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【高齢者の睡眠】睡眠トラブルとその対策 ― 安眠のためにできる生活習慣

加齢とともに睡眠の質が低下し、浅く細切れな眠りや夜間の中途覚醒、早朝覚醒に悩む高齢者は少なくありません。しかし、生活習慣の見直しや生活リズム調整、栄養や環境の工夫によって、十分な対策が可能です。
高齢者に特有の睡眠の悩み
特徴と影響
高齢になると深いノンレム睡眠が減少し、浅く効率の悪い眠りになる傾向があります。また、睡眠の持続時間も短くなり、夜中に何度も目覚めやすくなります。
その結果、起床時の気分がすぐれず、免疫低下や生活習慣病、抑うつ、意欲喪失などのリスクが高まります。
悩みの原因とそのメカニズム
体内時計とホルモンの変化
年齢を重ねると、眠りのリズムをつくる「メラトニン」というホルモンが減ります。メラトニンは夜になると自然に分泌され、「そろそろ眠る時間ですよ」と体に合図を送る役割を持っています。これが減少すると、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりします。
また、気持ちを落ち着けたり、昼間の覚醒を支える「セロトニン」という物質も加齢で減りがちです。セロトニンが不足すると、心が不安定になりやすく、夜の休息も浅くなってしまいます。
日中の活動不足
高齢になると外出や運動の機会が減り、体を動かさないまま過ごすことが多くなります。その結果、夜に疲れが十分にたまらず、眠気が弱まって寝つきが悪くなる傾向があります。さらに長時間の昼寝や昼夜逆転は、夜の睡眠リズムを崩す原因となります。
頻尿や生活習慣病の影響
糖尿病や前立腺肥大による頻尿は、夜中に何度もトイレに起きる中途覚醒を招きます。また、寝酒の習慣や夕方以降のカフェイン摂取も、眠りを浅くする要因となります。
悩みへの対策と具体的方法
①生活リズムと日中の習慣を整える
毎日決まった時間に起床・就寝し、体内時計を整えましょう。
朝に日光を浴びながら軽い運動(散歩など)を行うことで、セロトニンおよびメラトニンの生成促進が期待できます。
昼寝は15〜30分、なるべく午後3時までに済ませるようにすると夜の眠りに影響しにくくなります。
②水分管理と夜間頻尿対策
就寝の2〜3時間前から水分摂取を控えることで、夜間の尿意による中途覚醒が軽減します。夕方以降の水分、塩分、カフェインやアルコールの摂取を控えることが効果的です。
また就寝前のトイレ習慣を徹底し、膀胱を空にしてから眠るようにします。
③運動・栄養・環境の工夫
関節や腰の痛みが睡眠を妨げる場合、スクワットなど適度な筋力トレーニングで負担を軽減し、快眠につながります。
栄養面では、以下の成分が眠りをサポートします:
・トリプトファン:大豆製品・卵・乳製品などに含まれ、脳内で「セロトニン」の材料となります。セロトニンは気持ちを落ち着ける作用があり、さらに夜には「メラトニン」に変化して眠りのリズムを整えます。
・グリシン:魚介類やエビ・ホタテに多く含まれるアミノ酸で、深部体温を下げる働きがあり、眠りやすい状態をつくります。入眠をスムーズにし、翌朝の目覚めを爽快にする効果も期待できます。
・ビタミンB1:豚肉や玄米、海苔に多く含まれ、糖質をエネルギーに変える際に必要な栄養素です。不足すると神経の働きが乱れて不眠やイライラを招きやすく、十分にあると神経を安定させ、質の良い睡眠につながります。
寝室は適切な室温・湿度、遮光カーテンや静かな環境を整え、安眠を促すことが重要です。
寝る前にリラックスする習慣(日記・軽いストレッチ・アロマなど)で、心身を落ち着けてから眠ることもおすすめです。
④記録と医療相談の併用
睡眠日誌をつけることで、睡眠パターンや中途覚醒の傾向が把握でき、改善策の検討に役立ちます。
生活習慣を見直しても改善が見られない場合は、睡眠専門医やかかりつけ医に相談し、適切な治療を受けましょう。
まとめ
高齢者の睡眠は、浅く細切れになりやすく、中途覚醒や早朝覚醒に悩む方が増えますが、生活リズムの整備・日中の活動促進・水分管理・栄養・環境の工夫で改善可能です。理想的な睡眠時間は一般的に 高齢者で1日5〜6時間程度 といわれます。しかし、これはあくまで目安であり、必要な睡眠時間は人によって異なります。日中に眠気が少なく、生活に支障がなければ、多少短くてもその人にとっては十分な睡眠と考えられます。睡眠日誌で現状を把握し、必要に応じて医師と連携しながら、質の高い眠りを目指しましょう。
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