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高齢者のメンタルヘルス ― 孤立や冬季うつを防ぐためにできること
寒く日照時間の短い冬は、高齢者にとって「孤立」と「気分の落ち込み」が起こりやすい季節です。気づかぬうちに心が閉ざされないよう、日常生活でできる工夫を考えてみましょう。
冬に高まりやすい孤立感と“冬季うつ”のリスク
冬になると、気温の低下や悪天候、日没の早さなどにより外出の機会が減少し、人との関わりが少なくなる高齢者が増えます。その結果、活動量が減るだけでなく、社会的孤立感や孤独感を抱きやすくなるため、心身ともに不調に陥るリスクが高まります。特に、日照時間の減少が神経伝達物質の変化や体内リズムの乱れを招き、いわゆる「季節性情動障害(SAD/冬季うつ)」につながる場合があります。
「最近、やる気が出ない」「日中ずっと眠い」「人との会話が億劫になった」など、気になる変化があれば、早めに注意・対策することが望まれます。
セルフチェックリスト — 冬のこころの状態を振り返す
冬の気分の変化に気づきやすくするために、自分自身でチェックできるポイントをまとめました。以下の項目に当てはまるものが多い場合には、“冬季うつ” や孤立感のサインかもしれません。
□ 睡眠時間が増え、「寝ても寝足りない」「寝ても疲れが取れない」と感じる
□ 日中に強い眠気があったり、ぼんやりしたりする時間が多い
□ 食欲が増え、特に炭水化物や甘いものを過食する傾向がある
□ 以前は楽しめていた趣味や活動に関心が湧かなくなった
□ 気分が落ち込みやすく、不安やイライラ、無気力感を感じることが増えた
□ 外出や人との交流が面倒に感じられ、家に閉じこもりがちになっている
□ 日中でも部屋が暗く、窓を閉め切ったり照明を控えめにして過ごすことが多い
□ 冬が来るたびに、同じような気分の落ち込みを繰り返している
このような変化に気づいたら、「寒い・寒さのせいだから」と見過ごさず、心身のサインを大切にしてみましょう。
冬を乗り切るための「対策」 — 心とつながりを守る暮らしの工夫
冬の孤立感や抑うつ傾向を和らげるために、実践しやすい対策をいくつかご紹介します。
日光をとり入れ、生活リズムを整える
冬季うつの大きな原因の一つは、日照時間の減少です。できるだけ自然光を浴びる時間をつくることが、セロトニンの分泌や体内時計の維持につながります。屋外の散歩や、天気のよい日に窓際で過ごすなど、日光を意識的に取り入れましょう。また、朝起きる時間を一定にし、食事や睡眠のリズムを整えることも大切です。夜更かしや昼夜逆転といった生活パターンは、心のバランスを崩しやすくします。
無理のない運動や外出を習慣に
適度な運動、体を動かす習慣は、血流改善や気分のリフレッシュにつながり、うつ傾向の防止に有効です。軽いストレッチ、室内での体操、日中の散歩など、無理のない範囲で続けることがポイント。ただし、冬の外出は転倒など安全面の配慮も必要です。歩行補助具の検討や、無理のない範囲に設定して軽い運動から始めましょう。
人とのつながりを大切に — 孤立を防ぐ工夫
家族、友人、地域の人との「ゆるやかな交流」を意識してみましょう。訪問でなくても、電話でのちょっとした会話、近所の買い物など、短時間でも人や家の外の世界とのつながりを保つことが、心の支えになります。地域のサークル、趣味の集まりはもちろん、体の状態に不安がある方は利用者として福祉サービスや介護サービスを利用しても良いですし、自らが見守り活動や地域のボランティア活動などに参加するのも良いでしょう。「社会とのつながり」「役割感」「居場所感」を感じられる機会を持ち続けることが大切です。
必要なら専門機関や支援を活用する
セルフチェックで気になる変化が見られたり、対策を試しても改善が見られない場合は、自己判断せず相談をしましょう。地域包括支援センター、精神保健福祉センター、かかりつけ医、精神科・心療内科など、専門機関や身近な相談窓口を活用することが重要です。特に高齢者は、うつだと思っていた症状が認知症など別の問題と重なるケースもあるため、専門家による診断が大切です
まとめ
冬の寒さや日照の減少で、知らぬ間に孤立感や気分の落ち込みが強まりやすい高齢期。セルフチェックシートで自分の状態に気づき、日光や運動、規則正しい暮らし、人とのつながり、そして必要なら専門機関への相談し、“自分らしい暮らし”を守りましょう。
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