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【夕暮れ症候群】夕方になると落ち着かなくなるのはなぜ?――安心して過ごすための工夫と支援のヒント
夕方になると、落ち着きがなくなったり、不安そうな様子を見せたりする――そんな変化が見られることがあります。時間帯や環境の変化が心や体に影響を及ぼすこの現象には、周囲の理解と適切な支援が欠かせません。
夕方に起こる行動変化とは
夕方から夜にかけて、普段は穏やかに過ごしている人が急に不安を訴えたり、帰宅しようとしたりする現象があります。これは医学的に「サンダウニング(夕暮れ症候群)」と呼ばれ、特に認知機能の低下がみられる人に多く見られます。
この時間帯に落ち着きがなくなるのは、光の変化や影の伸びなど、視覚的な刺激の変化が関係しているといわれています。明暗の移り変わりが脳に混乱をもたらし、見当識の低下(時間・場所・人の認識があいまいになること)を引き起こすのです。
また、「夕方=家事や帰宅の時間」といった生活習慣や役割の記憶が影響することもあります。かつての生活リズムが無意識に蘇り、「そろそろ帰らなくては」と感じてしまうのです。こうした行動の背景には、心身の疲労や不安、記憶の断片的な再生など、さまざまな要因が重なっています。
なぜ夕方に症状が強く出るのか
この現象は、体内時計(生体リズム)の乱れが関係していると考えられています。昼夜の切り替えがうまくいかなくなると、眠気や倦怠感、興奮が同時に起こり、感情のコントロールが難しくなります。
さらに、環境的な要因も大きく影響します。夕方は家族の帰宅や食事の準備などで周囲が慌ただしくなり、音や動きが増える時間帯です。こうした変化が刺激となり、安心感を失いやすくなります。
また、日中の活動不足や昼寝のしすぎ、脱水や空腹、痛みなどの身体的要因も関与します。特に認知機能が低下している人は、自分の不調を言葉で伝えることが難しく、「帰りたい」「落ち着かない」といった行動で表現してしまうのです。
つまり、夕方は心理的・身体的・環境的要素が同時に重なり、混乱が生じやすい“トリガーの時間帯”といえます。
穏やかに過ごすための工夫
夕方の不安や混乱を和らげるためには、生活リズムと環境の整え方が鍵となります。
まず、朝はできるだけ同じ時間に起き、しっかりと太陽光を浴びましょう。これにより体内時計が整い、昼夜の切り替えがスムーズになります。日中には軽い運動や外出を取り入れ、昼寝は長く取りすぎないようにします。
次に、夕方から夜にかけては照明を少し明るめに保ち、影を減らす工夫が効果的です。暖かみのある照明を使うと、安心感を与えやすくなります。また、テレビの音量や人の出入りなど刺激を減らし、穏やかな雰囲気をつくりましょう。
さらに大切なのは、本人の気持ちに寄り添う対応です。「帰りたい」と言われたときには否定せず、一旦気持ちを受け止めてから話題を切り替えると良いでしょう。好きな音楽を流したり、思い出の写真を見たりといった安心できる活動を取り入れることも有効です。
もし症状が強く、夜間の徘徊や睡眠障害が続く場合は、かかりつけ医や専門医に相談を。薬による調整が必要なこともあります。介護者自身の休息も忘れず、必要に応じてデイサービスや地域支援を活用しましょう。
まとめ
夕方に見られる行動の変化は、心身の疲労や環境の変化、体内時計の乱れなどが複雑に関係しています。焦らず、安心できる環境を整え、本人の気持ちを受け止めながら過ごすことが大切です。支援者も一人で抱え込まず、医療機関や地域の力を上手に頼りましょう。
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