万円の改修をしなければならないわけではなく、計20万円に達するまで部分改修を分割で行うことも可能です。
また、住宅改修費は他の介護保険サービスに含まれないため、他介護保険サービスを受けている場合でも問題なくそのサービスを継続して受けることが出来ます。
住宅改修する場合にも、やはり改修内容についてケアマネージャーなど介護の専門家と一緒に進めるのが一番の安全策と言えるでしょう。
2. 「訪問介護」を利用して自宅のお風呂に入る
疾患や転倒での入院などにより、著しいADLの低下や、認知症の進行により、ひとりで入浴するのが困難というケースもあります。
その場合には「訪問介護」を利用してご自宅のお風呂に入ることも可能です。
訪問介護とは
自宅に介護スタッフが来て行う訪問型の介護サービス。状態に応じて、掃除や洗濯といった「生活支援」、排泄や入浴に関わる「身体介助」などが、ケアマネージャーの作成するサービス計画に基づいて提供される
ひとりで入浴するとなると転倒のリスクは自ずと上がります。
また、寒い時期には浴室と脱衣所など、空間ごとの温度差が大きいため、急激な血圧変動が起こり、意識消失などのリスクもあります。
そうしたリスクを考えると、介護のプロが付き添っていることは、ご自身やご家族にとっての大きな安心となるでしょう。
ただし、介助者がついての入浴になるため、ドアの形状や、浴室の広さなどを理由に、そのままだと安全な介助が行えない場合、構造上の問題で介助に入るのが難しいケースもあります。
また、車椅子の方や寝たきりの方など、ご本人の身体状況によって一般的な形の浴室では危険なこともあります。
これらのケースの方でもご自宅で入浴可能な方法として「訪問入浴サービス」があります。
3. 自宅でより安全に入浴するなら「訪問入浴サービス」
前述した「訪問入浴サービス」は、浴槽ごと持ち込んで入浴できるというサービスなのです。
訪問入浴サービス
介護スタッフと看護師が自宅に訪問し、事業者が持参した簡易浴槽を使って入浴を介助する
ADLの低下や、脳血管疾患により麻痺がある場合などにも、特殊な機材を使っての入浴が可能になりますので、訪問入浴サービスは在宅での入浴における最終的な切り札とも言えるでしょう。
【サービスが受けられる人】
原則として、要介護1~5の認定を受けていて、かつ、医師からの入浴許可が出ている人となります。在宅酸素療法やストーマ、人工呼吸器などを使用している場合も、許可があればサービスを受けられます。
【要支援1~2の方の場合】
「自宅の浴室が狭い」とか「浴室がない」など、事情によっては「介護予防訪問入浴介護」としてサービスを受けることが可能です。一度、ケアマネージャーに相談してみると良いでしょう。
【訪問入浴介護が受けられないケース】
利用条件を満たしていない場合以外では、訪問入浴時に持ち込む「簡易浴槽」を置くスペースとして約畳2枚分の広さが必要とされていますが、この必要スペースが確保できない場合も利用が難しくなります。
また、利用する上では、エレベーターの有無や階段の構造上、必要機材を運べないケースや、訪問時に使用する車両の駐車スペースの確保など、さまざまな問題が想定されます。
しかし、こうした諸問題は決して稀なことではありませんので、訪問入浴事業者も、これまでの事例などを元に、解決方法を最大限考えてくれるでことでしょう。
サービスを受けたいと思った際には、まずは相談をして、それに対応したサービスを受けられるようケアマネージャーに伝えておくと良いでしょう。
おわりに…
高齢者の方の中には、年齢が進むにつれて入浴を拒否される方も散見されます。しかし、入浴には様々な効能や沢山のメリットがあります。
(1)血液の循環を良くすると共に臓器の機能の改善
(2)副交感神経を優位にし、リラックスできる
(3)皮膚を清潔にすることで感染症を防ぐ
(4)新陳代謝が促進され、体内の老廃物が排出されやすくなる
福祉サービスを有効活用しながら、世界的にも高評価な「日本のお風呂」の習慣を継続し、生活の質をより高めていきましょう。
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