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その物忘れは認知症の前触れ?知っておきたい「主観的認知機能低下(SCD)」

「最近、物忘れが増えた気がするけれど、検査は正常だった」。その違和感の正体は、もしかしたら「主観的認知機能低下(SCD)」かもしれません。認知症の前々段階とされるこの状態にどう気づき、どう向き合うか。進行段階の理解と、日常で実践できる対処法について解説します。
SCDとは?その特徴とリスク
SCD(Subjective Cognitive Decline)とは、「記憶力が落ちた」「言葉が出づらくなった」など、日常の中で本人は認知機能の変化を感じているが、周囲は気づかない状態を指します。医療機関での認知機能検査では明確な異常が見つからないので、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)にも至っていない状態です。
アルツハイマー型認知症などの神経変性疾患のごく初期段階で見られる可能性があり、長期的には認知症へ移行するリスクも報告されています。実際、海外の縦断研究では、SCDのある人はない人に比べて数年以内にMCIを発症する率が高いとされています。
一方で、SCDのすべてが認知症の前兆とは限りません。うつ病や不眠、ストレス、加齢による自然な変化によっても同様の違和感が生じるので、経過観察と生活習慣の見直しが重要となります。
認知症の進行段階とSCDの位置づけ
SCDは、認知症の進行における“最も初期の兆候”として位置づけられています。一般的に、認知症の進行段階は以下のように分けられます。
-
SCD(主観的認知機能低下)
-
MCI(軽度認知障害)
-
初期認知症
-
中期〜後期認知症
SCD段階では、本人のみが違和感を覚え、客観的には問題が見つかりません。MCIになると、検査で軽度の認知機能の低下が確認されますが、まだ日常生活は自立しています。認知症と診断されるのは、記憶・判断力の低下により社会生活・日常生活に支障を来すようになってからです。
記憶の低下に対して本人が感じる違和感に加えて、「65歳を超えている」、「家族が変化に気づいている」といった条件が重なっている時には、専門医への早めの受診が推奨されます。
日常でできるSCDへの対処方法
SCDは、日常の習慣改善や認知機能の働きを意識した生活によって進行を抑えることができる可能性があります。以下の3点が特に有効とされています。
運動習慣の確立
有酸素運動(ウォーキングや軽いジョギングなど)は、脳の血流を改善し、記憶や注意力を高める効果があるとされています。週に150分程度の中強度の運動が推奨されており、脳の可塑性にも良い影響を与えることが分かっています。
認知活動・学習の継続
パズル・読書・語学・楽器演奏などの知的活動は、脳の刺激となり、新たな神経ネットワークの形成を促します。新しい挑戦がある生活は、脳の「認知予備力」を高め、将来の機能低下を和らげる可能性があります。
社会参加とコミュニケーション
友人との交流、地域活動、ボランティアなどに関わることで、孤立やうつ状態を防ぎます。社会とのつながりは、脳の多面的な刺激になるだけでなく、自己肯定感や幸福感の維持にもつながります。
さらに、睡眠時間を十分に確保し質を高めること、バランスの良い食事を心がけることも脳の健康維持には重要です。これらを意識することで、SCD自体の発症や進行に対して良い働きかけが起こるとされています。
まとめ
SCDは、認知症の“前の前段階”とも言える状態です。本人の気づきから始まるこの変化に対し、生活習慣の見直しや早めの受診が予防の第一歩になります。日常生活の中に小さな対策を取り入れることで、進行を遅らせる可能性があります。気づいた今こそ、行動のタイミングです。
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