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2025/07/23
コラム

【介護予防】高齢者の転倒予防の重要性

【介護予防】高齢者の転倒予防の重要性

高齢者にとって「転倒」は、骨折や寝たきりにつながる深刻な事故です。年齢とともに筋力やバランス感覚が低下する中、ちょっとした段差や滑りやすい床が命取りになることも。安全で安心な暮らしを実現するには、日常生活の中で転倒予防に取り組むことが重要です。今回はその具体策と意義について解説します。

転倒が高齢者に及ぼす影響

高齢者の転倒は、単なる怪我にとどまらず、生活全体に大きな影響を与えます。日本では65歳以上の約1割が毎年何らかの転倒を経験しており、そのうちの多くが骨折や頭部外傷につながっています。特に大腿骨頸部骨折をきっかけに寝たきりになるケースは少なくありません。

また、転倒によるけがや入院を経て、「また転んだらどうしよう」という転倒恐怖症を抱く方も多く、外出や活動を控えることで運動不足や社会的孤立につながる悪循環が起きます。これは認知機能や身体機能のさらなる低下にもつながるため、単なる事故とは言えない深刻な問題です。

転倒のリスク要因を理解する

転倒にはさまざまな要因があり、大きく**内的要因(身体や心の状態)外的要因(生活環境)**に分けられます。

【内的要因】

  • 加齢による筋力・バランス感覚の低下

  • 視力・聴力の衰え

  • 低血圧や不整脈によるふらつき

  • 薬の副作用(眠気・めまいなど)

  • 認知症の影響による注意力低下

【外的要因】

  • 段差や滑りやすい床

  • 暗い照明や見えにくい階段

  • カーペットや電気コードのひっかかり

  • 不安定な家具や手すりのない浴室・トイレ

これらの要因を複合的にチェックし、本人の状態と住環境の両面からリスクを把握することが転倒予防の第一歩です。

日常生活に取り入れたい予防策

転倒を防ぐためには、「身体を保つこと」「環境を整えること」「意識を高めること」の3点が重要です。

● 身体機能の維持

高齢者の転倒予防には、筋力やバランス感覚の維持が不可欠です。足腰を中心とした運動を日常的に取り入れることで、つまずきやふらつきのリスクを軽減できます。特別な器具がなくても、椅子に座った状態での足踏み運動や、台所でのつま先立ちなど、日常生活の中で簡単にできる工夫があります。デイサービスや介護施設では、体操や軽運動のプログラムが用意されていることも多く、継続的に参加することで、運動の習慣化にもつながります。

● 生活環境の見直し

住まいの環境も、転倒リスクを大きく左右する要素の一つです。たとえば、段差を解消したり、滑りやすい床材の上にマットを敷いたりすることで、転倒の原因となるポイントを減らすことができます。また、廊下や階段、トイレといった移動時に不安を感じやすい場所には、手すりの設置が有効です。夜間の移動に備えて、足元を照らす照明を増やすなど、視認性の確保も転倒防止に役立ちます。身近な住環境を「転びにくくする」視点で整えることが重要です。

● 意識改革と周囲の支援

転倒予防では、本人の意識と周囲の支援の両立が欠かせません。「転ばないように注意する」という心がけも大切ですが、それだけでは不十分です。身体や環境に対する理解を深め、「転ばない仕組みを整える」ことが求められます。また、家族や介護職など、周囲の人が日常的に見守りながら転倒リスクをチェックすることも予防につながります。さらに、地域包括支援センターやケアマネジャーなど、外部の専門職と連携することで、必要な支援策を早期に講じることが可能になります。

まとめ

高齢者の転倒は、健康だけでなく生活全体に影響を与える重大な課題です。しかし、日常のちょっとした工夫や周囲のサポートで、多くのリスクは未然に防ぐことができます。「転ばない工夫」は、「自立した生活を守る工夫」と同じ意味を持ちます。本人・家族・支援者が一体となって、安心して暮らせる環境づくりを目指しましょう。