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2020/02/17
コラム

2020年春に生保者対象の新区分住居導入へ

2019年11月、厚労省は今年4月を目途に、生活保護対象者に向けて新たな住居区分である「日常生活支援住居施設」を導入すると発表しました。

決議から導入まで半年もないという電光石火ぶりの異例な対応の背景には、目前にした超高齢社会があると考えて間違いないでしょう。

この導入により生活保護受給者の高齢者にどんな影響や変化があるのか、また現時点で考えられる新区分のメリットとデメリットについて考えてみました。

 

1.無料低額宿泊所からの移行の方針

無料低額宿泊所

無料低額宿泊所

生活困難者の人が無料、または安価で利用できる簡易住宅や宿泊所」のことをさします。

 

本来は福祉事業の一環として位置づけされているものですが、宿泊所を運営する側に対しての規定が曖昧だったことも一因にあるのか、人権侵害に近い運営が問題視されてきました。

今年の4月から導入される「日常生活支援住居施設」では、そうした運営側への基準点が設けられており、運営は「法人に限定される」としています。

また、職員の資格要件についても、「社会福祉主事任用資格者」か「社会福祉事業や行政機関での相談支援業務経験がある者」を入居者15名に対して1人配置するよう義務付けられています。

 

この「日常生活支援住居施設」が導入されると、無料低額宿泊所はいずれなくなることが想定されています。

どの時点で完全移行するのかはまだ定かにされていませんが、前述したような劣悪な運営も考慮しての決定であることが窺えます。

また、現在無料低額宿泊所としてすでに運営していて「日常生活支援住居施設」へと移行を希望する施設を募集する旨も発表されています。

 

2.「日常生活支援住居施設」とは?

「日常生活支援住居施設」とは?

 

 

無料低額宿泊所でのサービスは、下記の通りです。

①宿泊所の提供のみ

②宿泊所と食事の提供

③宿泊所と食事、相談受付や就労指導などのサービスを含むもの

 

提供サービスについて大枠として3つの規定はありましたが、それに対する具体的な規定がないため、施設の裁量に任されていました。

 

一方、「日常生活支援住居施設」におけるサービスは、

①炊事や洗濯といった家事支援

②服薬や通院といった健康管理

③生活費などの金銭管理

④生活していく上での問題点などの相談対応

⑤各種手続き、および福祉サービスを受ける際の調整

⑥支援するためのアセスメント実施

 

このように、無料低額宿泊所と比べて、規定サービスがより具体化されていることが分かります。

 

今回導入される新区分においては「利用者ごとの個別支援計画」が重要視されています。

ただ、宿泊所を提供したり食事を提供するということではなしに、利用している人が抱えている健康問題や就労の問題など、個々人が持つ問題にも目を向けた対応ができることを目的としています。

無料低額宿泊所の際には曖昧だった社会福祉事業としての位置づけが、日常生活支援住居施設においては明確化されていると言ってよいでしょう。

 

では次に、現行の無料低額宿泊所から日常生活支援住居施設へと移行するにあたってのメリットデメリットについて考えてみましょう。

メリット

前述したようにサービスが明確化されていることから、利用者の人権の保護や、問題を抱えている人へサービスが行き届くようになる点があげられます。

今までは無料低額宿泊所を利用している人達の健康状態などを把握することも出来ませんでした。

しかし、施設において社会福祉主事任用資格者の配置が義務づけられることにより、利用者の方が抱える問題が明確化され、より救済の手が伸ばしやすくなったというのは大きなメリットと言えるでしょう。

 

デメリット

懸念されるべき点としては、現時点で高齢者介護事業における対応がすでに手一杯になっている中で、日常生活支援住居施設へのサービス提供が現実にはどのぐらい可能なのか、という実際面が懸念事案としてあげられます。

おそらく無料低額宿泊所の利用者の多くが、実際に介護サービスが受けられる年代や特定疾病にかかっている場合であっても、介護認定を受けていないことが予測されます。

中には健康状態が悪化している人もいた場合に、そうした人達に自治体の介護事業所がどれほど対応出来るのか、そうした事案について自治体ごとに対処策を立案できるのかといったところも現時点では不明です。

 

 

3.高齢の生活保護受給者の増加が背景か

高齢の生活保護受給者の増加

 

現在、高齢者の生活保護受給者数が増加しており、すべての生活保護受給者数の約半数が65歳以上の高齢者であるという調査結果もあがっています。

そのため、「日常生活支援住居施設」に関する電光石火的な厚労省の決議と導入は、こうした高齢者の生活保護受給者増加が背景にあると考えられます。

実際、現在においても高齢者の生活保護受給者の方が入れる高齢者施設があり、場合によっては自治体の希望によって生活保護受給者対応型の施設が設備されることもある状況です。

 

何故、このように高齢者の生活保護受給者数が増加しているのかと言えば、その原因として貧困が背景にあると言われています。

 

今や共働き世帯が当たり前になりましたが、かつては仕事をしない専業主婦が多くおり、年金の受給額自体が少ない世帯や、家族が介護施設などに入居しているため、残された家族の生活費が苦しいという事例は少なくありません。

年金で悠々自適な生活を送れていたのはもはや昔の話で、現在では必要な生活費よりも年金額が少ないことにより生活が追いつめられてしまう高齢者の方も少なくないとされています。

また、年金額は一定であっても、年を重ねるごとに病気にかかりやすくなるため、加齢により医療費がかさむのも事実です。

転倒による入院や手術、病気などの医療費など、予想外なところでかかる費用も出て来てしまうものです。

 

そうした様々な要因が複合的に重なって、高齢者の方が生活苦になってしまっているという現状があります。

そのため、厚労省的には日常生活支援住居施設を、特養待ちで待機している高齢者の方や、或いは生活保護受給している高齢者の方の受け皿にすることを想定している可能性も考えられます。

 

とはいえ、日常生活支援住居施設はあくまでも住居であって、高齢者の方の介護事業向けに設置された施設ではないところに不安要素が残ります。

また、日常生活支援住居施設の場合には医療依存度が高い人は生活出来ないことから、そうした人達の受け皿はどこになるのかという懸念もあります。

 

今はまだ動ける高齢者の方でも、年数を追うごとに医療依存度が高くならざるを得ません。

今後は、医療処置が必要な人が生活できる病院以外の低価格施設、というものがより必要になってくるでしょう。

いずれにせよ、導入する日常生活支援住居施設だけでは頭打ちになってしまうということが現時点でも予測できる状態なのです。

 

おわりに…

無料低額宿泊所から日常生活支援住居施設への移行といった「低所得者層向けの高齢社会化対策」も進んできている一方で、まだまだ問題は山積みです。

医療依存度が高い方の受け皿、すでに手一杯になって深刻な人材不足の介護事業が対応するための支援についての提案がないなどの不安要素は拭えません。

一部では、既存の介護施設の中でも生活保護を受給している高齢者の方が入居できる施設もわずかながら増えてきています。

政府の決議を待つことなく、民間の介護事業所が先手を打ちながら超高齢社会に立ち向かっていくのが得策なのかもしれません。

愛知県名古屋市においても生活保護を受給している高齢者の方が入れる施設がありますので、受給されている高齢者の方はぜひ一度相談してみることをお薦めします。