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2026/10/22
コラム

老人ホームの「90日ルール」とは?短期解約特例制度と初期償却について

老人ホームの「90日ルール」とは?短期解約特例制度と初期償却について

老人ホームへ入居したものの、「実際に生活してみたら合わなかった」「体調が変化して退去することになった」という場合もあります。そんなときに知っておきたいのが「短期解約特例制度」です。今回は、制度の仕組みや初期償却との関係、利用する際の注意点についてご紹介します。

老人ホームの「短期解約特例制度」とは?

短期解約特例制度とは、有料老人ホームに入居してから一定期間内に契約を解除した場合に、支払った前払金から、入居していた期間分の利用料や原状回復費用などを差し引いた金額が返還される仕組みです。「90日ルール」などと呼ばれることもあります。

老人ホームは、見学や資料だけでは実際の生活まですべて把握することは難しいものです。入居してから施設の雰囲気やほかの入居者との人間関係などが合わないと感じることもあれば、本人の体調が変化して入院や退去が必要になる場合もあります。

そこで、前払金を受領する有料老人ホームでは、入居者が入居した日から3か月が経過するまでの間に契約を解除した場合などに、前払金から実際の利用期間に応じた費用を差し引き、残額を返還する仕組みが設けられています。

「短期解約特例制度=支払ったお金がすべて戻ってくる」と考えてしまいがちですが、実際に入居していた期間に相当する家賃などの費用は支払う必要があります。また、食費など実際に利用したサービスの費用や、居室の状態によっては原状回復に必要な費用が発生する場合もあります。

そのため、「3か月以内なら無料で入居できる」という制度ではなく、短期間で退去することになった際に、高額な前払金を大きく失うことを防ぐための仕組みと考えると分かりやすいでしょう。

「初期償却」とは?短期解約特例制度との関係

短期解約特例制度を理解するうえで、あわせて知っておきたいのが「初期償却」です。

有料老人ホームでは、入居時に「入居一時金」などの名称でまとまった前払金を支払う場合があります。この前払金の一部を、入居した時点で償却する仕組みが「初期償却」です。

例えば、入居一時金が500万円、初期償却率が20%の契約であれば、100万円が初期償却分となり、残りの400万円を一定の期間にわたって償却していくことになります。

通常、初期償却された分は、途中で老人ホームを退去しても返還されません。そのため、初期償却の割合が大きいほど、退去時に戻ってくる金額が少なくなる可能性があります。

ただし、ここで重要なのが「短期解約特例制度」です。初期償却は入居時から設定される場合がありますが、入居後3か月以内に短期解約特例制度の対象となる形で契約が終了した場合は、通常の初期償却を適用した返還計算とはならず、初期償却分も含めて返還額が計算されます。

例えば、500万円の前払金のうち100万円を初期償却する契約であっても、短期解約特例制度の対象となる場合は、「500万円-初期償却100万円=400万円」を基準に返還額を計算するわけではありません。前払金500万円から、実際に入居していた期間分の家賃など、制度上認められた費用を差し引いて返還額を計算します。

つまり、「初期償却された分は通常の退去では返還されないものの、短期解約特例制度の対象となる場合には、その初期償却分も含めて返還額を計算する」と考えると分かりやすいでしょう。

なお、初期償却の有無や割合、前払金の償却方法などは施設や契約によって異なります。入居一時金がある老人ホームを検討する際は、金額だけでなく、初期償却の有無や償却方法、短期間で退去した場合の返還方法についても、契約書や重要事項説明書で確認しておくことが大切です。

 

短期解約特例制度で注意したいポイント

短期解約特例制度について特に注意したいのが、「3か月以内なら何もしなくても自動的に適用される」と考えないことです。

施設によって、退去を申し出る時期や手続き、必要な書類などが定められている場合があります。例えば、退去する際に一定期間前までの申し出が必要とされていれば、期限間際に退去を決めても手続きが間に合わない可能性があります。

そのため、入居契約を結ぶ際には、契約書や重要事項説明書で「短期解約特例」「前払金の返還」「契約の解除」などに関する項目を確認しておきましょう。特に、いつから期間を数えるのか、退去の申し出はいつまでに必要なのか、どのような費用が差し引かれるのかを確認しておくことが重要です。

また、入居後は本人が施設での生活に馴染めているか、サービスや生活環境が合っているかなどを家族も確認しておくとよいでしょう。

老人ホームは、実際に暮らし始めてから分かることもあります。「一度入居したら簡単には変更できない」と考えるのではなく、短期解約特例制度の仕組みを知ったうえで、本人が安心して生活を続けられる施設かどうかを確認していくことも大切です。

 

まとめ

短期解約特例制度は、有料老人ホームへ入居後、一定期間内に契約を解除した場合に前払金の返還を受けられる仕組みです。対象となる場合は初期償却分も返還の対象となりますが、実際に利用した期間の費用などは差し引かれます。入居前に契約書や重要事項説明書で返還条件を確認しておきましょう。