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もしも家族に介護が必要になったら?会社員が利用できる制度
高齢の親や家族の介護をするのは簡単なことではありません。
時間も体力も使うため、毎日の生活が介護中心となる人も少なくありません。
超高齢化がすすむ日本では、働き盛りの世代が親の介護を理由に仕事を辞める「介護離職」をする人が少なくありません。
もちろん、親の介護をしたいという気持ちは大事ですが、自分たちの生活サイクルを守ることや、経済面を考えて現実的な策を講じることも大事です。
そこで、介護をする人向けの「公的制度」について知っておきましょう。
▼今日のテーマは【YouTube】でも動画でご覧いただけます。
【介護休暇 編】もしも家族に介護が必要になったら?
【介護休業 編】もしも家族に介護が必要になったら?
1.「介護休暇」を利用
「介護休暇」とは
国が講じている制度。家族の介護のために短期間の休暇、具体的には半日や1日の休みを取れる
この介護休暇では、介護を必要とする人の人数によって、取得できる日数が異なります。
■1人の場合:年間5日まで
■2人以上 :年間10日まで
この権利は労働者の権利として、法律でも明確にされているものですので、介護休暇を取ることに後ろめたさを感じる必要はありません。
介護休暇は他の有給休暇などとは別にカウントされるものですので、利用したからといって通常の欠勤と見なされることはないのでご安心ください。
休暇の対象となる「親族の範囲」
介護休暇は家族に要介護者がいることが条件となります。
これには親はもちろん配偶者や配偶者の両親、子ども、同居している祖父母や兄弟姉妹、孫も含まれます。
この制度を利用できるのは、6か月以上の雇用期間が経過しているという条件を満たせば、正社員だけでなく契約社員やパート・アルバイトも入ります。
実際に休暇を利用するに当たっては、事業主に対して口頭もしくは書面で申請をします。
行き違いが生じないためにも、書面に理由も記して提出した方が安心でしょう。
日数の「カウント方法」
1日や半日という単位ではなく、休んだ時間単位で申請可能です。
たとえば、午後の3時くらいから退社した場合、半日とカウントするのではなく、終業時間までの2時間というカウントとなります。
介護では多くの場合、丸一日付きっきりというよりも、数時間だけお世話をしたり病院に連れて行ったり、ケアマネジャーなどと会議をすることが多いです。
そのため、このカウントの仕方だと無駄なく制度を利用できます。
取得可能な「目的」
この介護に含まれるのは、直接的な介護をすることはもちろん、ケアマネジャーとの相談に行くとか老人ホームなどの介護施設に関係した手続きをするといった内容もあります。
幅広い理由で介護休暇を利用できます。
「給与」はどうなる?
この休暇を取った場合、給料が出るのかということが問題となります。
法律では有給・無給の規定はないので、それぞれの会社の就業規則で定めるものとなります。
愛知県名古屋市でも会社による違いがありますので、一度勤めている会社に尋ねましょう。
全体としては無給の方が多い傾向にあります。
2.「介護休業」を活用
「介護休業」とは
家族の介護を目的として、長期間の休暇を取れる制度
それぞれの状況によって実際に取得する休暇日数は異なりますが、数週間から数か月に及ぶことが多いです。
やはり、介護休暇と同じく「育児・介護休業法」によって定められている労働者の権利です。
雇い主はこの制度を利用した人を、これを理由にして解雇するなどの不当な扱いをしてはいけないとされています。
介護休業の「日数」
介護休業は年間で最大93日間の休みを取ることができます。
この上限日数は、3回に分けて取ったり、1回ですべて使い切ることもできます。
計画的に予定を組んで、無理のない介護プランを立てられるようにしましょう。
「給与」はどうなる?
〔会社からの給与〕
介護休業も介護休暇と同じく、法律では休暇中給料の支払いがあるかどうかについて触れられていないのが現状です。
そのため、会社ごとに差があり、休業中は無給となることもあるわけです。
ただし、これはあくまでも会社からの給料ということであり、「雇用保険」を利用すれば休業中に給付金を受け取ることも可能です。
〔雇用保険を利用する〕
雇用保険には「介護休業給付」という制度があり、基本賃金の67パーセントの給付金をもらうことができます。
給付金を受け取るには、勤めている会社を通してハローワークにて申請を行います。
休暇の対象となる「親族の範囲」
介護休業の対象となる要介護者は、父母や配偶者、配偶者の両親、子ども、祖父母や兄弟姉妹、孫です。
そして、対象となるのは1年以上の雇用期間を経ている労働者だけです。
この点で介護休暇よりも基準が厳しいので注意しましょう。
ただし、この条件をクリアすれば、正社員のみならず、契約社員や派遣社員、パート・アルバイトも利用できます。
〔※期間の定められた雇用者は注意〕
単年契約をしている場合は、介護休業の最大日数である93日が経過した後、6か月以上雇用が継続するという条件に注意する必要があります。
つまり、契約満了日が近いと制度を利用できないことがあるのです。
この介護休業は長期間にわたるため、事前に申請することが求められています。
申請の際には休み始める日と復帰する日付とを定めて、2週間前までには書面での提出をします。
事業主への申請ですので、総務課などに書類を提出することになります。
3.「新しい働き方」と「介護離職」の実態
こうした「介護休暇」や「介護休業」の制度を利用すること、そして会社側としても不当に制限しないことはとても重要です。
というのも、介護の必要を抱える家庭は増加傾向で、それが原因で離職をするケースが増えているからです。
介護離職する人の数
平成28年の調査では、介護離職は1年間で9.9万人生じているとしています。
この時から高齢化はさらに進んでいますので、まだまだ伸びるかもしれません。
また、介護をしている人の6割近くは仕事と介護を両立しないといけないことも分かっています。
介護をするためには、何らかの形で仕事をセーブしないといけないのが現状なのです。
介護離職による損失
〔経済面や社会面〕
介護離職が生じると、当人とその家族は経済的な支えを失うことになるため、その後の生活に大きな不安を抱えることになります。
介護を始める人というのは中高年が多いものですので、離職してから復帰しようと思ってもなかなか職を見つけられないという問題もあります。
そして、当人だけでなく会社側にとっても、活躍していた人材を失ってしまうという痛手を被ることになります。
そうであるならば、短期間であれ長期間であれ一時的に介護のために休んでもらって、体制が整ったら復帰してくれる方がずっとお互いにとって良いのです。
〔体調・体力面の問題〕
無理に介護と仕事を両立していると、強いストレスを抱えたり、体力的に消耗したりします。
仕事のパフォーマンスも下がりますので、メリハリを付けるためにも休業という制度を利用した方が結果的にメリットが大きくなります。
このように、現代社会の実情を知り介護離職を減らすためには、新しい働き方を採用していくことがどうしても必要です。
柔軟に休みを取ったり、自宅にいながらにしてテレワークで働いたりできれば、介護と仕事の両立を楽にできるようになります。
こうした取り組みは会社による違いが大きいものですが、社会として積極的に推進していくべき流れと言えるでしょう。
【おわりに…】
超高齢化社会となっている日本では、親の介護をするために今まで勤めてきた会社を辞めざるを得ないと感じる人が多くいます。しかし、「介護離職」は当人たちに大きな不安を与えると共に、会社にとっても損失となります。そのため、無理なく介護の時間を取れる「介護休暇」や「介護休業」といった制度を利用することが肝心です。
こうした制度は法律でも定められている労働者の権利です。積極的に利用しましょう。
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