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高齢者とペットの共生ガイド「効果」と「リスク」

高齢者にとって「ペットとの暮らし」は、癒しや生きがいをもたらす一方で、加齢に伴う変化によって思わぬ課題に直面することもあります。本記事では、ペットと暮らすことの効果と課題を整理し、高齢期の生活におけるバランスの取り方を考えます。
ペットとの生活がもたらす効果
高齢者がペットと暮らすことで、心身の健康に多くの良い影響があることが研究から明らかになっています。
●運動不足の解消:
犬の散歩は、無理のない範囲での継続的な運動を促し、筋力や骨密度の維持に役立ちます。
●認知機能の維持・向上:
ペットとのふれあいは脳の刺激となり、認知症のリスク低減にも効果があるとされます。特に犬を飼っている高齢者は発症リスクが約4割低いという報告もあります。
●孤独感の緩和:
高齢化によって家族や友人との交流が減ってしまうことも少なくありません。ペットは日々の対話相手となり、心の支えになります。
このように、ペットとの暮らしは身体活動や感情面の活性化を促し、高齢者のQOL(生活の質)を向上させる手段となり得ます。
ペットとの暮らしに伴うリスクや課題
一方で、年齢を重ねることでペットとの暮らしにおいて、以下のような課題が顕在化することがあります。
●身体的・認知的な衰え:
高齢化による飼い主の身体機能低下によって、食事・散歩・トイレの世話が困難になる可能性があり、十分な対応ができないことでペットの健康にも悪影響を及ぼす恐れがあります。また、ペットが高齢化した場合の介護やケアも、身体的・精神的負担が伴うことがあります。
●高齢者が急病・入院した際の対応:
預け先がなければ、ペットが放置されてしまったり、預け先がないことで飼い主の治療がストップしてしまうことがあります。
●経済的負担:
ペットの医療費やトリミング、食事費などの経済的重荷は少なくありません。特に病気になった際など、ペット保険の適用がなければ治療費などが数十万円単位の高額になることもあります。
これらのリスクに備えるには、万一の際に安心してペットを託せる体制や、費用への備えが必要です。
安心して共生するために
高齢者がペットと末長く暮らすには、本人の努力だけでは限界があることを理解しておく必要があります。自助・共助・公助の仕組みを活用し、周囲の協力を得ることがカギとなります。
●自助:事前の備えと日常の工夫
自身の体力や経済状況に配慮したペットを選ぶことが基本です。また、ペットと生活ができなくなる万が一の事態を見据え、「ペット信託」や「終生飼育意思の表示」、緊急連絡先リストの作成などで備えておくと安心です。さらに、災害時の避難計画や、体調・認知機能の変化に備えたお世話の工夫、福祉サービスの活用も重要です。
●共助:地域やボランティアとの連携
ペットの世話支援が可能な地域団体やボランティアとつながることも有効です。ペット散歩代行や一時預かり、災害時の避難サポートなど、地域の支え合いによって安心を得ることができます。人と人とのつながりを保ち、孤立を防ぐ観点でも重要な取り組みです。
●公助:制度や支援策の活用
近年では一部自治体でペット共生に関する支援制度が導入されつつあります。たとえば、動物愛護管理センターのペット相談窓口や、ペットフード・医療費への経済的支援、災害時の同行避難支援、情報提供などが挙げられます。制度の最新情報を把握し、活用することで、持続可能な共生が実現できます。
このように、ペットとの共生には、本人の意識と周囲の理解、制度のサポートがそろうことが不可欠です。孤立を防ぎ、いざというときに備える体制を築くことが、ペットとともに暮らし続けるための安心につながります。
まとめ
高齢者にとってペットとの生活は、心身の健康を支える大きな力となります。しかしながら、体力や環境の変化に応じた「備え」と「支え」がなければ、ペットの存在が逆に負担になるリスクもあります。安心・安全な共生のためには、適切なサポートの活用と周囲の理解が欠かせません。ペットとの穏やかな暮らしを守るために、今できる準備を始めましょう。
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