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2022/04/18
コラム

「アサーティブ」介護・福祉の現場で取入れたいコミュニケーション技法

アサーティブ」という言葉をご存知でしょうか。

近年注目が高まっているコミュニケーション技法で、企業の社内研修などでも積極的に取り入れられています。

実はこの「アサーティブ」については、介護を含む福祉の現場においては、より重要な意味を持つと考えられています。

介護においては利用者はもちろん、ご家族関係する方々とのコミュニケーションが非常に重要だからです。

そこで、アサーティブとはどんなものなのか、具体的にどう実践されているのかを考えてみます。

▼YouTubeでもみられます↓

1.コミュニケーション技法「アサーティブ」とは

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アサーティブとは、アサーションとも呼ばれ、assertive=「自己主張」することを言います。
しかしここでの「自己主張」とは、自分の主張を一方的に伝えることではなく、「相手を尊重し、適切な方法で自己表現を行うこと」とされています。

誰かとコミュニケーションをとる時には、お互いに言葉を伝えあう訳ですが、その伝え方はいくつかのタイプに分類できます。

 その①:アグレッシブタイプ 

【自分の意見や気持ちだけを一方的に伝えて、それを押し通すタイプ】

この方法だと、少なくとも自分側の主張を通すことはできるかもしれませんが、相手の気持ちを無視することになったり、周りの人たちからのより良い意見を活かせないリスクがあります。

自己本位であり、人との関係性を作るという意味では避けるべき方法と言えるでしょう。

特に、老人ホームなどの介護施設ではお互いの気持ちを理解することが重要になってきますので、特に気を付けるべき点です。

 その②:ノンアサーティブタイプ 

【相手の意見や気持ちのみを重視して、それに常に相手の意向に沿う決定をしてしまう人】

一見すると顧客や相手方の心情をおもんばかった行動に見えますが、いわゆるカスタマーハラスメントにつながるリスクもはらんでいます。

サービスを提供する側の精神的な負担が非常に大きくなり、やりがいや喜びを持って仕事をするのが難しくなるでしょう。

また、物理的にもサービスの提供が過剰になるなど、不利な立場に追いやられることが多くなりかねません。

さらに、自分の意見や気持ちを伝える機会を失うため、どちらにしても相互の理解をすることはできず、良い関係を培うという意味では失敗してしまうことになります。

 

 その③:アサーティブタイプ 

【お互いの意見や感情などを伝えて、双方で相手について理解し、肯定しあうことを重視する】

「アグレッシブ」や「ノンアサーティブ」のような極端な伝え方を避けたものが、「アサーティブ」と言われるコミュニケーション技法です。

そして、それぞれの意見を基に判断して、決定することになります。

このように、アサーティブでは自分と相手との関係で、対等で率直なコミュニケーションが望ましいと考えらえています。

誠実に相手のことを考えて、自己責任で自分の果たすべき分を果たすという成熟した関係を作ることが大事になってきます。

アサーティブを使ったコミュニケーションでは、自分の意見もしっかりと持ちながらも、相手の心情などを聞き取り、尊重する話の聞き方、伝え方をしていくことが求められます。

こうした相互理解と尊重の立場は、介護施設の中で職員同士、そして利用者やご家族とのコミュニケーションにおいて、大きな効果を生み出すものとなるでしょう。

2.アサーティブ実践に欠かせない「DESC法」

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アサーティブ的なコミュニケーションでは、「DESC法」という実践的なやり方を採ります。

 「D」=「Describe」 

描写」を意味し、現在起きている状況を伝える段階のことを指します。

相手に客観的な伝え方ができるように、誰が誰と、いつ、何を、どのように、どこで、といった要素に分けて伝達します。

 「E」=「Explain」 

説明」の段階で、特に自分の心情や感想、意見といったものを素直に伝えることを目指します。

気持ちを伝える際には、感情的にならず冷静に伝えるよう意識することが鍵となります。

 「S」=「Specify」 

提案」の段階です。

自分と相手の意見や気持ちを伝え合った後で、問題を解決したり改善したりするためにできる提案を提示します。

当然、双方にとって益となり、どちらの意見も反映されたものでなくてはなりません。

現実的な解決策を探るようにして、すぐに手を付けて行動できるような、具体的な提案を出すように努力します。

理想論ではなく、自分も相手も努力を払えば実行できる解決策を作れなければ意味がありませんので、お互いの能力や状況などを考慮に入れる必要があります。

 「C」=「Choose」 

最後は「選択」です。

解決策を提示したら、その案を勝手に進めるのではなく、お互いが合意して、一緒にゴーサインを出すようにします。

そのための選択をするというプロセスです。

多くの場合、前段階の提案は施設側や職員がするものですので、最終的な選択と決定は利用者やご家族に委ねられます。

ですから、老人ホーム側で何らかの解決策を示しても、拒否されてしまう可能性もあるわけです。

 

もし「No」と言われても、それを押し通そうとするのではなく、元々の案を柔軟に変えて、実現可能なものにするよう努力します。

もしくは、A案とB案という形でいくつかの選択肢を用意して、その中からより良い案を選択できるようにします。

いずれにしても、一つの案にこだわることなく、代替案を用意したり調整をしたりすることが重要になってきます。

3.介護現場にとってアサーティブが重要な理由

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こうしたアサーティブ技法はどんな業界でも必要なものですが、特に介護施設では重要度が高いです。

というのも、利用者はどうしても申し訳ないといった気持ちが働き、遠慮がちな態度になってしまうからです。

利用者が自分の気持ちや意見を伝えようとしても、なかなか言えないというケースが多いわけです。

 

そこで、職員と利用者が対等な立場でお互いに尊重しつつも、しっかりと気持ちや要望を伝えられる環境を作るべきなのです。

こうすることで、気軽に様々なことを言えるようになり、より良質で効率的な介護ケアができます。

 

介護施設の内部、つまり職員同士でも、アサーティブを重視することは大切です。

コミュニケーションがスムーズに行われていけば、利用者やご家族についての情報共有が自然でスムーズになりやすくなります。

ちょっとしたことでも、気になる点があればすぐに伝え合うことで、無用なトラブルを防いだり、急な体調変化などに対応したりできるようになります。

また、職員同士の関係性が向上しますので、いわゆるギスギスとした雰囲気を生み出すことなく済みます。

 

どうしても介護現場は精神的な負担を感じる場面も出てきますので、職員同士でも自分の心情を話し、率直にコミュニケーションを取ることで、ストレスを軽減できるわけです。

仕事におけるやりがいや楽しみをより感じるためにも、大きな役割を果たすことになります。

【おわりに…】

介護の現場では、利用者やご家族、そして職員同士のコミュニケーションが非常に重要です。そこで意識したいのが、『アサーティブ』という考え方です。自分も相手も、お互いに意見や心情を率直に伝えて尊重し合い、一緒に問題についての解決策を決めて選択するという流れです。
愛知県名古屋市の介護施設でも、コミュニケーションの改善という面で様々な取り組みがなされていますが、そのうちの一つにこうした技法の浸透が重視されています。努力を続けることによって、サービスの向上という実務的な点のみならず、施設内の雰囲気の改善やそこにいる人たちの幸せにつながっていくことになるのです。