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介護が必要な人の「入浴」~施設ケア編~
前回の記事『介護が必要な人の「入浴」~訪問介護編~』でご紹介したのは、ご自宅のお風呂で入浴するための福祉サービスが中心でした。
今回ご紹介するのは、自宅以外の「通所介護サービス」による入浴方法についてご紹介します。
【目次】
①通所型介護『デイサービス』と『デイケア』
②車椅子や寝たきりの方でも入浴できる『リフト浴』と『機械浴』
③通所サービスを利用して入浴することのメリット
1. 通所型介護「デイサービス」・「デイケア」
通所介護サービスは「通い」が目的ですので、日帰りで受ける介護サービスとなります。
一般的に通所サービスと言うと、「デイサービス」とイメージされる方が多いでしょう。感覚的には、「食事や入浴、他利用者様との交流やレクリエーションなどをする場所」というイメージがあるかと思います。
こうした通いで入浴サービスが受けられる介護事業所は、「デイサービス」の他に、実は「デイケア」というものもあります。
この「デイサービス」と「デイケア」についての違いをまずはご説明しましょう。
デイサービス
必要に応じて自宅と介護事業所との送迎を行い、食事や入浴、体操、レクリエーションなどのサービスを受ける
【デイサービスの目的と特徴】
・家族以外との交流やコミュニケーションの場の提供
・バランスのとれた食事の提供や、排泄などの介助
・自宅で介護する家族の負担軽減 など
例えば、訪問入浴や訪問介護などといった訪問サービスが受けられない事情のある方や、仕事や育児で家族が介護できない、1人暮らしで日常生活がままならない人は、デイサービスに行くことで、見守りや介助が得られる環境で安心して入浴も出来るので大変助かるサービスと言えますね。
デイケア
送迎、食事の提供や身体介助、レクリエーションなどを通じた他の方との交流など、デイサービスと共通している部分もあるが、最大の違いは、「個別リハビリテーション」が提供されること
【デイケアの目的と特徴】
・目的の主体はリハビリテーションによる機能回復
・日常動作能力=ADLの維持、回復を目指す
・理学療法士や作業療法士などの専門職による個別訓練の提供
・言語聴覚士による口腔機能訓練を行う事業所もある
・リハビリ器具が充実している事業所もある
機能回復が目的となるため、利用するにはデイケアを利用する必要があることの証明として、「主治医の指示書」が必要となります。
また、機能訓練することが前提であることから、突発的な体調不良などを除いて、食事や入浴だけを希望する方は利用できないので注意しましょう。
こうした、「デイサービス」や「デイケア」で提供される介護サービスの中に、「入浴サービス」があるのです。
どちらも入浴サービスが受けられるので「どちらを選んだら良いのか」と悩まれるかもしれません。
高齢者の方の個別の事情によるので一概には言えませんが、一例として下記を参考にするのもよいでしょう。
・集団でのレクリエーションや体操が好き
・同世代の方との交流機会を増やしたい
・食事提供や介助を受けながらゆったりと過ごしたい
→ 『デイサービス』を検討
・退院直後で自分のADLレベルに自信が無い
・個別リハビリを受けて積極的に機能訓練をしたい
・通所サービスの必要性は感じるが交流は特異ではない
→ 『デイケア』を検討
勿論、機能訓練に力を入れているデイサービスや、レクリエーションや交流が盛んなデイケアはありますので、施設の種類だけでは一概に判断できません。
1番大切にしたいポイントは、「目的を明らかにする」こと、そして「実際に体験してみる」ことでしょう。
2. 車椅子や寝たきりの方でも入浴できる「リフト浴」・「機械浴」
初めて通所サービスを利用される利用者や介護者の方が入浴に対して抱く疑問や不安としてよく挙げられるのが、下記の点です。
「車椅子でもお風呂入れるのかしら?」
「ほとんど寝たきりの状態なんだけど…」
多くの通所介護サービスでは、「リフト浴」や「チェアー浴」と「ストレッチャー浴」といった要介護者向けの特別な浴槽が設置されています。
リフト浴・チェアー浴とは
浴槽に入浴用のリフトが付いた椅子が設置されているお風呂。普段、車椅子を使用する方でも坐位が安定している方であれば、椅子ごとお風呂に入ることが出来るため、安心して入浴が可能。
更に、リフト浴の中にもいくつか種類があります。
1 パンジー浴
浴槽に設置されている椅子がスライド式になっており、シャワー浴から入浴用の椅子に座り替えた後、昇降ボタンで椅子を上下し浴槽につかる仕組み
2 ホーミー浴
ホーミー浴は足を伸ばした状態で座り、リフトを機械で高く動かし入浴するタイプのもの
他にも種類がありますが、リフト浴はこのように「坐位を保った状態で入浴する」のが特徴です。
ストレッチャー浴
寝た状態で入れるお風呂のことをいい、坐位を保つことが難しい高齢者の方向けの入浴手段。入浴時、ストレッチャーに横になり、寝た姿勢のまま洗髪や体を洗う。寝浴や機械浴と呼ばれることも多い。
機械浴の中にも、事前にお湯をはって昇降ボタンで入れるタイプのものや、利用者が入った状態で浴槽を閉じてお湯を入れるタイプのものがあります。
こうした入浴設備については施設によって様々で、一般浴以外はリフト浴しかないところ、或いは機械浴しかないところ、両者そろっているところなど、事業所によって異なります。
愛知県名古屋市をはじめ各地でどんな浴槽が設置されているかをネットで調べられる方法もありますので、利用を検討中の方はどういうタイプが良いのか参考にしてみると良いでしょう。
3. 通所サービスを利用して入浴することのメリット
通所サービスを利用しての入浴は、在宅介護の高齢者の方はもちろん、住まい型の老人ホームに入居されている高齢者の方が使用することもあります。
では、そのように通所サービスを利用して入浴することのメリットとはどんなところにあるのでしょうか?
1 決まった日にちで入浴が出来る
在宅介護ですと、ご家族の負担はもちろん、独居の場合は特に入浴自体が億劫になってしまうケースがあります。
そうした中で週に1日でもデイサービスに行くことで入浴すると、習慣的に入浴することが可能になります。
2 身体ケアを受けることが出来る
在宅介護でのご家族のお悩みの1つが、爪が肥厚している高齢者の爪切りの難しさです。デイサービスで入浴後、爪がまだ柔らかいうちに爪を切ってもらったり、やすりで整えてもらうとなど、ご家族に難しいケアをプロにしてもらえたら安心ですよね。
3 通うだけで家とは違う刺激がある
家では会話や交流の機会が少なくなってしまった人でも、出掛けること、同年代の利用者や、幅広い年代のスタッフとの関わりが脳への刺激になり、認知予防につながることもあります。
4 介護者の休息がとれる
在宅での介護は、体力と精神の両面から疲労を感じている介護者が多くいます。週に1度でも半日以上介護から離れて、介護以外のことに取り組んだり、ご自身の時間を持てることで、高齢者と介護者の関係性が良くなることもあります。
おわりに…
介護福祉における入浴サービスには大きく分けて、「在宅をホームベースとしたもの」と「通所介護をホームベースとしたもの」の二通りが存在します。
どちらをとっても、一長一短があります。
例えば、在宅をホームベースとした場合にはご家族が休息できる時間が持てないこと。また、通所介護をホームベースとした場合には、利用者様が人が集まること自体にストレスを感じてしまうなどといったデメリットも存在します。
そうした両者の特徴を踏まえた上で、個人にあたサービスがどれかを検討することをお薦めします。
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