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2025/09/28
コラム

認知症と生きる高齢者へ ― 介護保険+精神障害者保健福祉手帳で広がる安心支援

認知症と生きる高齢者へ ― 介護保険+精神障害者保健福祉手帳で広がる安心支援

認知症の高齢者は介護保険サービスを利用する機会が多いですが、実は精神障害者保健福祉手帳(以下精神障害者手帳)を併用することで、生活全般により幅広い支援を受けることができます。
本記事では、介護保険と精神障害者手帳の関係、認知症でも取得できる理由、そして併用する利点について解説します。

認知症でも精神障害者手帳を取得できる理由

認知症は「器質性精神障害」とされ、精神障害者手帳の対象に含まれます。手帳は、精神障害が6か月以上継続して日常生活に制約を及ぼす場合に申請でき、認知症もその条件に該当します。

多くの方が「認知症は高齢者の病気で、精神障害者手帳の対象にはならないのでは」と誤解しています。しかし、厚生労働省の制度解説や各自治体の案内では、統合失調症やうつ病と同様に認知症も交付対象と明記されています。

つまり、高齢者が認知症で介護保険を利用している場合でも、並行して精神障害者手帳を申請・取得することが可能です。これにより、介護保険だけではカバーできない領域にまで支援の幅が広がります

介護保険サービスと手帳制度を併用するメリット

① 経済的な支援の拡大

介護保険では介護サービス費用の一部が自己負担となりますが、精神障害者手帳を併用すれば、医療費の軽減、自立支援医療による自己負担1割化、税制上の障害者控除など、家計全体への支援が強化されます。特に医療・介護を両方利用する高齢者にとっては負担軽減効果が大きいといえます。

② 公共サービスの利用拡充

介護保険は生活支援や介護に特化していますが、精神障害者手帳を持つと、公共交通機関や文化施設の割引、NHK受信料の減免、携帯電話料金や水道料金の優遇など、社会生活の広い領域に支援が及びます。これは高齢者本人だけでなく、家族にとっても暮らしやすさにつながります。(受けられる支援内容は地域によって違うため、詳しくはお住まいの市区町村へご確認下さい)

③ 介護以外の社会参加の後押し

介護保険は在宅生活を支える仕組みですが、精神障害者手帳は「障害者雇用制度」や「就労支援サービス」とも連動しています。高齢者本人が軽度の認知症で働く意欲を持っている場合や、社会活動を続けたい場合にも、手帳は選択肢を広げる力となります。

申請方法と併用の実際

精神障害者手帳の申請は、市区町村の障害福祉窓口で行います。必要書類は以下の通りです。

  • 申請書
  • 医師の診断書(認知症の診断を含むもの、初診から6か月以上経過が必要)
  • 顔写真(縦4cm×横3cm程度)
  • 本人確認書類

審査の結果、1〜3級の等級が判定され、手帳が交付されます。更新は2年ごとに必要ですが、介護保険の認定更新と合わせて管理することで手続きを効率化できます。

実際の活用例では、介護サービスは介護保険で利用しつつ、通院医療費や生活費軽減は精神障害者手帳で補完するといった組み合わせが一般的です。これにより「介護」と「生活全般の支援」の両面からサポートを受けられるのが大きな強みです。

まとめ

認知症の高齢者は介護保険サービスを利用しながらも、精神障害者保健福祉手帳を取得することで、経済的支援や公共サービスの割引といった幅広い恩恵を受けられます。認知症も対象障害に含まれるため申請可能であり、介護保険では補えない部分をカバーできる点が大きな意義です。安心と自立を支えるために、併用活用を検討する価値があります。