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老人ホームや介護施設での転倒の原因は?高齢者自身や家族が意識したいこと
高齢者にとって、転倒は日常生活で最も危険な事故の一つです。身体の動きが硬くなったり、視力や聴力が低下したりすることで転倒リスクが増大します。老人ホームや介護施設では、高齢者や要支援・要介護の方など転倒しやすい方が多いため、施設と介護職員は転倒の防止や予防に努めなければなりません。ここでは、老人ホームや介護施設での転倒の原因と、高齢者自身や家族が意識すべきポイントについて解説します。
老人ホームや介護施設で起こる転倒の主な原因とは?
老人ホームに介護施設に起こる主な転倒の原因は、「外的要因」「内的要因」「行動要因」の3つに大きく分類されます。
●外的要因
施設の環境や設備などの物的環境です。例えば、わずかな段差、手すりが付いていない階段、滑りやすい材質の床、高さが合わず乗り降りしにくいベッド、自身にあっていない靴などが、生活環境上の問題として該当します。
●内的要因
高齢者の身体的な問題です。加齢や疾患による筋力の衰え、ふらつき、麻痺、歩行障害などが挙げられます。また、疾患などがなくても、服薬の影響でめまいなどが生じることも少なくありません。
●行動要因
「動きたい」という自発的な欲求のことです。例えば、「トイレに行きたい」や「水が飲みたい」などの欲求が挙げられます。上記は高齢者の行動要因ですが、介護者職側にも「自発的に動いてもらいたい」という希望が高齢者の行動要因を促すことがあるのです。例えば、過度なケアの介入による機能低下を防ぐため「やれることは自分でやりましょう」と言われ、高齢者が一人でトイレに行こうとして転倒するなどのケースです。
このように、老人ホームや介護施設の高齢者が転倒に至る理由は多岐に渡ります。そのため、施設や介護職員は様々なケースを想定した転倒防止対策を講じる必要があるのです。
高齢者が自身の転倒を予防するために意識すべきポイント
転倒で骨折や頭部外傷などの大けがを負った高齢者は、寝たきりの状態や要介護状態になる恐れがあります。転倒を予防するためには、施設や介護職員のみならず、高齢者本人もいくつかのポイントを意識することが重要です。
●運動する習慣をつける
無理のない範囲の散歩や体操などで体を動かすと、筋力やバランス感覚を養えます。運動不足は、身体機能の低下や転倒リスクの増加に繋がります。
●バランスの良い食事を心がける
骨粗しょう症にならないように、カルシウムやビタミンDなど骨を丈夫にする栄養素を摂ることが大切です。また、水分不足は立ちくらみやふらつきの原因になりますので、こまめに水分補給をしましょう。
●急な動作を避ける
頭で「できる」と判断していても、体がそれに追随しきれずに転倒してしまう場合があります。特に注意が必要なのは、一定の姿勢が長時間続いた後に次の動作へ移行する瞬間です。寝てからの起床、座位からの立ち上がり、静止状態からの歩行開始など、行動パターンが変わる瞬間はリスクが高まります。このようなときに、「一呼吸置いてから」次の動作に移るようにし、身体を準備させてから動くのがポイントです。
高齢者の家族が転倒予防のために協力するべきこと
自宅で過ごす高齢者の転倒を防止するためには、家族の協力も欠かせません。まずは自宅における転倒の外的要因を減らす必要があります。
例えば、バリアフリーにリフォームして段差をなくす、手すりを付ける、より明るい照明に変える、風呂場や玄関に滑りにくいマットを敷く、家具や配線ケーブルなどの配置を変更するなどが挙げられるでしょう。
また、筋肉や骨の維持や強化につながる栄養バランスの整った食生活をサポートする必要もあります。高齢になると食べる量が減少する傾向にありますが、低栄養の状態が続いてしまうと筋力や筋肉量が低下し、運動機能が衰えていくからです。骨密度も下がるため、骨折のリスクも高まります。筋肉を作る肉、魚、卵、乳製品などの動物性たんぱく質、骨を作るカルシウムやビタミンDなどを積極的に食事へ取り入れしましょう。水分不足は立ちくらみやふらつきの原因になりますので、こまめな水分補給も大切です。
今回のまとめ
転倒は、施設の「物理的条件」、高齢者の「身体状態」、「動作の意識」の3要素から生じます。微細な段差や滑りやすい床などがあれば改善し、筋力低下や薬物影響によるめまいなどが見られる高齢者の行動には、特に注意してください。高齢者自身の転倒防止対策では、筋力維持の「運動習慣」、「バランスの良い食事」、「急な動作の回避」などが挙げられます。特に行動切り替え時は、一呼吸置くなど身体を準備させることが必要です。自宅で過ごす高齢者がいる家族は、自宅の「バリアフリーリフォーム」や「栄養バランス」の整った食事の提供などで転倒のリスクを軽減できます。
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