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ケアまどニュース
高齢者の「生活水準」
日本では男女ともに年々平均寿命が延びています。
一方で、生まれる子どもの数は増えておらず、少子高齢化の一途をたどっている状況です。
そんな中、最近では生活保護を申請する高齢者の数が増えているようです。
今回は、就労の第一線から退いてからの老後の生活における「生活水準」について見ていきましょう。
高齢者が安心して生活を送ることができるように、まずはその実態を知ることと共に、どんな対策を採ることができるかを知ることが大事です。
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高齢者の貧困状況
高齢世帯の貧困率
2016年に行った調査では、65歳を超える方がいる世帯の貧困率は27%という結果が出てきます。
実に、4世帯につき1世帯が貧困状態に陥っているというわけです。
この貧困状態とは、所得が日本国民の平均の半分以上少ない状態を指します。
それだけ貧困に苦しんでいる高齢者とその家族が多いということになります。
高齢世帯の月々の収入
具体的に見ると、高齢者世帯の月収がかなり低い状態にあることが分かります。
・10~20万円の世帯:4割強
・10万円未満の世帯:4割弱
月収が10万円未満ということは、日常生活で必要な支出のギリギリ、または不足している可能性があります。
当然、貯蓄が無い家庭であれば、生活はより厳しいものになります。
その上、高齢者世帯は介護サービスや老人ホームなどの介護施設の費用が必要なケースもあり、十分なケア環境を整えることが困難な場合もあるのです。
背景には高齢者のみの世帯増加
こうした原因となっているのは、愛知県名古屋市でも見られる傾向ですが、世帯あたりの人数が少ないという現状があります。
昔は祖父母に子どもの夫婦、そして孫たちと、2世代や3世代で同居する世帯が多く、それだけ一人当たりにかかるコストを抑制したり、お互いの収入を集めることで、世帯全体でまとまった額の収入を得ていました。
しかし、今では高齢者夫婦のみの世帯が増加しています。
それだけでなく、高齢者が一人で生活している単身世帯の割合も上昇しているのです。
それだけ一人当たりの費用が多くなりますし、世帯としての収入も少なくなってしまいます。
こうした世帯において、貯蓄が無い場合や、子どもなどの現役世代からの金銭的な援助が得られない場合、どうしても困窮してしまうのです。
さらに、単身世帯の場合はもらえる年金の額も少なくなってしまいます。
単身世帯においては一年間で140万円弱ですが、夫婦世帯では240万円強となっています。
それだけの差がありますので、単身世帯は年金だけの生活では苦しさが増すことになります。
高齢者が得ている収入のうち、8割程度が年金となっていますので、全体として年金に頼っている現状が見えてきます。
しかし、その年金の受給額も多くの世帯、特に単身世帯では十分でないことが分かります。
男女でみえる違い
このように、全体的に高齢者の世帯では経済的な厳しさがのしかかっていることが分かります。
さらに詳しく内訳を見ていくと、単身世帯だけでなく、より苦しい状況に置かれている人たちがいるのです。
それは女性です。
男女別の貧困率
高齢者の貧困率を、さらに男女で分けてみてみましょう。
男性:6人に1人
女性:5人の1人
このように、全体的な傾向として、高齢女性は収入が少ないのです。
たとえば、離別女性(夫が死亡して単身になった女性)については、3人に1人が年収120万円、月にして10万円未満で生活しているという結果が出ています。
未婚者もそれに近い状況にあり、単身世帯の中でも、現在高齢者となっている世代の女性の場合は、貧困状態に陥りやすいことが分かります。
高齢女性の貧困割合が高い理由
こうした状況が生じている背景にはいくつかの理由があります。
原因①:基礎年金だけの人が多い
現在高齢となっている世代の女性は、パートやアルバイトのみの方や、専業主婦や農家など自営業だった人も多く、厚生年金を受給していない人が多くいます。
基礎年金だけの受給だと、最高でも月に6.5万円程度しか受け取れませんので、かなり厳しい状況です。
原因②:厚生年金の額が少ない
また、厚生年金をもらってた場合でも、その受給額が概して低いというのも課題です。
女性だと、現役として会社勤めをしていた期間が短く、結婚や出産のために職場を離れるケースが多いからです。
また、どうしても男性よりも給与額が低いことが多いので、それに伴って厚生年金も下がってしまうのです。
実際に、厚生年金や共済年金をもらっているとしても、45%もの単身女性が年収ベースで150万円以下となっているのです。
基礎年金に上積みする厚生年金をもらえれば安心ということではなく、女性の場合はそれでも十分な額に達しないというが現状なのです。
課題となる対策と変化
厚生年金の拡大
こうして見てみると、高齢者の貧困要因となっているのは、年金額の不足です。
高齢者の貧困を防ぐためには、基礎年金だけでなく、厚生年金の対象者を拡大することが重要と言えます。
たとえば、パートタイムやアルバイトといったワークスタイルであっても、厚生年金に加入できるようにしていくことが大事です。
こうした問題があったため、2016年には厚生年金の対象拡大がなされていますが、それでも限定的な範囲であり、適用されない非正規雇用者も多くいます。
女性が働きやすい環境づくり
また、女性の現役期間が短いというのも、年金支給額の低さにつながっています。
そのため、家庭の事情が変化しても働き続けやすい社会を作っていくことが求められます。
短時間もしくは数日のみの就労やテレワークの推進などが、そのために効果を発揮します。
さらに、男女間の賃金差をなくすというのも、働き続けるモチベーションを与えることになりますし、そもそもの厚生年金の額を引き上げるのに役立ちます。
生涯現役社会の実現
女性だけでなく、すべての高齢者が長く働き続けられる環境を作るというのもポイントとなります。
より長く働き続けられれば、年金の繰り下げ受給ができるようになります。
そうすれば、毎月の年金受給額がベースアップしていきますので、ある程度収入を上げられます。
生活保護制度の見直し
現状で貧困に陥っている高齢者も多いため、高齢者向けの生活保護制度の拡充も急務となっています。
一般的な生活保護制度に加えて、高齢者に特化したシステムを作り、条件を緩和したり、支給額の引き上げを検討したりするなどの工夫をすることができます。
【おわりに】
日本では年金への加入が義務付けられていますが、老後を年金だけで生活できる世帯ばかりでは無いのが現実です。
実際に、年金を満額もらっている人でも、生活を支えるのに十分ではなく、貧困状態に陥っているからです。
まずはこうした高齢者の貧困問題を知ると共に、自分たちや親の経済状況を客観的に把握することが大事です。
その上で、将来に備えてできるだけ早く、老後の資金計画を立てて安心して生活ができるようにしていきましょう。
老後になってから困ることがないよう、前もって計画と準備を始めることがカギとなるのです。
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