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暮らしを支える安心の制度 ― 高齢者のための生活福祉資金貸付制度とは?
        高齢期において、医療・介護・住まいの準備などで「思った以上のお金」が必要になることがあります。そんなとき、所得の少ない世帯・高齢者・障害者世帯を支える制度として、生活福祉資金貸付制度という公的な貸付制度があります。今回は制度の仕組みを高齢者世帯の視点からわかりやすくご紹介します。
高齢者世帯が対象となる制度の背景と目的
高齢期になると、年金収入が中心になり、介護保険料・医療費の負担増・住居のバリアフリー化といった支出が重くのしかかることが少なくありません。そのため、生活資金の確保や住み慣れた地域での安心した暮らしを維持するための支援が求められています。
「生活福祉資金貸付制度」は、所得が少ない世帯、障害のある世帯、そして「65歳以上の高齢者が属する世帯」を対象に、安定した生活や自立支援を目的として、資金の貸付と相談支援をあわせて実施する制度です。
制度創設の歴史を辿ると、昭和30年に「世帯更生資金貸付制度」として始まり、1990年に「生活福祉資金貸付事業」として改称、現在に至っています。
高齢者世帯においては、例えば「一時的な資金が必要」「住み慣れた家の修繕が必要」「介護用具を購入したい」というような場面で、この制度が活用される可能性があります。
制度の仕組みと主な貸付種類
制度の仕組みを理解するために、まずは主な貸付種類を整理します。
- 総合支援資金:失業・減収などで生活維持が困難な世帯に対し、生活費・住宅入居費・一時生活再建費などを貸付。継続的な相談支援も伴います。
 - 福祉資金:介護サービス利用費、療養費、住宅の改修・福祉用具購入など、日常生活や自立のために一時的に必要とされる費用向け。
 - 教育支援資金:低所得世帯の子どもの高校・大学等への進学に伴う費用などが対象。高齢者世帯とは直接関連しないものの、世帯単位で借りられるケースもあります。
 - 不動産担保型生活資金:所有する住宅・土地を担保に、収入が少ない高齢者世帯に対して生活費を貸付する仕組み。住み慣れた家での生活を続けたい高齢者に配慮した支援です。
貸付利率、連帯保証人の要否、償還開始時期などは資金種類によって異なります。例えば、連帯保証人がいれば 無利子 となるケースがあり、いない場合は年1.5%程度となることもあります。
このように、「資金の貸付+相談・支援」がセットになっている点が、この制度の特色です。地域の民生委員や社協(社会福祉協議会)と連携して、「暮らしを立て直す支援過程」を伴います。 
高齢者が利用する際のポイントと注意点
高齢者世帯がこの制度を利用する際に、「知っておきたいポイント」がいくつかあります。
- 申請窓口と相談体制:申請先はお住まいの市区町村の社協(または都道府県社協)です。相談支援が前提となるため、まずは「暮らしの相談」をしてみることがおすすめです。
 - 世帯全体の状況把握:高齢者が属する世帯であっても、「世帯単位」で申請する制度であるため、世帯の収入・資産・負債状況、住居の状況などが審査されます。特に、他の公的貸付や給付制度の利用可否が検討されます。
 - 目的・使途が明確であること:資金は「生活を送るうえで一時的に必要と見込まれる」費用が対象です。恒常的な資金不足を補うことを目的としていないため、慢性的な資金不足の場合、貸付の対象とならない可能性があります。
 - 返済・免除の仕組み:貸付金は返済の必要がありますが、所得が市町村民税の課税対象とならない水準の方や、特定の要件を満たせば償還免除または猶予が受けられる場合があります。返済開始前に社協から案内があります。
 - 住み慣れた地域・住居の継続:特に「不動産担保型生活資金」を利用する場合、所有住宅に住み続けることが前提とされており、将来も安定した生活を望む高齢者にとって有力な選択肢となりえます。
これらのポイントを踏まえ、ご家族やケアマネジャーと一緒に「本当にこの制度が合うか」を検討することが大切です。また、申請前には必要書類・審査の流れ・返済の見通しを把握しておきましょう。 
まとめ
高齢者世帯にとって、暮らしの安心を支える「生活福祉資金貸付制度」は、ただの貸付ではなく相談支援も含んだ福祉的な制度です。制度の種類・対象・申請の流れを理解し、ご家族や専門家とともに活用の可否を検討して、住み慣れた地域での豊かな暮らしを支えていきましょう。
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