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2019/04/01
コラム

オレンジリングが目印「認知症サポーター」とは

最近、公的機関や福祉関係の事業所だけでなく、一般企業の職員や学生などもオレンジ色のリングを身につけているのをみかけるようになりました。

このオレンジリングは、自治体等で「認知症サポーター養成講座」を受けて、認知症への正しい知識を持ち、認知症をもつ方やその家族を応援してくれる人たちに渡される、“認知症サポーター”のシンボルです。

 

超高齢社会が進む日本では、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると言われています。その数は全国で675万人、名古屋市でも11万2千人と推計されています。

このように高齢化が進み認知症の人が増えていくと、いままでのように家族や介護施設・老人ホームに任せるだけでは、認知症の人を支えるのは困難になります。

できるだけ長く、住み慣れた自宅で高齢者が生活を続けるには、地域や近隣の人達が普段の生活の中で、認知症をもつ人やその家族を見守り、出来る範囲で手を差し伸べていくことが必要になってきました。

 

そこで、厚生労働省は、「認知症への知識と理解を学び、地域で自分の可能な範囲で応援する認知症サポーターを養成し、地域活動に取り組む」という制度をスタートさせました。

この「認知症サポーター制度」の活動は2005年から始まっています。

当時、認知症高齢者のイメージは「徘徊や暴力でトラブルになる」「何をするか分からないから怖い」とったネガティブなものが多かったため、こうした先入観を払拭するために始まった啓蒙活動でもあります。

 

発足当初から5年間でサポーターを100万人養成する「認知症サポーター100万人キャラバン」の活動が始まりました。

そしてサポーター100万人は2009年に達成し、2018年末には約1,110万人となりました。

愛知県ではサポーター数(自治体・地域における養成数)は約56.4万人そのうち名古屋市では12.7万人となっています。

YouTubeでも動画開設しています!※こちらも参考にしてください!

認知症サポーターとオレンジリング

 

 

認知症サポーターとオレンジリング

 

認知症サポーターになるには、「認知症サポーター養成講座」を受講しますが、その証としてオレンジリングがもらえます。

認知症サポーターは、誰でもなることができ「何か特別なこと」をする人ではありません。認知症の正しい知識を持ち、認知症の人やその家族をあたたかい目で見守り応援する人です。

このオレンジリングを受け取った方たちからは、「認知症の人に優しくしたい」、「地域の人とも優しく接したいという気持ちになれるという声も聞かれます。

 

認知症サポーターとしての活動内容は人それぞれですが、地域や職場など普段の生活のなかで自分がどんな支援ができるか、認知症の方とどう向き合うのかを考えていくことが大切です。

周囲の友人などに認知症について話すのも良いでしょうし、認知症の方と接する機会があった時には、これまでと違う関わり方ができるかもしれません。

ちょっとした気遣いやそっと見守りをすることが、認知症の方自身や地域の大きな支えになります。

 

さらに活動を広げるサポーターの中には、認知症カフェを開催したり介護ヘルパーの方と同行して認知症の方やそのご家族の話し相手になるという活動をしている人もいます。

 

どんな役割と目的をもつのか

 

 

認知症サポーターの役割と目的

 

「認知症サポーター」は、認知症の方とその家族を支援する役割を担います。

たとえば、買い物でお金の払い方が分からないような素振りをしたり道に迷って不安そうにたたずむ高齢の方の方と出くわす場面は、誰にでも起こりえます。

そんな時に認知症の特性を知るサポーターが、知識を活かした声掛けや小さな手助けができればよいのです。

そして認知症と思われる場合には、必要に応じて任せられる専門機関につなげていきます。

 

サポーターに期待されることとしては以下の5つが挙げられています。

1.認知症を正しく理解し偏見を持たない

2.認知症の方とその家族を暖かく見守る

3.近隣の方に自分なりにできる簡単な事を行う

4.地域での相互扶助・協力・連携のネットワークを作る

5.地域のリーダーとしてまちづくりをする

 

また企業や団体では、更に広い活動がなされています。

サポーターを養成したり、社員教育や接客対応の見直しにつなげたり、店舗等で認知症サポーターがいることを知らせるステッカーやポスターを掲載している所もあります。

 

金融機関の窓口では職員が認知症サポーターとなることで、お客様との接し方等で大きな成果があったという報告もあがっています。

他にも、サービスや配送で顧客宅に訪問する会社では、日々の訪問にサポーター目線を持って業務に当たることで、“見守り”というかたちで地域に貢献したり、大規模飲食店では、認知症の方に限らず、あらゆるお客様への気配りやホスピタリティの向上にもつながり、広く接客に生かせたという意見もあります。

 

認知症サポーター養成講座

 

全国キャラバン・メイト連絡協議会 ロゴ

認知症サポーターは、「認知症サポーター養成講座」を受講することで誰でもなることができます。

サポーター養成講座」は自治体か、企業・団体が主体となり実施されています。

 

全国キャラバン・メイト連絡協議会が、自治体と企業・団体等と協力して、キャラバン・メイトと呼ばれる講師が「認知症サポーター養成講座」を開きます。

そして講座を受けた人は認知症サポーターとして、その証であるオレンジリングが渡されるという流れです。

【名古屋市の養成講座をご希望の方】

養成講座は、名古屋市では市内のいきいき支援センター(地域包括支援センター)が実施していますので、ご相談ください。

なごや認知症あんしんナビ」で市内の講座開催予定日一覧もみることもできます。

講座は、おおおよそ1時間~1時間30分となります。

基本カリキュラムに沿う内容を盛り込んだ、全国キャラバン・メイト協議会作成の標準教材や、開催者の独自の教材で進みます。

また受講料は原則、無料です。

 

認知症の診断と治療、早期診断と治療の重要性、成年後見人制度や地域福祉権利擁護事業、認知症の予防、認知症の人の気持ちを理解し、接する際の心がまえを知ります。

そして最後に認知症サポーターのできる事を学びます。

名古屋市の「認知症サポーター養成講座標準テキスト(名古屋市版)」では、基本の他に地域に根ざした情報を知る事もできます。

 

世界で有数の高齢社会と言われる日本。

認知症サポーターの存在は、とても心強い大切なものです。

日本の認知症への取り組みに対しては、2012年に世界保健機関(WHO)が「認知症」をテーマに発表した報告の中で、「認知症への偏見をなくす日本の国家的取り組み」と記したように、海外からも高く評価されています。

英国ではこうした日本の制度をお手本として「dementia friends」という取り組み制度を開始しました。

日々の中でどんな見守りや支援が出来るかを知り、「認知症サポーター」として高齢者や認知症の方に優しい地域づくりをすこしずつしていくことが、自分の将来の安心にもつながっていくでしょう。