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2026/01/05
コラム

【認知症基本法】家族と社会はどう変わる?

【認知症基本法】家族と社会はどう変わる?

2024年に「認知症基本法」が施行され、認知症のある人を取り巻く社会の考え方が変化しようとしています。介護や医療だけの問題ではなく、本人の尊厳と暮らしを社会全体で支えるという新たな視点が示されました。この法律は、家族や地域にどのような変化をもたらすのでしょうか。

認知症基本法の意味と位置づけ ― 何が新しいのか

認知症基本法は、認知症施策に関する国の基本的な考え方と方向性を示す理念法」です。介護保険法のように、直接サービスを規定する法律ではないものの、今後の国・自治体の施策の土台となる、いわば“指針”の役割を担うものとなっています。

この法律で明確にされたのは、

  • 認知症のある人を「支援される側」だけで捉えない

  • 本人の尊厳・意思・希望を中心に据える

  • 医療・介護に限らず、住まい、就労、地域参加まで含めた支援を進める

という考え方です。
つまり認知症基本法は、「介護の法律」ではなく、社会全体の在り方を定めた基本ルールとして位置づけられています。今後、自治体の計画づくり支援体制は、この「認知症基本法」の理念に沿って進められていくことになります。

家族の関わり方はどう変わるのか

認知症基本法では、家族がすべてを背負う存在であるという前提からの転換が示されています。家族は本人の代わりに決める存在ではなく、本人の意思を支えるパートナーとしての役割が期待されます。

たとえば、

  • 生活の選択を「安全だから」と一方的に制限しない

  • 本人の希望をくみ取り、できる形を一緒に考える

  • 困ったときは、家族だけで抱え込まず専門職につなぐ

といった姿勢が重要になります。
家族が孤立しないよう、地域包括支援センターや医療・介護の専門職と連携することが、本人の生活の質と家族の負担軽減の両立につながります。

社会はどう変わった?

国の姿勢が明確になった

認知症基本法の制定により、法律上で国としての考え方がはっきりと示されたことになります。

  • 認知症は「介護だけの問題」ではなく、社会全体で向き合う課題である

  • 認知症のある人を、本人の尊厳や意思を中心に支えるという視点を重視する

これらの考え方が、理念として法律に明文化されたことが大きなポイントです。

その結果、

  • 国の認知症施策は「本人視点」を前提に進められる

  • 自治体は、基本法の理念に沿った施策や計画づくりを行う

という位置づけが明確になりました。

自治体の計画・取り組みが「基本法ベース」に

基本法の施行を受け、多くの自治体で認知症施策の見直し新たな取り組みが進み始めています。

  • 認知症施策推進計画の見直し

  • 認知症のある本人が参加する会議意見聴取の実施

  • 認知症サポーター養成の内容を見直し、実践的な理解を重視する動き

特に注目されているのが、「本人の声を施策に反映させる」という考え方です。これは、基本法制定後により強く打ち出されるようになった変化のひとつといえます。

まとめ

認知症基本法は、具体的な支援内容を定める法律ではなく、社会の方向性を示す理念法です。そのため、生活や制度がすぐに大きく変わるわけではなく、変化はこれから段階的に進んでいくと考えられています。今後は、認知症のある人の就労や地域活動への参加機会の拡充、交通機関や商業施設での合理的配慮、地域での見守りと共生の仕組みづくりが求められます。こうした取り組みを通じて、偏見や差別のない社会環境が整えられていくことが期待されています。