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ケアまどニュース
「認知症」には種類がある
近年、「認知症」という言葉や病気が一般的に知られるようになってきました。
病気が広く知られることで、その病気を持つ人への理解が深まることで、患者さんやその家族がより生活しやすい環境になります。
今回はその認知症をさらに掘り下げて、より意識を高めるための助けとなるようにします。
【Youtube】でも関連情報を解説しています
『認知症ってどんな病気?』
『認知症には種類がある?』
1.主な認知症の種類は4つある
認知症には種類がある
「認知症」の症状として、多くの人が認識しているものがあります。
・物忘れ
・徘徊
・被害妄想
こうした症状を見せるものを「認知症」と呼び、全て同じ病気のように認識されがちですが、実際にはいくつもの種類が存在しているのです。
一口に認知症と言っても、その原因や、強く現れる症状には違いがあります。
そのため、それぞれの違いを押さえておくことで、認知症の方への適した接し方や、認知症予防に効果的な方法も理解しやすくなります。
アルツハイマー型認知症
まず、認知症の中で最も一般的なのが「アルツハイマー型」と呼ばれるもので、全体の7割近くを占めるとされています。
「アルツハイマー型認知症」は、脳内において特殊なたんぱく質が増加し、脳の中で情報を伝達する役割を果たしている、神経細胞を破壊することによって生じるものです。
ここが破壊されてしまうと、
・脳に記憶されている情報が引き出せない
・脳からの命令を上手に出せない
といった症状が出てしまうのです。
【アルツハイマー型認知症の主な症状】
■ 記憶障害
・一般的に「もの忘れ」と言われるもので、新しい記憶ほど覚えていない傾向がある
■ 判断能力の低下
・これまでできていた「物やお金の管理」や「危機管理」などが、自分では正しく判断できなくなる
■ 見当識障害
・日付や曜日、昼夜の判断がつかなかったり、季節感を感じられなくなる
・今どこにいるのかの意識がなくなり、迷子になりやすくなる
・人の判別も難しくなり、家族も認識できない場合もある
脳血管性認知症
アルツハイマー型認知症に次に多いのが、「脳血管性認知症」です。
これは脳の血管の詰まりや出血によって、脳の機能に障害が残ることにより起こるため、「脳梗塞」や「クモ膜下出血」などに続いて起こることが多いものです。
【脳血管性認知症の主な症状】
■まだら認知症
・計算はできないが自分の仕事の専門知識だけは完全に覚えているなど、まだらに認知障害がでる
■感情失禁
自分の感情を上手くコントロールできず、激しく怒り出したり泣いたりする
レビー小体型認知症
3番目に多く見られるのが「レビー小体型認知症」です。
これは、レビー小体という特殊なたんぱく質が、脳の思考や行動命令を担う部分に多く蓄積されてしまうことによって起こります。
アルツハイマー型認知症が女性に多いのに対して、この「レビー小体型認知症」は男性に多く発症するという特徴もあります。
【レビー小体型認知症の主な症状】
■幻視症状
・虫や人など実際にはないものが見えることが多い
・本人にはかなりはっきりと見えるため、幻視で見えているものに話しかけることもある
■被害妄想
・誰かに「物を盗られた」や、「命を狙われている」など強い被害妄想が出やすい
■抑うつ症状
元気がなかったり、気持ちが沈んでしまうなど、うつ病のような症状が出る
前頭側頭型認知
「前頭側頭型認知症」は4番目に多い種類です。
これはFTDと呼ばれることもあり、たんぱく質が変化、蓄積することによって、脳の前頭や側頭が委縮してしまうことによって始まります。
「指定難病」に認定されており、初期の段階ではあまりもの忘れが強くないというのが特徴的で、その症状から精神疾患と間違われやすいです。
【前頭側頭型認知症の症状】
■社会性の低下
常識的、理性的な言動ができなくなる
■抑うつ症状
うつ病のように、無気力や気持ちが沈むといった症状がみられます
■言語障害
2.その他の認知症やその原因
これらの4つが認知症のほとんどを占めますが、細かく見ると他にもいくつかの種類があります。
たとえば、アルコール性認知症です。
アルコール性認知症
長期にわたる多量の飲酒が原因で、脳血管に障害が生じてしまうことによって起こります。
判断力が低下したり感情のコントロールが利かなくなるなどの症状が出ます。
身体的にも糖尿や肝臓障害などを患うことも多いので、心身共に大きなダメージを受けることになります。
正常圧水頭症
また、認知症と似た症状をもつ疾患として、「正常圧水頭症」と呼ばれる病気があります。
これは、脳脊髄液と呼ばれる液体が溜まってしまい、脳圧が上がってしまうことから起こります。
脳が液体によって常に圧迫されてしまっていると思えば分かりやすいでしょう。
【正常圧水頭症の症状】
この疾患では、特に歩行障害が特徴的です。
もし今までと歩き方が変わったと感じる場合には、これを疑って受診してみると良いでしょう。
■歩行困難
・すり足、ガニ股でないと歩きづらくなり、フラつきが強くなる
・転びやすくなるのでケガのリスクも高まる
■日常生活で起きる困難
・集中力が極端に落ちる
・失禁してしまう
3.認知症の方への正しい接し方
こうして見てきたように、「認知症」というのは脳に何らかの障害が起こって生じる疾患です。
そのため、性格が悪くなったとか精神的におかしくなった、という誤った見方を取り除くことが第一です。
確かに、「認知症」の患者を持つ家族は、暴言を吐かれたり乱暴な行動を取られたりすることもあり、精神的な辛さを感じることもあるでしょう。
しかし、認知症を患っている人は、悪意ある行動ではないので、それを理解することが大事です。
また、「レビー小体型認知症」の症状にあるように、幻視が見えていることもあります。
周りにいる人は、何もないのに患者さんが何かに向かって話しかけているのを見ると、びっくりしてしまいます。
しかし、本人には本当にそれが見えていることを理解しましょう。
症状への理解があれば、認知症の人の言動に対して拒絶や訂正をして、本人の気持ちを不安にさせてしまうことも減るでしょう。
幻視が見えている人に「そんなのいないんだよ。」と言うのではなく、それを「受け止める」ようにしましょう。
こうして、本人との信頼関係を作ることが大事です。
「この人は分かってくれている、落ち着ける。」と思ってもらえるようにすると、精神的な安定を取り戻す手助けとなります。
また、その人のペースに合わせるようにして、言動を責めないようにすることで、感情の落ち着きを得られるのです。
【おわりに…】
一口に「認知症」と言っても、いくつもの原因と症状がありますが、共通しているのは、脳の機能そのものが落ちてしまっているからということです。
そのため、本人の言っていることを否定することなく合わせてあげることが重要です。
老人ホームなどの介護施設や、行政機関では認知症の人への接し方などを教える機会を設けていることもあります。
愛知県名古屋市でも、家族ごとにどのように認知症に向き合ったら良いかを、介護のプロが教えてくれる施設が多いので、積極的に相談してみると良いでしょう。
正しい認知症についての知識を持ち、正しい接し方を学ぶことで、本人の尊厳を傷つけない対応ができますし、家族のストレスを軽減させることができるのです。
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