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2025/11/16
コラム

親の“入居拒否”にどう向き合う?――理由を知り、心に寄り添う3つのステップ

親の“入居拒否”にどう向き合う?――理由を知り、心に寄り添う3つのステップ

親が施設入居を拒む場面。長年暮らした住まいや自立感を手放すことへの戸惑いが背景にあります。家族としては「早く安心して暮らしてほしい」と願いながらも、本人の意志と向き合いながら進めることが求められます。

親が「入居を拒否する理由」を知る

施設入居を前に親が「いやだ」「行きたくない」と言う場面は少なくありません。まずはその理由に目を向けることが大切です。例えば、長年暮らした自宅を離れたくないという思い、自分の健康状態や介護の必要性を認めたくないという心理、施設に対するネガティブなイメージなどが挙げられます。
対処の第一歩は、親の気持ち「なぜ拒むのか」を丁寧に聞くこと。「どうしてこの施設はイヤなの?」「自宅のどこにこだわりがあるの?」と、家族が一方的に判断せず、時間をかけて話をすることが勧められています。
また、施設そのものへのイメージも影響します。「見知らぬ人と暮らす」「自由がなくなる」「家族に見捨てられたと思う」など、不安や恐怖の根源になることがあります。
このように、親が拒否する背景には“思い”“価値観”“恐れ”があるため、表面的な「行きたくない」という言葉だけで終わらせず、丁寧な傾聴を通じて理解を深めましょう

家族として「どう向き合うか」のポイント

親の拒否に対して、家族としてどう関わるかがその後の関係性を大きく左右します。ここでは3つのポイントを整理します。

    1. 傾聴と共感から始める
      親の言い分を遮らず、「そう思うんだね」「それは心配だよね」と共感する姿勢を持つことが信頼関係の基盤となります。
    2. 選択肢と情報を共有する
      施設入居という一択ではなく、在宅ケア、デイサービス併用、ショートステイお試し、複数施設の見学など、段階的に選べる選択肢を親と一緒に検討することで一方的に決められているような印象をやわらげられます。
    3. 主体性を尊重する
      「○○に入って下さい」ではなく、「どこがいいと思う?」「まず見学だけ行ってみようか」といった問いかけを通じて、親自身に決める余地を確保することが入居後の納得感につながります。
      さらに、家族内で意思統一を図ることも重要です。兄弟姉妹間で言うことが異なると親が混乱し、さらに拒否感が強まることがあります。
      こうした向き合い方を通じて、親の不安を軽くし、家族が安心して支えられる環境づくりが進みます。

      「入居後」も含めた関係性の維持とフォロー

      施設入居そのものをゴールとせず、入居後の生活と家族関係の維持を見据えることが大切です。以下にポイントを示します。

      • 入居直後は環境の変化により親の不安が高まるため、家族が頻繁に顔を出したり、電話・手紙で関わったりすることで安心感を支えましょう。
      • 親の趣味・生活リズム・大切な品物(家具・写真など)を施設に一緒に持ち込むなど、「自分らしさ」を保てる環境づくりも有効です。
      • 家族・施設スタッフ・ケアマネジャーなど多職種で情報共有を図り、親の状態・希望・困りごとを定期的に振り返る体制を持つことで、暮らしの質を高めることができます。

      また、施設生活を「仕方なく受け入れる」ものではなく、「新しい生活の場」「安心・楽しみを得る場所」と捉え直す言葉かけ・雰囲気づくりが、親の適応に大きな影響を与えます。
      このように、入居前から入居後まで一貫した「関係性の設計」が、親自身の安心と家族の支援力を高めていきます。

      まとめ

      親が施設入居を拒否する背景には、住み慣れた環境や自立志向、施設に対するネガティブなイメージなど、深い思いや不安があります。家族は傾聴・選択肢提示・主体性尊重の姿勢で向き合い、入居後においても安心と関係性維持を念頭に支えることが重要です。親の尊厳を守りながら、家族の暮らしも無理なく続けられる環境づくりを目指しましょう。