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2025/12/13
コラム

【高齢者の睡眠】病気の予防にも繋がる“良い眠り”のコツ

【高齢者の睡眠】病気の予防にも繋がる“良い眠り”のコツ

年齢とともに睡眠が浅くなる夜間に目が覚めやすくなるなど、睡眠の質に悩まされる高齢者の方は少なくありません。しかし、「眠れない」を放置しておくと、認知機能の低下認知症リスクの増加など、思わぬ健康リスクにつながる可能性があります。質のよい眠りのコツを知り、毎日の睡眠を見直しましょう。

なぜ高齢者の睡眠は乱れやすいか

加齢に伴う睡眠構造と体内リズムの変化と

加齢によって睡眠の構造が変化し、深い睡眠が減り、浅く断続的な眠りになりがちです。これにより「寝つきが悪い」「夜中に目覚める」「朝起きても疲れが取れない」と感じる人が増えます。

年齢とともに体内時計が乱れやすくなることも、睡眠の質の低下に繋がります。日中の活動量の減少や、日光を浴びる機会が少なくなると、夜に眠りづらくなったり、昼夜逆転のような生活リズムに陥ったりすることがあります。さらに、薬の副作用慢性痛頻尿など身体的な不快で夜中に目が覚めやすくなることも、高齢者ではよく見られます。

こうした要因が重なると、睡眠の「量」だけでなく「質」の低下も起こりやすくなります。

睡眠不足・質の低下がもたらす健康リスク

脳の“お掃除”機能の低下と認知症リスク

睡眠中、特に深い睡眠時には、脳は脳脊髄液の流れを使って老廃物—たとえば記憶に関わるたんぱく質(例:アミロイドβ)を洗い流しています。十分な睡眠が取れないとこの洗浄作用が不十分になると、老廃物の洗い流しが十分に行われないことになるので、将来的な認知症のリスクが高まる可能性があります。

また、睡眠の質が不安定であるほど、認知機能や判断力の低下記憶力の低下などが起こると報告されています。ある研究では、毎夜の睡眠の効率や安定性のばらつきが大きい高齢者では、認知機能テストの成績が低くなる傾向があったとされます。

身体的健康リスクの増加

睡眠不足不規則な睡眠は、心血管疾患高血圧肥満免疫機能の低下などさまざまな体の不調と関連があります。加えて、集中力や注意力の低下ふらつきや転倒リスクが上昇するため、結果的に転倒後による骨折によって寝たきりのリスクにも繋がる可能性があります。

したがって、良質な睡眠を維持することは、認知症予防だけでなく、身体全体の健康維持にもつながります。

“良い眠り”をサポートする具体的な方法

高齢者でも取り入れやすい「睡眠の質を上げる習慣」をいくつか挙げます。

  • 毎日ほぼ同じ時間に寝起きする

体内リズムを整えるために、できるだけ就寝・起床時間を一定にすることが大切です。就寝・起床時間がバラつくと、睡眠の質も乱れやすくなります。最近の研究でも、不規則な睡眠パターン心臓病や脳卒中のリスクを高めるとの報告があります。

  • 日中に適度な運動と屋外での活動を

軽い散歩や日光浴、庭仕事など、日中に体を動かすことや太陽の光を浴びることで、夜の睡眠リズムが整いやすくなるとされています。

  • 寝室環境・寝る前の習慣を整える

寝室を静かで暗く、快適な温度に保つ/夕方以降はカフェインやアルコールを控えめに/スマホやテレビを寝る直前まで見ない/就寝前にリラックスできる習慣(読書・軽いストレッチなど)を取り入れる、などの睡眠までの導入過程睡眠環境を整えるのも効果的です。

  • 日中の昼寝や長時間の横になり過ぎに注意

昼寝や夕寝が長いと、夜使える睡眠時間が減り、夜間に眠れなくなることがあります。日中は眠る時間と起きる時間のバランスを意識しましょう。

  • 体の不調や薬の影響に注意する

関節痛、頻尿、夜間せん妄、睡眠時無呼吸症候群などの高齢者の睡眠を妨げる原因になりうる疾患や症状は、医師や薬剤師との相談が重要です。

これらの対策は、継続することで睡眠の質が改善されていきますので、習慣として無理なく取り入れられるものから始めていきましょう。

まとめ

高齢者にとって「眠り」は、体や脳を整える大切な時間。睡眠の質が悪いままでは、認知症をはじめ心身の不調や事故につながるおそれがあります。毎日の生活習慣を見直し、適切な睡眠環境とリズムを整えることが、健康で穏やかな老後につながる基本です。