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2025/11/25
コラム

【はじめての介護】家族ができる手続き・できない手続き

【はじめての介護】家族ができる手続き・できない手続き

「親の介護」が始まると、介護保険の申請や各種手続きが次々と発生します。「家族が代理手続きできるのか?」と戸惑う人も多いのではないでしょうか。ここでは、介護保険制度における家族の代理手続きの範囲をわかりやすく整理します。

家族が代理で行える主な手続き

介護保険制度では、本人の代わりに家族が手続きを進められる場面が多くあります。まずは代表的な手続きを押さえておきましょう。

(1)要介護認定の申請

介護保険の利用を始める第一歩である「要介護認定申請」は、家族による代理申請が可能で、いきいき支援センターや居宅介護支援事業者、介護保険施設などに代行してもらうこともできます。本人が来庁できない場合、同居・別居を問わず家族が市区町村の介護保険課へ申請書を提出できます。申請には、本人の保険証代理人の身分証明書署名済みの申請書が必要です。代理で申請しても、認定結果通知は原則として本人宛に届きます。

(2)介護保険証・負担割合証の再交付

保険証や負担割合証を紛失・破損した場合も、家族が代理で申請可能です。自治体によっては郵送やオンライン申請も可能ですが、委任状が求められることがあります。

(3)ケアプラン作成やサービス契約

介護サービス利用に向けてのケアプラン作成・変更依頼も、家族がケアマネジャーと相談しながら進められます。また、デイサービスや訪問介護などの介護保険サービスの契約も家族が代理署名可能です。ただし、本人の意思を尊重することを原則としているため、本人の意思確認が困難なときは「成年後見制度」を活用して法的な裏づけを得ておくことが推奨されています。

(4)費用償還関係の申請

介護用品購入費や住宅改修費などの償還申請も代理で可能です。領収書や見積書を添付し、本人の署名または委任状を添えるのが一般的です。

家族が代理では行えない、または制限のある手続き

家族であっても、すべての手続きを代行できるわけではないので注意が必要です。本人の意思が重視される手続き金融関連の手続きには制限があります。

(1)本人の意思確認が前提となる手続き

ケアプラン決定介護サービス契約では、原則として本人の理解・同意が必要です。中度以上の認知症などで判断が難しい場合には、「成年後見人」や「任意後見契約」に基づく法定代理人が手続きを行う必要があります。

(2)介護保険料の還付や口座変更

金融機関では本人確認が厳格に求められます。還付や口座変更など金銭が動く手続きは、本人または法定代理人のみ対応可能です。やむを得ず家族が行う場合は、委任状本人確認書類(原本)の提示が必要になります。

(3)マイナンバー関連の手続き

マイナンバーカードの発行・更新・番号提出本人が出向くことが原則とされています。代理人が行う際は、委任状に加え、本人の身元確認書類の写しなど、厳格な条件を満たさなければなりません。

(4)成年後見・保佐・補助の申立て

家庭裁判所への申立ては家族が行えますが、審判で選任されるまでは法的代理権を持ちません。そのため、裁判所の審判が確定するまでは、財産の管理や契約の解約などを家族が単独で行うことはできません

実務で注意したい代理手続きのポイント

代理で手続きを進める際は、いくつかの実務的な注意点を押さえておくとスムーズです。

手続きの種類 代理可否 委任状の要否 備考
要介護認定申請 任意(家族の場合不要な自治体も) 市区町村で確認
保険証再交付 窓口・郵送どちらも可
サービス契約 原則不要(本人同意前提) 成年後見人がいる場合は代理人が署名
費用償還申請 領収書・印鑑が必要
介護保険料還付 要+金融機関書類 本人確認が厳格
成年後見申立 申立可(家族自身の行為) 審判確定後に代理権発生

 

また、自治体によって手続き方法や必要書類は若干異なるため、事前に市区町村の介護保険課へ確認し、可能であればケアマネジャーにも相談しておくとよいでしょう。本人の意思を尊重しながら、無理なく進めることが何より大切です。

まとめ

介護保険に関する多くの手続きは家族が代理できますが、本人の意思確認や金銭を伴う手続きでは制限があります。必要に応じて委任状や成年後見制度を活用し、「誰がどこまでできるか」を早めに確認しておくことが、介護生活を支える安心につながります。