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ケアまどニュース
高齢者と空き家問題──「実家」の行方を考えるとき

高齢の親が住んでいた「実家」が空き家になっている。そんな悩みを抱える人が増えています。少子高齢化、都市部への人口流出が進む中で、空き家問題は他人ごとではありません。
高齢者の「住まい方」が変化している
高齢者の生活スタイルは多様化しています。
かつては「住み慣れた家で最期まで」が一般的でしたが、近年は高齢者施設やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などへ住み替える選択も増加しています。
内閣府の調査によると、介護が必要になる高齢者のうち、約2割は自宅以外で生活しています。
在宅で介護を受けている方も多い一方で、一定数は施設での生活を選択しています。また要介護度があがるにつれ在宅での介護の難易度もあがるため、施設を選択する方の割合も増加傾向にあります。
こうした変化により、実家が空き家になるケースが目立ってきました。
親が施設に入ったあと、誰も住まなくなった家をどうするか。それは子世代に突きつけられた、もう一つの“相続”の課題です。
「実家の空き家化」がもたらす社会的リスク
空き家は個人の問題にとどまりません。手入れが行き届かない家は倒壊や火災のリスクを抱え、害虫や不法投棄の温床にもなります。こうした「管理不全な空き家」は地域の防災や治安、景観にも悪影響を及ぼします。
総務省統計局によると、2023年時点で全国の空き家数は約900万戸に上り、そのうち管理不全な「特定空家」は増加傾向にあります。(出典:「令和5年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局))
政府は空家対策特別措置法を強化し、市町村による指導や撤去命令も可能となっていますが、所有者不明・相続未登記などの背景により、対応は容易ではありません。
元気なうちから「実家の行く末」を話し合おう
高齢の親と子世代が、実家の将来について話し合う機会は意外と少ないものです。
しかし、親が元気なうちに方向性を決めておくことで、相続や空き家化のトラブルを防げます。売却や賃貸、取り壊し、介護施設入居とのバランスなど、早めの検討が肝心です。
国の施策でも「空き家バンク」や改修補助金制度、自治体独自のマッチング支援など、利活用に向けた後押しが整ってきています。
空き家を地域資源として生かす動きも広がっており、「空き家=負動産」ではない可能性もあります。
まとめ
高齢者の住まいの変化とともに、空き家問題はより身近な課題となっています。誰が住むのか、どう管理するのかを先送りにするほど、問題は複雑化します。実家の未来は、親子が率直に語り合うことから始まります。今こそ、住まいの終活を自分ごととして考える時です。
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