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高齢者の暮らしに「シェアハウス」という新しい選択肢

高齢者の住まい方が多様化する中、「シェアハウス」という新しい形態が注目を集めています。
従来の施設や単身生活とは異なる、共生・自立・経済的合理性を兼ね備えたこの暮らし方には、確かな需要の兆しが見えてきました。
高齢者の「孤独」と「住まい」の課題
近年、単身高齢者が増加する中で、深刻な社会課題となっているのが「孤独」と「孤立」です。
内閣府の調査(令和5年度)によれば、65歳以上の一人暮らし世帯は65歳以上の人がいる世帯総数の約30%を占めており、年々増加傾向にあります。高齢者が地域とのつながりを持ちにくくなり、心身の健康にも悪影響を与える可能性が指摘されています。
また、住宅事情も問題視されています。年金収入だけでは家賃や生活費の負担が重く、物価上昇により持ち家であっても維持管理が困難になるケースも少なくありません。
こうした背景から、高齢者が安心して住み続けられる、かつ人とのつながりがある居住形態へのニーズが高まっているのです。
シェアハウスという新たな可能性
「シェアハウス」は、複数の入居者がキッチンやリビングなどの共有スペースを使いながら、個室でプライバシーも確保する居住スタイルです。
元々は若者向けの住まいとして知られていましたが、近年では高齢者専用・高齢者歓迎のシェアハウスも登場し始めています。
この背景には、「低コストで暮らしたい」「誰かと交流しながら安心して暮らしたい」といった高齢者の希望があります。シェアハウスでは光熱費なども入居者で按分されるため、経済的にも比較的安定した生活が可能です。
さらに、日中に自然な会話が生まれることで孤立感が軽減され、食事や家事をシェアすることで心身の負担も軽減されます。医療・介護連携型のシェアハウスも登場しており、将来的なケアへの不安もカバーできるモデルが拡大中です。
実例と課題の両面から見る需要の実態
高齢者向けシェアハウスは都市部を中心に徐々に増え始めており、民間の不動産事業者も参入しています。
例えば、介護スタッフが常駐していたり、趣味活動やリハビリを取り入れた物件などもあり、「生活の質」を重視した設計が進められています。
一方で課題も存在します。介護スタッフが常駐していないところが多い、共同生活への抵抗感、生活習慣や価値観の違いによる入居者間のトラブル、プライバシー確保の難しさ、バリアフリー設備が不十分なところがあるなど、運営側には細やかな対応が求められます。
また、地方ではまだ物件数が限られており、全国的な需要に対する供給体制は整っているとは言えません。
しかしながら、「老後は一人で暮らすのが不安」「施設には入りたくないが安心できる場所が欲しい」という声は着実に増えており、シェアハウスはその受け皿としての可能性を秘めています。
まとめ
高齢者のシェアハウスは、孤独・経済不安・生活支援という複合的課題に対する新たな選択肢となり得ます。
今後、地域連携や福祉との連動が進めば、「住まい」の在り方はさらに多様化し、高齢者一人ひとりが「自分らしい暮らし」を選べる時代が広がっていくことでしょう。
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