高齢になると皮膚の状態が大きく変化し、スキントラブルが起きやすくなります。特に老人ホームなどの施設では、専門的なケアが求められる場面も多いです。本記事では、高齢者に必要なスキンケアの基本から、介護現場での具体的な対応までを解説します。

高齢者の皮膚トラブルの原因

年齢を重ねると、皮膚のバリア機能が徐々に低下していきます。水分や皮脂の分泌量が減ることで乾燥し、外的刺激にも弱くなるため、小さな刺激でもかゆみや炎症、感染症を引き起こしやすくなるのです。

バリア機能が低下した肌は皮膚トラブルを引き起こしやすくなり、褥瘡（じょくそう：床ずれ）や感染症のリスクも高まります。これらの理由から、適切なスキンケアの実施は、予防・改善の観点で非常に重要です。

スキンケアを行うメリット

日常的にスキンケアを行うことで、身体的な健康だけでなく、精神的な満足感にもつながります。本章では、スキンケアを行うメリットについて解説します。

皮膚トラブルの重症化を防げる

軽度の乾燥やかゆみの段階で適切に対処すれば、症状の進行を抑えられます。早期ケアが、医療的な対応を減らす結果にもつながります。

生活のモチベーションが上がる

肌の状態が良いと気分が明るくなり、生活意欲や活動量が向上します。見た目の改善だけでなく、自己肯定感を高め、心の健康にもつながります。

リラクゼーション効果が期待できる

スキンケアの過程には、触れられることによる安心感やストレス緩和の効果も含まれます。コミュニケーションの一環としても機能し、心地よい時間を提供できます。

高齢者のスキンケアのポイント

スキンケアを効果的にするには、基本的な手順を守ることが大切です。本章では、高齢者のスキンケアのポイントについて説明します。

洗浄

皮膚に付着した汗や汚れを優しく落とすことが、大前提です。ゴシゴシと強く洗わず、低刺激の洗浄剤をよく泡立てて用いることが推奨されます。お湯は、高温だと皮膚の水分を奪い、乾燥を助長するため、ぬるま湯を選びましょう。

保湿

洗浄後早めに保湿剤を塗布することで、水分の蒸発を防ぎ、乾燥やひび割れを予防します。皮膚のしなやかさを保つためには、欠かせない工程です。

保護

高齢者の肌は皮膚が薄く、傷や内出血ができやすくなっています。レッグウォーマーやアームウォーマーなどは、皮膚の保護に効果的です。
おむつかぶれなどのトラブル予防には、保湿後にワセリンや油分のある保護クリームでフタをすることにより、外部刺激から肌を守れます。また、衣類や寝具との摩擦によるダメージも減らせます。

老人ホームの介護シーン別のスキンケア方法

施設では、日常生活の中にスキンケアの機会が数多くあります。本章では、各シーンでの具体的な対応ポイントをご紹介します。

入浴・清拭

入浴は、皮膚を清潔に保つ絶好の機会です。湯温はぬるめに設定し、入浴後は速やかに保湿しましょう。
入浴ができない場合は、温かいタオルで体を拭く「清拭」を行います。拭き取った後は、必ず保湿ケアを行いましょう。
いずれも保湿後は油分を含むクリーム等で、水分が蒸発しないようにフタをしましょう。

おむつ交換

尿や便による皮膚への刺激を最小限に抑えるために、こまめな交換と洗浄が重要です。汚れや水分をしっかり拭き取って乾かし、保湿を行いましょう。皮膚が赤くなっている場合は、撥水効果のある保護剤を使用すると効果的です。

まとめ

高齢者にとってスキンケアは、清潔を保つだけでなく、皮膚トラブルを防ぎ、心身の健康を守るためには欠かせません。洗浄・保湿・保護などの基本を押さえつつ、介護の場面ごとに適切な対応を行うことにより、安心した生活を支えられます。ご家族や介護スタッフが正しい知識を持ち、日々のケアに活かすことが求められます。

皮膚トラブルがある高齢者のケアでは、肌への刺激を最小限に抑えることが大切です。「有松絞り」のような柔らかい素材のタオルは、摩擦を減らし、優しく汚れを落とします。そんな有松絞りの町・名古屋市有松にある「ケアまど 老人ホーム紹介センター 有松相談所」では、一人ひとりの身体状況に合わせて、清潔で快適に過ごせる施設をご紹介しています。気になる方は、ぜひご相談ください。”介護の窓口【 ケアまど 】 老人ホーム紹介センター 有松相談所”