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2023/04/06
コラム

舌苔を放置するリスクと老人ホームや介護施設でできる口腔ケア方法

舌苔を放置するリスクと老人ホームや介護施設でできる口腔ケア方法

食事介助をする際に口を開けてもらったら、舌が白くなっている場合があります。この舌を覆う「舌苔(ぜったい)」は、舌苔は口臭が強くなった原因だと感じる人もいるかもしれません。しかし、それ以上に健康にも悪影響を及ぼすことがありますので、注意が必要です。
ここでは、舌苔ができる原因健康への影響口腔ケアの方法予防法についてご紹介します。

唾液の分泌量に原因がある?舌苔ができる原因

舌の表面の溝に溜まった食物残や分泌物に細菌が繁殖して、舌に苔がこびりついたようになった状態を『舌苔』と呼びます。
唾液は殺菌作用があり、通常は話をする際に口全体を動かしたり、そうでなくても無意識に舌を動かすことで唾液が流れますので、舌苔の原因となる細菌の繁殖はさほど進みません。さらに、舌苔の原因となる細菌の活動を抑える働きがあります。唾液の分泌量と舌苔のできやすさには相関関係があり、何らかの理由で唾液の分泌が少ないと舌苔ができやすいのです。
唾液は加齢の他にストレス薬の副作用分泌が減少します。唾液の分泌量が十分でも、舌の溝が深い場合には舌苔の原因となる細菌が繁殖しやすいです。喫煙者口呼吸の人なども、唾液がうまく流れず舌苔ができやすくなります。

舌苔が高齢者にできやすい理由

加齢と共に唾液の分泌量は減少し、口や舌の動きも悪くなることで、食べ物のカスが口の中に残りやすくなります。さらに、高齢になるほど持病を持つ人が増えますので、病気自体の症状や内服薬の副作用で口の中が乾きやすくなり、唾液による自浄作用がうまく働かなくなってしまうこともあるのです。そのため、高齢者の方は舌苔ができやすいのです。
舌苔は見た目が悪いだけでなく、放置すると繫殖した細菌が口臭や虫歯・歯周病の原因になります。さらに、高齢者では唾液に混じった細菌が気道に入ってしまうことで起こる誤嚥性肺炎のリスクが高まりますので、注意が必要です。舌苔が味を感じる「味蕾(みらい)」を覆ってしまいますので、味を感じにくくなるので濃い味付けを好むようになります。日常的に塩分や糖分の摂り過ぎにつながってしまいますので、この点においても注意が必要です。

老人ホームや介護施設でもできる口腔ケアと唾液の分泌量を増やす方法

舌苔を予防するためには、舌苔を取り除く口腔ケア唾液の分泌量を増やす対策が大切です。定期的に専用の舌ブラシを使用し、奥から手前に掻き出すようにやさしくこすります。舌ブラシ以外に、濡らしたガーゼを指に巻き付けて拭き取る方法もあります。いずれの場合も汚れが気道に入らないように配慮が必要です。舌を磨く際に歯ブラシを使うと、硬すぎて傷つけてしまう可能性がありますので、おすすめできません。
唾液の分泌量を増やして、口腔内の乾燥を防ぐためには、水分をこまめに摂り、食事をよく噛んで食べることが大切です。起床時や食事の前後に、耳下腺や顎下腺、舌下腺を軽く押す唾液腺のマッサージを行うことで、唾液の分泌を促します。口呼吸をする癖がある場合には、原因となっている鼻の病気を治すことや、口を半開きにしないようにトレーニングする方法も有効です。

今回のまとめ

白い付着物が舌を覆う舌苔は、唾液の分泌量の低下や乾燥などで生じる細菌が繁殖した状態です。加齢や持病により唾液量は減少しますので、高齢になるほど舌苔ができやすくなります。舌苔は口臭の原因になるだけでなく、誤嚥性肺炎など命に関わる病気の原因にもなりますので舌ブラシなどを使って適切に除去して、口腔内の環境を整えましょう。