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ケアまどニュース
高齢者の災害対策「福祉避難所」とは?
毎年、自然災害による被害が各地で発生しています。
高齢化や高齢者の孤立化が進む日本で、高齢者の災害対策は大きな課題となっています。
比較的人口が多く都市部である愛知県名古屋市も、その例外ではありません。
そこで注目なのが、 福祉避難所 と地域の人たちで作る助け合いの仕組みです。
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【高齢者の防災】どう避難する?
「福祉避難所」とは
福祉避難所とは
高齢者や障害のある方など、避難生活において支援を必要とする人のための避難所です。
普段の生活に支援を必要とする人たちは、災害時という万一の時に、一般避難所では生活における安全・安心の確保が難しいのです。
そのため、支援に必要な設備や機材などを備えた「福祉避難所」という特別な施設が設置されたのです。
福祉避難所が生まれた背景
福祉避難所の必要性が叫ばれるようになったのは、1995年の阪神淡路大震災がきっかけです。
翌年には、災害救助法において福祉避難所の位置づけがなされましたが、具体的な取り組みはその後もなかなか進みませんでした。
福祉避難所の設置が具体的に進展したのは、2007年に発生した能登半島地震が最初です。
その翌年の2008年に、厚生労働省によって福祉避難所の設置や運営に関するガイドラインが発表され、これを機に、本格的に支援を必要とする人たちのための具体的な支援活動が広がり始めました。
福祉避難所として用いられる施設は、バリアフリーの設備が整った地域の施設や高齢者施設が中心です。
2019年時点で、災害時の避難に支援を必要とする人たちは800万人近くいました。
高齢化が進む現在、その数はさらに増加しています。
福祉避難所の必要性や重要性は以前にも増して高まっているのです。
福祉避難所の課題
一方、従来の体制には課題もありました。
というのも、要支援者が福祉避難所に避難するとしても、下記の通りいったん一般の避難所に避難しなければならないのです。
①一般の避難所に避難
②役所が要支援者の人数を把握
③福祉避難所が設置される
④福祉避難所への要支援者の移動
そのため、支援を必要とする人たちも、まずは一般の人たちの避難所に避難しなければなりません。
しかし、これでは要支援者に対し、迅速に適切な支援を提供することができないのです。
また、支援を必要とする人たちを一般の避難所に移動する際、家族など周囲の人たちの負担も非常に大きいという問題もあったのです。
ガイドラインの改正
現状の課題への指摘の声と、2021年に災害対策基本法が改正されたことによって、福祉避難所の設置や運営に関するガイドラインの改正が行われました。
高齢者や障害者など避難の支援を必要とする人たちの中には、「直接福祉避難所に避難したい」という人が多く、そういう人たちの要求に応える形の改正です。
また、以前は福祉避難所が指定されて一般に公表されると、想定以外の人たちまで避難してくるという懸念もありました。
こういう事情もあって、「なかなか福祉避難所が確保できない」ということが指摘されていたのですが、それをガイドラインの改定によって明確化にしたのです。
その結果、それぞれの福祉避難所が事前に受け入れる人数の調整などを行って、スムーズに支援できるように対応を強化しました。
また、福祉避難所と一般避難所を分けて名前を公表し、支援を必要としない一般の人たちが避難する場所ではないということを周知するようにしました。
地域で助け合う仕組みづくり
要支援者への支援体制
要支援者の避難においては、避難所に行くまでに支援を必要とする人をどう助けるかも課題にあげられています。
この点については、愛知県名古屋市では「助け合いの仕組みづくり」として、高齢者や障害者などの支援を必要とする人たちの支援を強化することを掲げています。
災害時に救助活動や避難をスムーズに行うためには、事前に準備が必要です。
その準備とは、高齢者や障害者など避難に支援を要する人たちがどこにどのぐらい住んでいるかといったことを把握しておくことも含まれます。
また、その人たちの安否を災害時にどうやって確認するかといったことも重要です。
名古屋市の助け合いの仕組みづくりにおいては、こうしたことを地域の人たちが話し合って、事前に決めておく必要があるという内容です。
災害時には、行政からの支援では間に合わないことも多々あります。
そのため、災害直後に迅速な支援を可能とするには、地域の人たちが助け合うことが前提として必要だということになりました。
災害時支援は現状「善意」頼み
実は、先述した「助け合いの仕組みづくり」とは、地域の人たち、具体的には学区や町内会といった自治組織が中心となって、その人たちの善意で行われる取り組みです。
つまり、あくまで地域の人たちの善意によって進められる支援ですので、この仕組みがあれば災害時に必ず支援が得られるという保証ではないことに注意しなければなりません。
これに対して、「役所が率先して支援活動を行うべきではないか」という指摘もあります。
が、災害時という急を要する緊急事態には、「地域の人たちが中心となって助け合いを行うことこそが大切である」というのが行政の方針です。
なぜなら、大きな災害が起こると、当然、行政も救助活動を行いますが、支援を必要とする人たちに支援が行き届くまでには時間がどうしてもかかってしまうからです。
最小限に被害を止めるためには、役所の助けを待つのではなく、地域の人たちで助け合って自主的に避難しなければなりません。
福祉避難所のあり方が明確化されたからといって、「これで何が起こっても大丈夫」と行政に完全に任せてよいわけではないということです。
あくまで地域の人たちの善意に基づいて行われる取り組みだということを理解しておきましょう。
といっても、自治体が主だって行う取り組みもあります。
それは、避難が必要な人の名簿作り、福祉避難所の設置や運営についての説明会、災害時の訓練などです。
地域の人たちで助け合いの仕組みづくりを行うためにも、災害が起こる前に役所や消防署に相談しておきましょう。
避難を必要とする人たちの名簿作りというと、個人情報の管理が気になります。
個人情報の保護について役所と事前に協定を結び、支援を必要とする人たちの同意を得るようにしましょう。
名簿に掲載してほしいと希望する方は、自ら区役所に行って申し出るのでもよいです。
こうして名簿ができたら、それをもとに災害時にどのような支援を誰が行うかを、地域の人たちで決めておかなければなりません。
それを計画書にまとめ、いざという時に適切に行動できるように準備しておきましょう。
本格的な支援活動など素人にはできないと思うかもしれませんが、支援のあり方はさまざまです。
安否確認だけでも十分な支援になるので、できる人たちができることを行えるよう、地域の人たちで意識を共有しておきましょう。
【おわりに…】
最近では一人暮らしの高齢者も増えており、高齢者の孤立が問題となっています。
そんな人たちが災害などで避難に支援を必要とする事態に陥った時、その助けを必要としているという意思を伝えられないのが問題です。
この問題を克服するためには、普段から地域の人たちとのつながりを強化し、いざという時にスムーズに対処できるように、訓練などもしておく必要があるでしょう。
愛知県名古屋市にも福祉避難所がありますが、いざという時に、どこに行けばよいかわからないようでは意味がありません。
日ごろから災害時の支援体制がどうなっているか、どこに避難すればよいかといったことを確認しておくべきでしょう。
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