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ケアまどニュース
「施設入所」と「人工透析」
慢性的な病気を抱えている人は、日常的に医療管理下におけるケアを必要とします。
その中でも、本人や家族にとって負担がかかりやすい疾病の1つが人工透析です。
日本は人工透析を受けられる医療機関が全国各地にまんべんなくあるため、世界的に見ればケアの体制は整っていると言えます。
それでも患者さんやご家族にとっては大変なものとなるのは事実です。
さらに、高齢者の場合には、年齢ならではの問題も出てきます。
人工透析の現状と共に、高齢者が抱える課題について知ることは重要なのです。
▼Youtubeでも短い動画で解説しています
人工透析(じんこうとうせき)とは?
人工透析
機能が低下した腎臓の機能を医療機器によって補助、もしくは代わりに行うための療法
【腎臓の役割】
腎臓は循環している血液のフィルターの役割を果たしており、老廃物や不要な水分などを取り除いて体外に排出します。
腎臓が低下すると、老廃物が体内に溜まってしまうことになり、様々な病気を引き起こします。
体のむくみなどの症状から、尿毒症といった重篤な病気につながることがあります。
尿毒症は頭痛や嘔吐などの症状に始まり、次第に呼吸困難や心不全などの致命的な症状に進むことがあります。
腎機能低下は、最終的に死に至る危険性がある非常に警戒すべき状態なのです。
人工透析の2つの手法
機械を使って腎臓の代わりに血液にフィルターをかけるのが人工透析ですが、主に二つの手法があります。
① 血液透析
日本で主流となっている手法です。
1)手術によってシャント(血管に機器をつなぐための出入り口)を作る。
2)シャントと透析装置を繋ぎ、ポンプを使って血液を機器に送り込み、浄化装置によって老廃物を取り除く。
3)きれいになった血液を再び体内に送り返す。
② 腹膜透析
この方法は複雑な機器が不要で、やり方を覚えれば自宅で行うことも可能です。
1)腹膜にカテーテルを挿し、そこから透析液を入れる。
2)老廃物などが浸透してきた透析液を排出する。
腹膜透析は、自宅でもできるのがメリットですが、腹膜炎などの合併症が起こるリスクが存在します。
また、この手法だと腹膜が次第に硬くなってくるため、およそ5年という期限付きで行う治療になります。
人工透析を検討するタイミング
人工透析は、命を支えるために必要な治療です。
様々な事情で腎機能が正常な状態の10%程度まで落ち込んだら、人工透析を始めるのが一般的です。
腎臓は基本的に機能が回復していくことはないので、この程度まで低下し人工透析を始めたら、一生続けるか、腎臓移植をするしか方法はありません。
そのため、人工透析の検討をする際には、それからの長い人生で治療を続けるということを考えて決定を下すことが重要なのです。
人工透析の頻度
程度によって違いはあるもの、1週間に1回~3回程度の人工透析が必要となることが多いです。
また1回当たりの治療時間も4~5時間はかかりますので、日常生活の中でも大きな割合を占めます。
日本では、人工透析を行える医療機関の数は比較的多く、愛知県名古屋市のような都市部だけでなく郊外にも多くのクリニックができているとはいえ、通院のための時間と負担も考える必要があります。
多くの透析クリニックは送迎を行っているものの、送り出しが必要な場合などは特に、総合的な観点から治療の選択を行っていく必要があるのです。
実は「人工透析大国」の日本
人工透析が必要となるほど腎機能が低下してくると、生命の危険性もあります。
そのため、人工透析を行うというのは欠かせない選択肢です。
日本の人工透析人口
日本は、人工透析の機器や対処できる医療機関の数が多いということもあって、実施数が多い傾向にあります。
2017年の統計では全国で33万人超の透析人口があることが分かっています。
この割合は世界的に見ても高く、人工透析大国と言えるでしょう。
多くは「糖尿病」が原因
日本で人工透析を行う人のおおよそ4割は、糖尿病が原因で腎機能が低下したとされています。
また、その後3割程度の患者さんが慢性糸球体腎炎となっています。
日本は生活習慣病の罹患率が上がっているという現状もあり、人工透析患者さんの数が増えているのも、こうした背景があると考えられています。
とはいえ、こうした日本の現状は日本に限ったことではありません。
というのも、同じように糖尿病を患ったり人工透析が必要なほど腎機能が低下していたりする人の割合は、世界中の多くの国で見られるからです。
しかし、国によっては血液透析をするための機器や施設が十分ない場合もあり、必要性があっても実際には人工透析を受けられない人が多くいるのです。
その点で、日本では施設設備の点でも、医療費の面でも、必要な人がきちんと治療を受けられる環境が整っているからこそ、人工透析大国でもあると言えるかもしれません。
人工透析患者の老人ホーム入所
人工透析人口患者の施設選び
人工透析に関する環境が整っていることが重要という点では、介護が必要となる患者さんについても同様です。
人工透析は一生にわたる治療となりますし、高齢になってから始めて腎障害を患う方もいます。
そのため、介護と人工透析の両方を並行するニーズがとても高くなっています。
とはいえ、老人ホームなどの介護施設では、人工透析の機器も対応できるスタッフもいないのが一般的です。
そこで、人工透析を行う病院と連携している、もしくは透析機関が併設されている介護施設に入所するのがベターな選択肢となります。
ノウハウのある施設を選ぶ
老人ホーム自体の機能においても、ある程度人工透析患者に対応してきた実績とノウハウを持っているとより安心です。
やはり、体調のチェックや日々のケア、毎日の食事などの面で他の入居者とは異なる視点が必要となることもあるからです。
また、何らかの突発的な状況が生じた時に、速やかに関係する医療機関と連絡を取って搬送できる体制を整えていないといけません。
施設のサポート体制
もちろん、人工透析が必要と言っても、要介護度も含めてそれぞれ程度は異なります。
透析をしている間の付き添いはなくても問題がないとか、透析実施場所への送迎は医療機関や介護タクシーで行えるというのであれば、介護施設やご家族の負担は低くなります。
また、人工透析患者に多いカリウムやたんぱく質の摂取制限があるかないか、というのも食生活の管理という面で大きな違いを生みます。
個々の状況を考えながら、適切なケアを受けられる施設を選ぶことが求められます。
さらに、腎機能は年数経過と共に低下していくこともありますし、要介護度も高くなるものです。
そのため、将来のことも見据えて、状況が悪化したとしても引き続きケアを行ってくれるか、契約の内容はどうなっているかを見て施設選びをすることも肝心です。
【おわりに…】
腎機能が低下して人工透析の必要性が出た場合、週に3回ほどの透析療法を一生涯続けることになり、生活の負担は大きくなります。
介護が必要な方だとその負担はなおさらです。
そのため、人工透析についての正しい知識を持つと共に、治療と介護をうまく両立できる介護施設や医療機関を探すことが求められます。
ある程度先のことも見越して、総合的に判断して良い決定を下せるように慎重に検討を重ねましょう。
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