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2018/08/13
コラム

同居世帯数と介護の関係

日本の家族は、以前でしたら三世帯で生活を共にすることが普通でした。しかし、現代の日本は核家族化がすすみ独居高齢者の方も増え続けています。世帯数が減少することで介護がどのように変わるのかを見ていきましょう。

三世帯家族の介護

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戦後の高度経済成長の時期から、多くの人が故郷を離れて都市に移動し、核家族が増加しました。その結果、3世代がともに住む世帯は減少しています。しかし、事情で別居ができない場合に子育て中の娘あるいは息子の世帯、親世帯、祖父母世帯が共に住むことがあります。

ある調査では、ニ世帯家族三世帯家族の介護経験について比較すると、「現在介護している」という回答の割合が、ニ世帯の場合は4.0%であるのに対し、三世帯では約17.1%となっています。女性の場合は約5人に1人が現在介護をしていると回答していました。施設を利用しないのは本人がそれを望まないというケースも多いです。

今後も三世帯では介護の負担が増えるため、在宅介護サービスなどを利用して介護の負担を軽減する必要があります。また、自治体によっては行政でも三世帯が同居しやすいように事業を行っているところがあります。

 

たとえば富山県砺波市(となみし)では「3世代同居推進事業」を実施しており、三世帯の同居をサポートしています。この事業では、3世代同居世帯であり、在宅の要介護高齢者を介護している場合に、ショートステイの利用に対して助成します。これによって、介護する家族の心身のストレスを軽減し、要介護高齢者が在宅生活を続けられるようになっているのです。

利用できるのは砺波市に住んでいる3世代同居世帯で、要介護4あるいは5に認定されている65歳以上の高齢者です。助成されるのは介護保険制度によるショートステイ利用料のうち滞在費、食費、日常生活費を除いた自己負担額分となっています。期間は1回につき2泊3日以内で、最高で年間6回まで利用可能です。

こうした行政が実施している事業を利用することによって、三世帯家族の介護負担を軽減できるでしょう。

ニ世帯家族の介護

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ニ世帯家族の場合は、子供夫婦が親の介護をすることになります。メリットは介護を受ける側に安心感があるという点です。

また、介護状態が軽度の場合は介護者も社会活動に参加しながら介護を行うことができます。ただし、要介護度が増すと介護者は時間的にも制約され精神的、体力的にも負担が大きくなるでしょう。その際にはデイサービスを利用することで介護者の負担を軽減できますし、親に外出の機会を与えることもできます。

また、自宅にヘルパーさんに来てもらって一定の時間介護をしてもらうことも可能です。ただ、自宅にヘルパーさんが来る訪問介護の場合、ニ世帯住宅の状況によって利用のしやすさが変わってきます。

たとえば、玄関も浴室も別々になっているようなニ世帯住宅では、自分の生活ペースを崩されることが少ないので、訪問介護を受け入れやすくなっています。一方、玄関と浴室を共用していて、メインのキッチンが1つという場合は、訪問介護を受け入れにくいと感じる人が多いです。

また、家族が介護する場合でも、ニ世帯住宅の作りによっては介護のしやすさが変わります。たとえば、玄関は別でも内部で行き来できる建物の場合は、食事のサポートが比較的楽にできます。ところが、玄関が別で、しかも内部で行き来できない場合には、たとえば雨の時にはわざわざ傘をさして食事を運ぶ必要があるため、介護の不便さを感じることが多いです。

しかし、ニ世帯で暮らす介護面でのメリットはやはり親の様子が常に確認できるので安心感があるという点でしょう。介護サービスを上手に使えば、子供世帯の負担も軽減できます。

独居もしくは夫婦のみの介護

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頼れる家族がいても独居を選ぶ高齢者がいます。

主な理由としては長年生活してきた住み慣れた場所を離れたくない、一人でのんきに生活したい、介護者に転勤が多い場合などでしょう。

介護者が近くに住んでいる場合には、頻繁に訪問して様子を見たり食事の世話をすることができますが、介護者にも家族があり、親に対して十分の世話をすることはかなり難しくなります。

 

また、遠方に住んでいて引っ越しもできない状況だと、介護は不可能になります。

独居者の介護を自分ができない場合には、特別養護老人ホームやグループホームなどを利用することが可能です。

また、まだ健康だが、転倒や急な病気が心配という場合には、老人ホームや高齢者マンションを利用するという方法があります。

 

また、親が介護サービスを受けられるように、ケアマネジャーに相談してヘルパーを派遣してもらう、配食サービスや福祉用具の購入やレンタルといった手配もしてもらいます。

介護保険の支給限度では収まらないこともあるため、家事の代行や見守り訪問をしているボランティア団体の助けを借りることもできるでしょう。

民間企業でも訪問して様子を見てくれたり、光熱費の使用状況をチェックするなどの「見守りサービス」を提供しているところがあります。

独居の親の安全を確保するためには、家の中に手すりをつけたり段差を無くす、ガスの使用をやめてオール電化にするといったことも必要になります。

 

遠距離介護では子供も親を援助しているという安心感がありますし、親も子供にかかる負担が少ないということでいくらか気持ちが楽になるでしょう。

頼れる家族がいなくて老夫婦のみで生活している場合、一方に介護が必要になると、その配偶者の介護負担が大きくなります。

2016年の国民生活基礎調査によれば、「老老介護」つまり、65歳以上の人が同じく65歳以上の高齢者を介護している世帯は54.7%です。

介護者が配偶者を施設には入れたくない、あるいは介護される側が施設には行きたくないという理由で「老老介護」が増加しています。

夫が妻を介護する場合は、今まであまり妻を顧みなかった夫でも、介護を始めてやりがいを感じて続けられることもあります。

ただ、妻の介護度が高いケースでは、夫の介護負担はかなり高くなるでしょう。

 

介護ではオムツの交換や食事、入浴の介助、清拭、車椅子への移乗や体位変換などで体力を使うことが多く、これに認知症が加わっていると精神的にも肉体的にも限界になることがあります。

男性の場合は誰かに悩みを打ち明けることができない人が多いため、非常に大変な状態でも一人で抱え込んでしまうことが多くなります。

思いつめると無理心中や介護殺人につながりかねません。

実際にそのような行動に出る7割は男性です。

介護者が男性であっても女性であっても、一人で抱え込まないことは非常に大事なポイントになります。

子供がいるなら介護について相談してみましょう。

 

金銭面の負担についても一人で抱え込まないようにしてください。

また、地域の「高齢者総合相談センター」に相談して介護制度を利用して介護負担を減らすことも大切です。

三世帯家族は減る傾向にありますが、現在も三世帯で暮らしている家族の場合は1人にかかる介護の負担が大きくなっています。

また、ニ世帯家族でも介護が必要な高齢者を在宅介護する場合は負担がかかります。

子育て等に支障が出る場合もあるので、他の責任と介護を両立させるためには、介護制度によるサービスを利用することが必要になるでしょう。

親が一人で住んでいて介護が必要な場合でも、遠距離介護が可能です。

老老介護の比率は高くなっていますが、一人で抱え込まないで周りの人の協力や行政の助けを積極的に活用することも検討する必要があるかもしれません。