愛知県名古屋市の老人ホーム・介護施設紹介センターなら介護の窓口ケアまど「ケアまどニュース」ページ

NEWS

2025/12/07
コラム

【免許返納】認知症と高齢者の運転問題 ― 家族はどう向き合う?

【免許返納】認知症と高齢者の運転問題 ― 家族はどう向き合う?

高齢期に入ると、運転免許更新時の認知機能検査や、日常生活における運転の判断力低下が問題になることがあります。特に認知症の兆候があると、運転を継続するか否かの判断は家族にとって大きな悩みです。事故ニュースも増える中、どう向き合うべきか整理します。

YouTube 動画でみる

なぜ認知症と運転が問題になるのか

高齢者の運転事故が各地で報じられています。たとえば、交差点での信号の見落しや、ブレーキとアクセルを踏み間違えたりというケースです。こうした事故の背景には、身体機能の低下だけでなく、記憶・判断・認知スピードといった認知機能の衰えが大きく関係しています。

例えば、ある研究では、ドライバーに 同乗者がいるだけで事故リスクが明らかに低下したという報告もあります。 ただし「運転事故=認知症」というわけではなく、実際には認知症と診断されていないドライバーが多くを占めるのも事実です。つまり、家族としては「認知症の有無」だけでなく、「運転に必要な能力がどれだけ維持されているか」を冷静に見ることが重要です。

運転を続けるかどうか―判断のためのチェックポイント

運転を継続するか、あるいは運転を控える方向に進むかを判断するうえで、家族・本人ともにチェックしておきたいポイントがあります。

最近、運転中にヒヤリとしたり、道順を間違えたりすることが増えたか。

ブレーキを踏むタイミングが遅くなった、あるいは間違った方向にアクセルを踏んでしまったことがあるか。

免許更新時に認知機能検査で「運転に不安あり」と指摘されたか。

これらの兆候がある場合、運転を続けることにはリスクが伴います。家族は本人と落ち着いて話し合い、以下のような対策を検討しておくと良いでしょう。

まず、運転を「いつ」運転をするのかや、「どの範囲」は運転しても良いのかなど、状態に応じたルールを明確にしておきましょう。同乗者を必ず付ける夜間は運転を控えるなどの条件付き運転とすることも事故対策において有効です。実際に、ある調査では、“同乗者あり”の状態の方が事故リスク低減に寄与したとされています。

対策をとることで家族の安心に繋がるだけではなく、ルールを設けることで、将来的な免許返納までの本人の心の準備という面においても、状況に応じた段階的なルールを設けることにはメリットがあるため、本人と家族が一緒に運転におけるリスクと条件を考えることが重要です。

運転をやめることへの備えと家族のサポート

運転をやめるという決断は、本人の自立感や生活の自由感を損なう懸念もあり、家族としては慎重かつ丁寧なサポートが必要です。通院買い物など、移動手段がなくなることで生活に支障が出てしまうことは少なくありません。また、運転を継続すると判断した場合でも、次にいつ再検討をする機会を設けるかを事前に決めておくことは、家族が本人に話し合いをもちかける心理的ハードルを下げることにも繋がるため重要です。

運転の終了後の移動手段の確保

タクシーや公共交通機関を利用して移動できる場合は問題ありませんが、都心を離れると移動手段の資源が十分に無い地域も少なくありません。宅配サービスネットスーパーの利用や、定期的に家族が外出や受診に連れ出せるように段取りをしておくことで、車を手放した後の本人の不安を軽減することができます。

免許返納を再検討する時期の設定

一度免許返納を見送った場合でも、次回どのタイミングで運転について話し合うのかを決めておくことも大切です。例えば、次回の「免許更新時」や「認知機能検査の結果次第」、「主治医や知人から免許返納を進められた時」など、あらかじめ基準を設けておくことで本人・家族双方の心理的負担が軽くなります。

社会的繋がりの確保

運転を手放した後こそ「地域のつながり」や「憩いの場」など、社会的な繋がりを途絶えさせないことが重要です。外出することは、身体機能だけでなくメンタルヘルスの面でも非常に重要な要素となります。社会的な繋がりが途絶えてしまうと、自己肯定感が下がったり、刺激の激減により認知機能が低下してしまうこともあります。「その人らしい暮らし」や「生きがい」を失わないよう、家族も一緒にサポートしていくことが大切です。

まとめ

認知症や認知機能低下が運転問題と深く関わる中、家族は「兆候を見極める」「代替移動手段を準備する」「運転をやめる方向も含めた話し合い」を早めに行うことが重要です。運転を続けるか否かだけでなく、やめた後の生活設計にも視点を向けましょう。