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空床があるのに入れない?!特別養護老人ホームの“今”
高齢化の進行が急速に進んでいる影響で介護施設のニーズも増大しています。
そのため供給が需要に追いついていない現状もあり、とくに特別養護老人ホームは入居希望者に対して受け入れ環境が十分に整っていない面があると言われています。
「申し込んでも順番待ち、入居できるのは数年後になる」といった声もあり、入りたくても入れないイメージが強いものです。
しかしそんな一般的なイメージとは裏腹に、空室が出ている特別養護老人ホームがある話も出ています。
これは現在の介護の現場が抱えている問題とも深くかかわってくるだけに、愛知県や名古屋市内で介護施設を探している人はぜひとも知っておきたいところです。
現在の特別養護老人ホームの実情はどうなっているのでしょうか。
特別養護老人ホームとは
はじめて介護施設について調べた方がまず戸惑うのが介護施設や老人ホームの種類の多さです。
愛知県や名古屋市に限定して検索しただけでも、さまざまな名称が付けられた施設を目にするはずです。
こうした介護施設は高齢者を中心に介護を必要としている人をサポートするサービスを提供している点では共通しているのですが、それぞれサービスの内容はもちろん、入居条件やサービス内容、運営元などに違いがあるのです。
そんな介護施設の中でも、とくに人気が高いのが特別養護老人ホーム(以下、特養)でしょう。
どうして人気が高いのか?その理由としてまず挙げられるのが運営元が地方公共団体や社会福祉団体であることです。
サービス内容や仕組みが特養と似ている介護付き有料老人ホームやその他の有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などはそのほとんどが民間企業が運営しています。
運営法人が限られている特別養護老人ホームは介護施設の中でも少々特殊なタイプに分類されるのがわかります。
他の施設との違いでは入居対象者のハードルがやや高めな点も挙げられます。
再び比較することになりますが、介護付き有料老人ホームでは要支援の方や自立した生活が可能な方でも入居可能なところもありますが、特養では原則として要介護認定3以上の人でなければ入居できません。
民間企業が運営している場合にはそれぞの施設ごとに入居施設やサービス内容を設定することができますが、特養に関してはどの施設でも基本条件は共通しています。
ですからAという特養で入居できない人がBの特養で入居できた、といったことは原則起こらないわけです。
人気の理由は?
人気の秘密はやはり地方公共団体や社会福祉法人が運営していることへの安心感がまず挙げられます。
これは入居する要介護認定を受けた本人だけでなく、預ける家族にとっても大きなポイントでしょう。
これを最優先に考えて特養を選ぼうと考えている家族も多いのです。
また先ほど要介護3以上であることが入居条件と書きましたが、介護がなければ生活することが難しい人を対象にしているだけあって、一定以上の設備やサービスが一律に整っている点も人気の理由として挙げられます。
そして忘れてはならないのが費用の問題です。
「福祉」の色が強い特養は、運営している社会福祉法人などへ国からの助成金や、税金面での優遇があるため入居金はかからず月々の費用負担も安いことが大きな魅力です。
多くの自治体では、特養のような公的施設利用時に食費や居住費を減免できる制度を設けており、適用される世帯では更に負担は安くなります。
一方、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅といった施設では、介護サービスだけでなく「より快適な暮らし」を提供するためのサービスを充実させている施設が多く、それぞれの施設で設備やサービスに特色を持たせている分、どうしても高額の費用になってしまいます。
より環境が揃っている施設ほど、魅力はあるが費用が高くてとても預けられない、そんなジレンマを抱えてしまうことが多いわけです。
また、公的施設にあるような所得に応じた減免制度も無いので、料金面では特養よりも民間型の方が高額になるケースが多いのです。
そして、3:1以上という人員配置が義務付けされている点も特徴・メリットの両方として挙げておくべきでしょう。
介護付き有料老人ホームを除いては、民間施設に明確な人員配置の規定はないため、介護業界の慢性的な人手不足により、少ないスタッフでやりくりしているところも少なくありません。
そうなると入居者ひとりひとりにきめ細かなサービスを提供するのが難しくなりますし、万一のときに相応しい対応が難しいといった問題も出てきます。
こうしたメリットがあるからこそ人気が高く、入居希望者多数で順番待ちの状態に陥ってしまっているのです。
入居を希望したまま待機している人は全国で30万人以上いるとも言われており、この点がいかに深刻な問題になっているかが窺えます。
空床のある特養があるって本当?
ところが、入居希望者多数で順番待ちという特養のイメージとは裏腹に空床がある施設も一部存在しているのです。
順番待ちで入居までに何年もかかる施設がある一方で、空きを抱えた状態が慢性化している施設も出ているという、いわば施設ごとの「格差」が生じているわけです。
どうしてそのようなことが起こるのでしょうか?
まず理由として考えられているのが地域差です。
介護施設においても結局のところ需要と供給のバランスに左右されますから、高齢者が多い地域人口が多い地域には待機者が多くなる一方で、需要が少ない地域では空きが出てくるのです。
これは例えば、人口の流出などにより過疎化した地域などで高齢者の増加にあわせて施設を建てたものの、その高齢者たち以降の世代の人口が激減し、結果として施設の規模に対して現在の需要が少ないという現象が起きているです。
それから2015年に介護保険法の改正によって入居者の条件が厳しくなった点も理由として挙げられています。
先ほど挙げた要介護3以上という条件はこの改正時に設定されたもので、それ以前には要介護1以上であれば入居できる条件となっていました。
ハードルが高くなったことで純粋に入れる人が少なくなったわけです。これは待機者の緩和や空きが増えたという点では評価できるものの、これまで入れた要介護1、2の人が入れなくなってしまい他の施設を選ばざるをえない状況が生まれました。
他の施設に一旦入居すると、住み慣れた施設から住み替えることは本人の負担にもなりますから、結果的に特養には入らないままというパターンも多いようです。
また、設備の向上が空きをもたらしているとの指摘もあります。
以前の特養では相部屋が主流でしたが、近年ではプライバシーを重視した個室タイプ(ユニット型)が増えています。
プライバシーが確保された環境で生活できる点では非常によいのですが、一方で利用料金の増加に繋がってしまっているのです。
個室にすることで月々4~5万円も高くなってしまうとも言われており、敬遠して入居を諦める家庭も増えているのです。
そして最後に深刻な「人員不足」が挙げられます。
特養では法律で人員配置が定められていますから、それを満たす介護や看護職員が確保できなければ、施設運営の規模を縮小するしかありません。
結果として、閉鎖するベッドやユニットが生まれ、空床があるのに入れないという現象が起きるのです。
こうした理由に加えて、サービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホーム、介護付き有料老人ホームなど、民間施設の多様化によって、より個々人の状態や希望、予算に応じた施設探しが可能になったことで、特養にこだわらない家庭が増えてきた点も空きが増えている理由としてあげる人もいます。
施設を探すときには、これまでのイメージだけにとらわれずに、様々な方法で情報収集をして、時には直接足を運んで施設の“今”を知ることが大切です。
その結果、思ったよりもたくさんの選択肢を見つけ出すことができるかもしれませんよ。
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