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進まない高齢者の免許返納 ― 生活と安全をどう両立するか

高齢者にとって運転は生活の要ですが、免許返納が進まない実態があります。
運転への自信や生活インフラへの依存、代替手段の未整備などが主因です。事故リスクの増大や家族の不安も深刻であり、支援策の強化が喫緊の課題です。
返納が進まない背景—生活インフラへの依存と心理的抵抗
地方や過疎地では、自動車が日常生活の生命線です。買い物や通院、趣味活動など、公共交通機関が脆弱な地域では車に依存せざるを得ず、免許返納による行動範囲の縮小を強く不安視します。
それに加え、多くの高齢者は「まだ運転に問題はない」「慎重に運転している」と自己評価しており、心理的な抵抗も返納を阻む大きな要因です。
統計が示す実態—返納率の低さと高まる事故リスク
返納率は依然として低く、75歳以上の免許保有者に対して返納した人の割合はわずか約5%です。
また75歳以上の返納件数に関しては、2019年の約35万件をピークに年々減少しています。2023年には訳26万件となっています。
一方で、75歳以上による死亡事故率は他の年代を上回っており、特に踏み間違いや認知・身体機能の低下による事故が多発しています。操作ミスなどが事故に直結する傾向は警察庁の統計でも確認されています。
支援の鍵—返納後の移動支援と安全な生活の確保
返納を促すには、返納後の生活を支える制度の充実が欠かせません。
運転免許証を自主返納、または更新を受けずに失効した方は、自主返納後、または運転免許失効後5年以内であれば、運転経歴証明書の交付を受けることができます。この運転経歴証明書は、平成24年4月1日以降に交付されたものであれば、運転免許証に代わる公的な本人確認書類として利用できます。また運転経歴証明書を提示すると公共交通や買い物、施設サービスなどで割引が受けられる制度があります。
このような今ある制度をいかに広めていくかが、自治体として課題の一つになっています。
車に代わる移動手段としては、移動販売や宅配サービス、自治体によるコミュニティバスの運行などが有効で、特に地方ではこうした取り組みが生活の支えになります。
車が無くても不便なく暮らせるような制度が整えば、返納率も自ずと上がってくるのではないでしょうか。
まとめ
高齢者の運転免許返納が進まないのは、生活インフラへの依存や運転への自信、心理的抵抗によるものです。
しかし、高齢ドライバーの事故リスクは高く、対応は急務です。返納後の移動支援や制度を整備することで、安全で安心な生活を支え、返納へのハードルを下げる社会づくりが求められます。
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