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2022/11/04
コラム

リスクを減らしながら毎日を楽しんでもらう老人ホームの食事選びのポイント

リスクを減らしながら毎日を楽しんでもらう老人ホームの食事選びのポイント

健康的な体作りにはバランスの良い食事が必要不可欠ですが、年齢や体調への配慮も重要です。特に、老人ホームや介護施設などの高齢者向け住まいでは、食事が原因で窒息や誤嚥事故が起こるリスクがある点に注意しなければなりません。ここでは、食事を提供する老人ホーム介護施設食事を選ぶときに気をつけているポイントをご紹介します。

老人ホームや介護施設の食事は要介護レベルに応じて調理方法や提供温度の調整が必要になる

老人ホームや介護施設では、咀嚼する力や飲み込む力が衰えた方向けにきざみ食ミキサー食といった提供方法を導入しています。。さらに、施設によっては要介護レベルに応じた提供温度の調整が行われます。ここでは、調理方法や提供温度の調整が必要な理由を解説します。

咀嚼する力が衰えているため

高齢になると食べ物を噛むこと、つまり咀嚼がしにくくなります。特に、65歳を過ぎた方は歯が失われていることが少なくありません。成人の歯の本数は28本(親知らずを除く)ですが、厚生労働省の発表では2016年における後期高齢者の歯の平均本数は約16本、総入れ歯を使用している人の割合は約3割でした。
さらに、顎の力が衰えて咀嚼する力が弱い高齢者の場合は、料理の食材を細かくして、噛みやすい固さにする必要があります。

消化機能が衰えているため

高齢者は胃腸の機能が低下し、胃酸の分泌量も減少するため、胃もたれや消化不良を起こしやすくなります。また、便秘や下痢にもなりやすくなるため、内臓を冷やすような冷たい食事や、火傷のリスクがある高温の食事も提供を避ける必要があるでしょう。

老人ホームや介護施設で働く介護職が入居者の要介護レベルを把握して食事を提供するのがポイント

老人ホームや介護施設で入居者が食事を楽しめるように、食事を提供する際にもいくつかの注意点があります。

要介護レベルを把握する

入居者それぞれに適した介助を行うために、要介護レベルを知っておくことは重要です。とは言え、要介護レベルだけで判断せず、直近の状態を把握しておきましょう。急に体調を崩して咀嚼や嚥下機能が下がっていることもあるからです。

正しい姿勢が保てるよう補助する

姿勢が悪いと、食事が喉に詰まりやすくなります。姿勢をまっすぐにするのが難しい入居者は、クッションを使って調節します。

食事をする前に水分を飲んでもらう

食事をする前に、お茶や水などの飲み物で口のなかを潤しておくと、嚥下をよりスムーズに行えます。

食事の順番をチェックする

一品ずつ食べるのではなく、「主菜」→「副菜」→「水分」の順番に食べると誤嚥が起こりづらくなります。メニューによっては、水分の多い料理を先に食べるのも、誤嚥を防ぐのに効果的です。

しばらく座った状態でいてもらう

食後すぐに横になると、食べたものが逆流して逆流性食道炎の原因になります。食後はしばらく座ったままで過ごすような作業や遊び、会話などを取り入れてください。

介護職で働く際は食事を提供する際の温度や柔らかさに注意を払わないといけない

老人ホームや介護施設で働く介護職員が食事を提供する際に、特に配慮が必要なのが嚥下(えんげ)障害のある入居者です。嚥下障害とは、のどや気管、食道などの神経や筋力の機能の低下により、食事がうまく飲み込めなくなる障害のことを言います。嚥下障害があると、喉に食べ物が詰まって窒息したり、誤嚥が原因で気管に細菌が侵入することで起こる「誤嚥性肺炎」になるリスクが高まります。

介護職員は入居者の嚥下機能に応じた温度や柔らかさの調整が必要ですが、一人ひとりに合わせた調理が難しい場合には、ユニバーサルデザインフードを利用するケースもあります。ユニバーサルデザインフードは、食べやすさを重視した食品のことです。調理が不要のレトルト食品や冷凍食品があり、入居者の症状に合わせて選びやすいように4つの区分があります。嚥下障害がある入居者には、食事が喉につまらないように料理にとろみをつけられる「とろみ調整食品」を選ぶのも一つの方法です。

今回のまとめ

食事は空腹を満たして必要な栄養素を摂取するだけでなく、旬の食材で季節を味わったり、食事をしながら会話を楽しんだりして、生活の質を向上させてくれるものです。老人ホームや介護施設などの入居者が、少しでも快適で楽しい時間を過ごせるように、老人ホームや介護施設の利用をご検討中の方は、食事も考慮して施設選びを選んでみてはいかがでしょうか。