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ケアまどニュース
【高齢者支援】地域で支える認知症―広がるオレンジリングとサポーター活動

日本では、65歳以上の高齢者のうち約12%が認知症、さらに約15%が軽度認知障害(MCI)とされます。認知症を正しく理解し、地域で支える「認知症サポーター」と、その目印「オレンジリング」の意義や役割、そして全国で広がる活動について紹介します。
認知症・MCIの有病率と今後の推移
現在、65歳以上の高齢者における認知症有病率は約12.3%、MCI(軽度認知障害)の有病率は約15.5%と推計されています(厚生労働省データ参照)。
つまり、65歳以上の高齢者の約4割が認知機能に課題を抱えている計算です。さらに将来推計では、2040年には認知症の人が約584万人、MCIの人が約613万人に達する見込みであり、国民の誰もが身近に認知症と関わる時代が到来します。この現実を前に、認知症を「特別な病気」ではなく「誰もがなり得るもの」と捉え、共に支える仕組みづくりが重要です。
「オレンジリング」と「認知症サポーター」とは?
「オレンジリング」は、認知症サポーター養成講座を受講した人に授与されるオレンジ色のリストバンドで、認知症を正しく理解し、応援する意思を示すシンボルです。令和3年度以降は「認知症サポーターカード」が原則配布となり、現在はカードやリングの両方が地域によって活用されています。
認知症サポーターになるためには、約90分間の養成講座を受講するだけで特別な資格や費用は不要です。受講者は「自分にできる範囲」で認知症の人や家族を見守り、声をかけたり、地域でできる支援を実践する応援者となります。小学生から高齢者まで幅広い世代が受講しており、誰もが気軽に参加できる仕組みとなっています。
サポーターの広がりと社会的役割
全国ではすでに 令和7年(2025年)6月末時点で累計1,635万人以上 の認知症サポーターが養成され、そのうち約18万人は地域でリーダー的に活動する「キャラバン・メイト」です。これは日本の人口の8人に1人がサポーターである計算になり、地域における支援ネットワークが大きく広がっていることを示しています。
サポーターの活動内容は多岐にわたり、日常の声かけや見守り、認知症カフェ(オレンジカフェ)での交流支援、さらには職場や学校での理解促進などがあります。警察や金融機関、スーパー、交通機関などでも職員がサポーター講座を受講しており、生活のあらゆる場面で「認知症になっても安心できる環境づくり」が進められています。
このような取り組みは、認知症の人や家族だけでなく、地域全体に安心感をもたらす効果があります。小さな気配りや正しい知識を持つ人が増えることで、孤立や不安の軽減につながり、結果的に認知症の人が住み慣れた地域で暮らし続ける基盤となっているのです。
まとめ
認知症やMCIは高齢者の約4割に影響を与える大きな課題です。今や全国で1,600万人以上の認知症サポーターが養成され、地域で温かい見守りや支援が広がっています。オレンジリングやカードは、その思いを可視化する大切な印。私たち一人ひとりができる小さな行動が、認知症になっても安心して暮らせる社会の実現につながります。
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